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こんにゃくでアルツハイマー病を予防?

 2020年01月21日 06:00

 日本は世界に先駆けて超高齢社会に突入し、高齢化率は現在もトップを走り続けている。それに伴って認知症患者数も増え、2025年には高齢者の5人に1人が認知症との推計もある。そのため、認知症の予防法や治療法の確立が喫緊の課題となっている。今回、北海道大学などの研究グループは、こんにゃくに多く含まれる脂質成分の「植物セラミド」をマウスに与える実験を実施。その結果、植物セラミドを与えたマウスでは、脳内にたまっていたアルツハイマー病を引き起こすとされる「アミロイドベータ(Aβ)」の量が減り、認知機能が改善することが明らかになった。詳細は、Sci Rep2019; 9: 16827)に掲載されている。

植物セラミドに着目

 Aβが脳内に過剰にたまることが、アルツハイマー病を発症する原因の1つといわれている。また、これまでの研究から、Aβの蓄積はアルツハイマー病を発症する15年以上前に始まっていることが明らかにされている。そのため、いかにAβの蓄積を抑えるかが、アルツハイマー病予防のポイントになる。

 研究グループは過去に、Aβがエクソソームという細胞から分泌される物質と結合して分解、除去されることを明らかにしている。そして今回、エクソソームの分泌を促す物質を探ったところ、植物セラミドがその作用を持つことを突き止めた。

 そこで、脳内にAβが過剰にたまっているアルツハイマー病のマウスに、こんにゃく芋からつくったセラミドを1日1mgずつ、2週間与え続け、Aβの状態とエクソソームの量を調べた。この植物セラミドは、機能性食品素材として、美肌目的のサプリメントや飲料にも配合されている成分だ。

植物セラミド投与マウスではAβの沈着が減少、短期記憶が改善

 解析の結果、植物セラミドを投与したマウスの脳内では、Aβの濃度が低下するとともに、アミロイド斑と呼ばれるAβの沈着が減少していた。さらに、脳の神経細胞をつなぐシナプスの異常が軽減され、行動実験を行ったところ、短期記憶が改善していた。

 研究グループは「今回の結果が、アルツハイマー病の治療薬の開発などに生かせるかもしれない」と期待を寄せるとともに、今後については「植物セラミドの人への投与でも認知機能の改善効果を検証したい」と展望している。

(あなたの健康百科編集部)

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