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乳児への保湿剤、アトピー性皮膚炎予防せず

 2020年03月23日 06:00

 生後2週以降からバスオイルやフェイシャルクリームなどの保湿アイテムによるスキンケアを行っても、アトピー性皮膚炎の予防効果は認められなかったことが、健康な新生児を対象にした試験で明らかになった。この試験では、乳児期早期(生後12~16週以降)の補完食導入によるアトピー性皮膚炎の予防効果も示されなかった。ノルウェー・Oslo University HospitalのHåvard Ove Skjerven氏らがLancet2020年2月19日オンライン版)に発表した。

約2,400例の乳児を4グループに分ける

 Skjerven氏らによると、これまでの研究で乳児期早期から保湿アイテムを使用することで、アトピー性皮膚炎を予防できる可能性が示されていた。また、食物アレルギーになりやすい小児に対しては、補完食の早期導入で、そのリスクを低減できる可能性も報告されていた。

 そこで同氏らは今回、①生後2週以降に日常的に保湿アイテムによるスキンケアを行う②生後12~16週以降の早期から補完食を導入する-ことにより、生後12カ月までの健康な乳児のアトピー性皮膚炎リスクを減らせるかどうかについて試験を行い、検討した。

 2014年12月9日~16年10月31日にノルウェーとスウェーデンの3施設で妊娠18週の妊婦健診時に女性2,697人が登録され、2015年4月14日~17年4月11日に生まれた新生児2,397人が試験に組み入れられた。

 対象児は出生時に①スキンケアに関して具体的なアドバイスを行わないグループ(対照群)②保湿アイテム(バスオイルとフェイシャルクリーム)を使用するグループ(スキンケア群)③ピーナツ、牛乳、小麦、卵による補完食を早期に導入するグループ(補完食群)④スキンケアと補完食の早期導入を組み合わせたグループ(スキンケア+補完食群)-のいずれかにランダムに振り分け、生後12カ月までにアトピー性皮膚炎を発症する割合を調べた。

スキンケアと補完食でわずかにリスク低下するが、大差なし

 検討の結果、生後12カ月までのアトピー性皮膚炎の発症率は対照群で8%(596例中48例)、スキンケア群で11%(575例中64例)、補完食群で9%(642例中58例)、スキンケア+補完食群で5%(583例中31例)であった。これらの結果から、保湿アイテムによるスキンケアと補完食の早期導入のいずれもアトピー性皮膚炎リスクの抑制効果は示されなかった。

 一方、安全性に関しては4群とも問題は認められなかった。また、介入を行った3群における皮膚症状(痒みや浮腫、発疹、ドライスキン、蕁麻疹)の発現頻度は、対照群と大差なかった。

 以上を踏まえ、Skjerven氏らは「この研究では、生後12カ月までのアトピー性皮膚炎の予防を目的とした保湿アイテムの使用や補完食の早期導入を支持する結果は得られなかった」と結論。

 また、共同研究者でOslo UniversityのKarin C. Lødrup Carlsen氏は「今回の研究は、健康な乳児に対するスキンケアでアトピー性皮膚炎を予防できるかどうか検討したものである。アトピー性皮膚炎の治療目的で処方されている保湿剤については、有効性を裏付けるデータが十分にある」として、保湿剤にはアトピー性皮膚炎の治療効果があることを強調している。

あなたの健康百科編集部

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