社会的処方−孤立という病を地域のつながりで治す方法』(西智弘編著、2020年、学芸出版社)という本が発行された。「社会的処方」とは今、医療の世界で注目されている新しい概念だが、そう言われてもピンと来る人は少ないだろう。副題にあるように「孤立という病を地域のつながりで治す」ことを意味するが、「孤立」って病気なの?「地域のつながり」って医者が処方するものか?と、さらに疑問が生じるに違いない。

 孤立と病気については既報でも触れた(関連記事「孤独は毒か、孤立は病か」)が、著者らは「医療や介護の諸問題の最上流に『地域の人間関係の希薄化、孤立化』がある」と捉え、社会的処方によって人々の社会性が回復できれば、高齢者の認知症や寝たきり対策の切り札になりうると考える。そして、「処方」として患者に紹介されるのは、普通の市民が行っている地域のサークル活動などだ。つまり、「あなたの活動が誰かにとって『お薬』になる」という希望に満ちたメッセージなのである。