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宇宙滞在での免疫低下のメカニズムを解明

 2020年01月14日 06:00

 国際宇宙ステーション(ISS)で行われた実験で、宇宙滞在による免疫機能が低下するメカニズムが解明された。ISSでのマウスの飼育実験で、免疫応答に重要な役割を果たすリンパ器官の胸腺が萎縮することが分かった。一方、ISS内で人工的に地上と同じ重力を発生させて飼育したマウスでは萎縮が抑えられていた。人類が宇宙空間に進出する上で貴重な実験結果とみられる。詳細はScientific Reports2019年12月27日オンライン版)に掲載された。

胸腺細胞の増殖抑制が原因

 宇宙滞在は生体にさまざまな影響を与えるが、免疫低下もその1つとして知られていた。長期の宇宙滞在で免疫が低下すると潜伏していたヘルペスウイルスが再活性化するなどのリスクが想定されるため、宇宙滞在での免疫低下の原因解明が望まれていた。

 今回の実験は、理化学研究所、筑波大学、宇宙航空研究開発機構、東京大学の共同研究チームにより行われた。ISSの日本実験棟「きぼう」で回転して重力を発生できる飼育ケージを設け、飼育実験を行った。無重力で飼育したマウスは地上で飼育したマウスに比べ胸腺が萎縮していた。ISSで地上と同じ重力で飼育したマウスでも地上飼育のマウスと比べて胸腺が萎縮していたが、無重力のマウスよりは抑えられていた。

 これらのマウスの胸腺にある蛋白質や遺伝子を解析した結果、無重力では胸腺細胞の増殖が抑制され、それが胸腺の萎縮を起こしていることが判明した。

 研究グループは、無重力が胸腺細胞の増殖を抑制する機序の解明を目指し、宇宙滞在での免疫抑制の予防策につなげたい考え。

(あなたの健康百科編集部)

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