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女性は要注意! 飲み過ぎによる肝硬変リスク

 2019年12月11日 06:00

 年末年始は、アルコールを飲む機会が増え、「ついつい飲み過ぎた...」なんてことになりがちだ。アルコールは、飲み過ぎると肝臓に負担がかかり、肝臓病を発症しやすくなる。カナダ・トロント大学などの研究グループは、飲酒と肝硬変との関連について検討した過去の研究結果を利用して、260万人超のデータを解析。その結果、アルコールを飲み過ぎると肝硬変の発症リスクが高まり、特に女性の場合は1日1杯でもリスクが上昇することが明らかになった。詳細は、Am J Gastroenterol2019; 114: 1574-1586)に掲載されている。

9件の関連研究を解析

 肝硬変とは、肝炎ウイルス感染、長期にわたる多量の飲酒、自己免疫(体内の免疫機能が自身の肝細胞を破壊してしまう)などによって起こる肝炎や肝障害が進行して、肝臓が硬くなった状態を指す。肝硬変による死亡率は、欧米で増加しており、そのリスクは男性より女性で高いとされる。

 研究グループは、過去に実施された9件の関連研究から、262万9,272人分のデータを抽出し、飲酒と肝硬変発症との関連について調べた。お酒1杯は純アルコール12g(ビール350mLの純アルコール量は約14グラム)とした。

リスク上昇は女性で顕著

 解析の結果、お酒を1日1杯飲む女性では、長期間飲んでいない人に比べて肝硬変のリスクが1.64倍に上昇したが、男性ではリスクの上昇は見られなかった。また女性の場合、お酒を1日5~6杯飲む人は、長期間飲んでいない人に比べて、肝硬変のリスクが12.44倍、7杯以上になると24.58倍に上昇した。一方、男性ではそれぞれ3.80倍、6.93倍であった。飲酒による肝硬変リスクの上昇は、一貫して男性より女性で著しかった。

 今回の研究から、女性は男性とは違い、たとえ1日1杯と少ない量であっても、アルコールの摂取が肝硬変のリスクになりやすいことが示された。研究グループは「遺伝や代謝の問題、体重、長期的な飲酒歴など、別のリスク要因を解明するために、より質の高い研究が必要だ」とコメント。「ただし、男女にかかわらずアルコールの飲み過ぎは避けるべきで、飲酒量が多い人は減酒のための支援を受けるべきだ」と結論している。

(あなたの健康百科編集部)

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