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睡眠薬服用は転倒の危険因子―服用したらすぐに就寝を

 2023年10月06日 10:19

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© Adobe Stock ※画像はイメージです

 高齢になるほど転倒事故が増え、それに伴う骨折は要介護となる可能性を格段に高める。転びやすくなるのは、加齢による筋力低下、パーキンソン病や関節症などによる影響の他、睡眠薬の服用も関係する。睡眠薬と転倒の関係やその安全な使い方について、東京医科大(東京都新宿区)精神医学分野の森下千尋助教に聞いた。

▽リスク認識し安全に使用

 眠気、ふらつきなど転倒のリスクを高める薬剤は多岐にわたる。例えば、睡眠薬や抗不安薬、抗うつ薬などの向精神薬をはじめ、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬(アレルギー症状を抑える薬)、末梢(まっしょう)神経障害による痛みの治療薬などがある。

 向精神薬と転倒、転落との関係については多くの研究が行われてきたが、必ずしも一致した見解がない。そこで森下助教らは、向精神薬を新たに使い始めた入院患者を対象にカルテからデータを得て分析した。

 2016年に転倒、転落した患者と、年齢、性別、診療科が一致した非転倒・非転落患者各254人を比較した結果、向精神薬のうち睡眠薬については転倒、転落の危険因子になることが統計学的に確認できた。「リスクがあることを十分認識した上で、安全に使用することが重要です」

▽薬剤の数や種類を相談

 転倒事故を避けるには、「睡眠薬は基本的に、就寝直前に服用するのがよい。服用後に家事をしたり、入浴したりするとリスクが高まります」。

 漫然と長期使用することと同様、複数の睡眠薬の併用も良くない。「私たちは、睡眠薬を2剤併用すると、単剤に比べて転倒・転落リスクが高くなるとの研究結果を得ました。主治医に相談し、できるだけ1剤にしてもらうとよいでしょう」

 場合によっては、薬剤の変更を主治医に相談することも必要だ。森下助教らの研究では、使用頻度の高いGABA(ギャバ、気持ちを落ち着かせる作用がある)の働きを促す睡眠薬の中でもベンゾジアゼピン系という種類は、転倒・転落リスクがあることが示された。

 「特に高齢者、筋力低下がある人は、できればベンゾジアゼピン系以外の薬に変更するのがよいでしょう。生活習慣を工夫することで、睡眠薬を使用しない、あるいは少ない用量で済むようにできることが望ましいです」と森下助教はアドバイスしている。

睡眠薬服用に伴う転倒事故回避のポイント

(メディカルトリビューン=時事)

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 東京医科大学の所在地 〒160―0023 東京都新宿区西新宿6の7の1 電話03(3342)6111(代表)

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