心臓発作は程度にかかわらず救急車の要請を
2019年10月08日 06:00
心臓発作は大きく2パターンあり、1つは胸の不快感が徐々に進行するタイプと、もう1つは突発的に急激な胸の痛みを感じるタイプで、ともに早急に受診する必要があるが、症状が徐々に強まるタイプの患者では救急要請に至るまでの時間が8時間と、突発的なタイプの2.6時間と比べて長いことが分かった。米・University of Illinois at ChicagoのSahereh Mirzaei氏らが、European Journal of Cardiovascular Nursingに報告した。従来、良好な予後を得る観点から、発作後2時間以内の治療開始が良いとされている。
急性冠症候群で受診した患者を症状のタイプ別に調査
Mirzaei氏らは今回、米国の4つの地域の多施設から成る研究を行い、急性冠症候群(心筋梗塞、不安定狭心症)により救急診療部を受診した474例について、症状のタイプおよび症状の発生から救急診療部到着までの時間を調査した。
患者の内訳は、突発的なタイプが56%、徐々に強まるタイプは44%であった。症状の開始から病院到着までの時間の中央値は4時間であった。症状発生から病院到着までの時間は、突発的なタイプの患者の2.6時間と比べて、徐々に強まるタイプの患者では8時間と長かった。
突発的なタイプのうち、男性患者では54%が労作によって発症し、ST上昇型心筋梗塞であった。ST上昇型心筋梗塞は、詰まった動脈への早急な血流回復が求められる疾患であり、階段を上る、引っ張る、押す、ジョギングといった単純動作で起こりうる。
救急車の要請は、胸痛発生から病院到着までの時間の短縮につながっていたが、救急車を呼んだのはわずか45%であった。救急車以外の患者のほとんどが自家用車での受診で、症状の発生を問題視していないことが受診までに時間を要する原因となっていた。
今回の結果を踏まえ、同氏は「虚血性心疾患の既往または高血圧、糖尿病、高コレステロール値、心疾患の家族歴があるといった男性では労作後の胸痛や胸の不快感に注意し、心臓発作が起こりうることに留意した方がよい」とし、「胸痛や胸の不快感は程度がどうであれ、放置しておくべきではない。心臓発作には、喉や首、背中、胃、肩の痛みや、吐き気、冷や汗、脱力感、息切れなども伴うことがある。早く受診すればより良い結果が得られる」と、早めの受診を呼びかけている。
(あなたの健康百科編集部)