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地域で取り組む減塩(適塩)活動in 京都

 2019年11月19日 06:00

 日本高血圧学会は、昨年(2018年)に発表した「みらい医療計画」の中で、最良な高血圧診療を研究・実践し、全国民の健やかで明るい社会実現に向けた活動を展開することを明言し、現在4,300万人いるとされる高血圧の人を10年間で700万人減らし、健康寿命を延ばすという目標を掲げている。八田内科医院(京都市)理事長/院長の八田告氏は第42回同学会(10月25〜27日)のシンポジウム「人生100年時代に向けた生活習慣の取り組み:子どもから高齢者まで」で、自身が京都府で行っている「こどもからお年寄りまで地域で取り組む減塩(適塩)活動」について紹介した。

理想的な健康高齢者は適塩を実践している

 八田氏は最初に、「開業医として診療を行っていると元気なご老人に出会う」と話し、その中でも印象的な1人の高齢患者を紹介した。

 最低限の薬しか飲まず、軽い腰痛やかぜくらいでは薬はもらわない。軽い降圧薬を飲んでいるが血圧は安定しており、家庭血圧も測っている。脳梗塞、心臓病はもちろんのこと、脳血管性認知機能障害にもなっていない。若い人と同じくらいよく食べ、毎日畑仕事をするなどよく働く。自分で身の回りのことをきちんと行い、孫の面倒も見ている。子供の世話にならないようにとよく動き、足のむくみもない。漬け物は食べるもののほんの少量で、塩分の取り過ぎに気を遣っており、野菜もしっかり食べている。ただし、夏の暑いときにはスイカに塩をかけて食べるなど、適度な塩分・水分補給を心がけている。

 同氏は「この患者さんのように、先人の知恵に従いながら適塩を身に付けることは、理想的な健康高齢者の生活習慣である」と述べた。

高血圧は健康寿命を損なう原因

 総務省が発表した人口推計によると、日本の65歳以上の高齢者人口は前年(2018年)比32万人増の3,588万人(推計)となり、総人口に占める割合が過去最高の28.4%となった。これは世界で最も高く、2位のイタリア(23.0%)を大きく上回るという。八田氏は、健康寿命を損なう最も重要な原因として高血圧を挙げ()、「健康寿命を延ばすためには高血圧の人を減らすこと、血圧を下げることが重要である」と指摘した。

図. わが国の脳心血管病による死亡数への各種危険因子の寄与度(男女計)

PLoS Med 2012; 9: e1001160より作図)

"適塩"を啓発するための活動を紹介

 夏は暑く冬は寒いという京都府では、府民は漬け物を好んで食べ、パンの消費量は全国1位と、食塩摂取量が高い状況になっている。そこで、八田氏らは塩分摂取量を適正にすることで京都府民の生活習慣病を予防しようと、"適塩"を啓発するための活動を行っている。

 例えば、世界腎臓デー(3月14日)の街頭啓発イベントでは、ビラ配り、適塩味噌汁の提供、血圧測定、医師・栄養士・薬剤師による相談コーナー設置、着ぐるみキャラクターである"よしお君(良塩君)"との交流などを通じて、京都から透析が必要になる人を1人でも減らそうという活動を行った。

 また、京都腎臓高血圧談話会を結成し、適塩フォーラムを開催するなど医療関係者へのアプローチも積極的に行っている。

 さらには、京都府、京都市、宇治市などが行っている適塩活動や、日本高血圧学会主催のキッズクッキングショーなどともコラボレーションしている。京都みやこメッセで行われたキッズクッキングショーは、子供のころから適切な塩分摂取量を知り健康に育ってほしいとの願いを込めたイベントで。地域の保育園児が参加し、塩分を控えめにしたハンバーグに絵を描く、よくかむことを習慣付けるためのグミづくりなどを行い、好評を博したという。

 最後に同氏は「健康寿命を延ばすには、血圧管理が何よりも重要であることを広く啓発し、冒頭に挙げた健康高齢者を目指して私自身も含めて血圧管理を行っていきたい」と述べ、活動の紹介を終えた。

(あなたの健康百科編集部)

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