がん患者の食事の悩みを症状別に解消
2019年11月21日 06:00
がんは診断と治療の革新的な進歩により、「共存」することが可能な時代となってきた。外来通院で治療を受ける人も増えており、治療中だけでなく治療後もがんと共存する上で、家庭での食事に関する悩みも多様化してきたといわれている。こうした背景を踏まえ、国立がん研究センター東病院は、がん患者とその家族がさまざまな食事の悩みに応じてレシピを検索できる「CHEER!(チアー)」(https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/CHEER/index.html)を今秋(2019年9月)に開設した。
がん治療に伴う症状に応じて100品を紹介
「CHEER!」はCancer(がん)、Help(助ける)、Eat(食べる)、Easy(簡単)、Recipe(レシピ)の頭文字を組み合わせたもので、食を通してがん患者や家族を「CHEER(応援をする)」という意味も込められているという。同サイトを開設した同院の栄養管理室では、10年以上前からがん患者や家族などを対象に「柏の葉料理教室」を月2回開催している。この料理教室では、がん治療に伴う症状(①食欲不振②吐き気・嘔吐③口内炎④味覚変化⑤貧血➅消化器術後⑦下痢⑧便秘)―の中から毎回1つに焦点を当て、症状の発症メカニズムを解説するとともに、症状に応じた食事の工夫や調理実演を行っている。これまで同教室で紹介された料理は1,000品以上に上るが、「CHEER!」ではその中から人気が高かった料理100品を掲載している。これらのレシピは、料理教室参加者に食後の感想を聞き、調理法で難しいと思われた部分について意見を聞きながら、適宜改良した上で掲載しているという。
レシピは、「症状別」「材料別」「料理区分別」「フリーワード」での検索が可能。各レシピページでは、材料や調理法に加えて、調理時間や栄養量(エネルギー、蛋白質量、塩分量)、調理のコツも掲載されている。さらに調理法以外にも、「がんと食事」に関するアドバイスや、患者から多く寄せられる質問をQ&A形式で紹介しているコーナーもある。レシピ情報はスマートフォンで見ることもできる。
国立がん研究センターによると、がんに関するレシピサイトは多数あるが、がん患者向けの料理教室と連携しつくり手の感想や意見を生かしたレシピ検索サイトは同サイトが初めてになる。今後も柏の葉料理教室で好評を博したレシピを追加し、料理教室に参加できない人や介護ヘルパーなど、がん患者・家族以外の人にも有益な情報となるようコンテンツを拡充していく予定としている。
(あなたの健康百科編集部)