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氏の生き様が詰まった書

【書評】バーンスタイン医師の糖尿病の解決第4版
高雄病院理事長 江部 康二

 2016年05月26日 17:30
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 2007年にDr.Bernstein's Diabetes Solution(第3版)が出版され,その後糖尿病治療において新しい発展があり,2011年にDr.Bernstein's Diabetes Solution(第4版)が改訂出版された。本書はその訳本であり,新型のインスリン注射薬,DPP-4阻害薬,インクレチン関連注射薬などの解説も追加してありバージョンアップしている。

 本書にはバーンスタイン医師の生き様そのものが詰まっているが,まずはその波瀾万丈の軌跡をたどってみたい。バーンスタイン医師は,1946年,12歳のときに1型糖尿病を発症し,当初から糖尿病専門医に通院して従来の「低脂肪・高炭水化物食(カロリーの45%は炭水化物)」と大量のインスリン注射というパターンを20年以上続けた。その結果,30歳代でとうとう蛋白尿が出現し糖尿病腎症第3期となり,さまざまな合併症も出現した。この間,頻回の低血糖発作に苦しみ,蛋白尿は次第に増加していった。

 1969年,35歳のとき,血糖自己測定器が新発売され,技師という職業柄,血糖値と食事の関係を3年間にわたって徹底的に検証した。当時はまだ「血糖値の正常化によって,糖尿病合併症を予防する」という概念がどこにもなかったが,転機が訪れる。動物実験ではあるが「血糖値の正常化で合併症の予防・改善ができる」という論文を発見したのである。しかし主治医に言っても「動物と人間は同じじゃない,人間の血糖値を正常化することはできない」と否定された。

 そこで1973年,糖尿病発症後27年目の39歳のときから,彼は彼自身の身体を実験台にして,「血糖値を正常に保つ」ように食事の糖質量とインスリン単位を調節し始めた。いろいろな人体実験をして血糖値を正常範囲に保つ方法を確認していった。この過程において,彼はついに『厳格な糖質制限食』を導入し,主治医が決めたインスリン投与量を激減させることに成功し目標を達成した。蛋白尿も改善・消失し,何年も続いた全身疲労感がなくなった。

 彼は彼自身の発見を他の糖尿病患者にも知らせたいと思い,医学雑誌に論文を投稿するが相手にされない。医師でないものが発言しても説得力を持たないと判断した彼は,自らが医師になることを決意し,1979年,45歳のときにアルバート・アインシュタイン医科大学に入学した。1983年に49歳で医師になり,糖尿病治療学を徹底的に研究し,診療所を開設して多数の患者さんを診察し,そのデータを参考に本を出版して,厳格な糖質制限食を中心とした糖尿病治療の普及に努めてきた。糖質制限食こそが,従来の治療法ではどうしようもなかった1型糖尿病患者であるバーンスタイン医師の命を救ったのである。

 2016年4月現在,合併症もなく元気に過ごしておられ,現在は82歳くらいと思う。彼の生存そのものが提唱する治療法の有効性の証明といえる。糖尿病治療に当たる医師はもちろんのこと,1型および2型糖尿病患者にも本書の数々の実戦的なノウハウは大いに役立つと思うので,ぜひご一読あれ。

バーンスタイン医師の糖尿病の解決
バーンスタイン医師の糖尿病の解決 第4版 

リチャード・K・バーンスタイン著
柴田 寿彦訳(総合病院南生協病院 名誉院長)

  • 体 裁 A5判,482ページ
  • 定 価 本体5,800円+税
  • ISBN 978-4-7653-1674-3
  • 発 行 メディカルトリビューン
  • 発 売 金芳堂

購入はこちらから:Amazon 金芳堂

 本書は1997年5月に初版が刊行され,それまでの糖尿病治療を覆す内容から全米ベストセラーとなった。日本語版は2005年に原著2版を刊行,読者の声に応えて第3版を刊行し,このたび第4版がついに刊行―。

 12歳のときに1型糖尿病と診断され多くの合併症に苦しんできたバーンスタイン医師は,自らの体を実験台にしながら,厳格な血糖コントロールの方法を探す。後に彼は医師となり,糖尿病治療に取り組み,「小さな数の法則」にたどりつく。それは,血糖値に大きく影響を与える炭水化物を厳しく制限し,その分を蛋白質で補う食事療法である。本書では,その方針に沿った具体的な食事の方法や取ってはいけない食品をはじめ,治療薬の使い方なども事こまかに解説されている。

江部氏江部 康二(えべ こうじ)

1974年,京都大学医学部を卒業し,同大学胸部疾患研究所第一内科(現在京大呼吸器内科)入局。 1978年から高雄病院に医局長として勤務。1996年副院長就任。2000年理事長就任。2001年から糖質制限食に取り組む。2002年に自ら糖尿病であると気付いて以来,さらに糖尿病治療の研究に力を注ぎ,ダイエット,糖尿病克服などに画期的な効果がある「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。

  

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