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筋肉量が多いと心血管疾患になりにくい?

 2019年11月28日 06:00

 中年期に筋肉量が多い人では、将来的に心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患を発症する可能性が低いことが、スペイン・Parc Sanitari Sant Joan de DéuのStefanos Tyrovolas氏らの研究で示された。45歳以上の約1,000人を骨格筋の量により3つのグループに分けて検討したところ、最も少ないグループに比べ最多のグループでは心血管疾患の発症率が著明に低かったという。結果の詳細は医学雑誌 Journal of Epidemiology & Community Health2019年11月11日オンライン版)に掲載されている。

筋肉量最少グループに比べ心血管病のリスクが81%低下

 骨格筋(手足や体を動かす筋肉)の量は中年期から減り始めることが知られており、30歳以降は10年ごとに3%以上減少すると報告されている。過去に行われた研究で、心臓病患者の骨格筋量は心血管疾患の発症リスクと関連することが示されている。今回Tyrovolas氏らは、心臓病でない人においても筋肉量が心血管疾患のリスクと関連するかどうかを検討した。

 対象は、心血管疾患がない一般住民を対象としたギリシャの観察研究に参加した人のうち、研究開始時(2001〜02年)の年齢が45歳以上だった1,019人(平均年齢56±9歳、男性534人、女性485人)。研究開始時に食生活やライフスタイルに関する情報を収集するとともに、糖尿病、高血圧症、脂質代謝異常症などの有無を調べた。また、四肢(手足)の骨格筋量とBMI(肥満指数)から骨格筋量の指標(SMI)を求めた。

 10年の観察期間中に1,019人中272人(26.7%)が致死性または非致死性の心血管疾患を発症した。研究開始時のSMIにより参加者を3グループに分けて比較したところ、心血管疾患の発症率は骨格筋量が最も少ない第1グループの31.3%に対し、最も多い第3グループでは14.0%と、明らかに低かった。

 解析の結果、第1グループを基準(100)とした場合、第3グループの心血管疾患発症リスクは19と81%も低いことが分かった。さらに詳細に調べたところ、男性で骨格筋量が多いことは食生活、高血圧症の有無などにかかわらず心血管疾患リスクを減少させる一方、女性ではそうした関連性は認められなかった

 以上から、同氏らは「心血管疾患がない45歳以上の成人において、骨格筋量を評価することは将来的な心血管疾患リスクを予測する上で重要と考えられた。また、少なくとも男性では、中年期の骨格筋量を維持することが心血管疾患の予防に有用な可能性がある」と結論している

(あなたの健康百科編集部)

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