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iPhone、ポケモンGOで頭や首のけがが増加

 2020年01月16日 06:00

 近年、携帯電話は日常生活に欠かせないアイテムとなっているが、思わぬリスクを伴うこともある。運転中や歩行中に携帯電話を使用し、注意力が散漫になることが原因で起こる頭・首の負傷事故の発生件数がここ20年で増加している。しかもiPhoneの発売、スマホゲームアプリ「ポケモンGO」のリリースの年に特に急増していた。そんな衝撃の結果が、米・Rutgers New Jersey Medical SchoolのRoman Povolotskiy氏らが実施した調査(JAMA Otolaryngol Head Neck Surg 2019年12月5日オンライン版)で明かになった。

約半数は運転中、3分の1は歩行中の携帯使用が原因

 Povolotskiy氏らは、携帯電話の使用に関連して発生した頭や首の負傷事故の種類、経緯の調査を目的に、米国で1998~2017年にこうした事故でけがをした2,501人(女性1,129人、白人795人、うち13~29歳が771人)を対象に調査を実施した。

 その結果、この20年間に携帯電話関連の負傷件数は着実に増加していた。特に2007年には、1年間で人口100万人当たり、新たに発生する件数が8.99件、2016年には同じく29.19件と急速なペースで増加していた。

 2007年にはiPhoneが発売、2016年にはポケモンGOがリリースされていることから、負傷件数の増加には両者が関連しているとみられる。同氏らは「iPhoneの登場以前にも携帯電話はあったが機能は限られており、注意力を低下させる主な原因とはならなかった。iPhoneによってさまざまなアプリやインターネットブラウザへのアクセスが可能となり、必需品となったもののリスクも持つようになった」と説明している。

 一方、ポケモンGOは拡張現実を活用したゲームで、プレーヤーは現実のさまざまな場所で携帯電話を使いながら登場するポケモンを追跡、ゲットして遊ぶものであるため、けがにつながる危険性があるとされる。

 頭や首のけがの中で最も多かったのは頭部(33.1%)で、次いで顔面(32.7%、目鼻周辺を含む)、首(12.5%)の順だった。負傷の種類は裂傷(26.3%)、打撲と擦り傷(24.5%)、内臓損傷(18.4%)などが見られた。

 また、けがの41.1%(2,051人中843人)が自宅で発生しており、93.8%(1,923人)のけがは軽く、治療をほとんどもしくは全く必要としなかった。さらに約50%は携帯電話を使用しながらの運転、約3分の1は携帯電話を使用しながらの歩行が原因だった。年齢別に見ると、13~29歳が60.3%で最も多かった。

携帯電話の使用および運転・歩行に関する教育が必要

 13歳未満の子供では、携帯電話の落下、バッテリーの爆発などの直接的なけがの割合(82.1%)が携帯電話の使用に関連したけが(17.9%)より多かった。共同研究者のBoris Paskhover氏は「携帯電話の使用によるけがは、主に運転中の事故として報告されていたが、それ以外のタイプのけがはかなり過少に報告されている」と指摘している。

 加えて、「携帯電話の使用によるけがの最大の原因は注意力の散漫であり、主に13〜29歳で影響が大きいと考えられる。この調査結果から、携帯電話の使用中に他の活動を行うことによる注意力の低下、および運転と歩行に関してあらためて教育を行う必要性があると考えられる」と述べている。

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