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非空腹時の脂質検査を推奨

欧州動脈硬化学会

 2016年05月26日 07:05

 欧州動脈硬化学会(EAS)と欧州臨床化学・臨床検査連盟(EFLM)は、脂質値の測定を目的としたルーチンの血液検査は、空腹時ではなく非空腹時に行うことを推奨するコンセンサスステートメントをEur Heart J2016年4月26日オンライン版)に発表した。これにより、脂質検査の受検率向上が期待される。

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空腹時と非空腹時で有意差なし

 今回の声明は、デンマークとカナダ、米国の30万人超を対象とした検証結果に基づくもの。現行では、コレステロールとトリグリセライド(TG)の測定は、デンマーク以外の国では空腹時の実施を条件としている。しかし、検査のための絶食が困難な患者も多い一方で、最新の研究で、コレステロールとTGの値は空腹時と非空腹時で同等であるという結果も示されていた。また、2009年から非空腹時の検査を採用しているデンマークでは、検査の簡便化により患者と医師、検査技師の全てが恩恵を得ている。特に、就労者や小児、糖尿病患者、高齢者にとって非空腹時採血の有用性は高い。

 こうした背景に鑑み、今回、脂質プロファイルに関して、空腹時の検査値に代えて非空腹時の検査値を用いることの臨床的意義を厳密に評価すべきとの発議がなされ、ランダム収集された非空腹時データと空腹時データの比較検証が行われた。


 その結果、非空腹時試料では、一部の脂質において空腹時試料と比べ若干の上昇が見られたが、いずれも臨床的に有意な差ではなかった。具体的には、食後1〜6時間の最大変化の平均値が、空腹時に比べ非空腹時では、TGで26mg/dL、総コレステロール(TC)で8mg/dL、LDLコレステロール(LDL-C)で8mg/dL、レムナント様リポ蛋白コレステロール(RLP-C)の計算値で8mg/dL、非HDL-Cの計算値で8mg/dL、それぞれ高い値を示した。一方、HDL-C値とアポリポ蛋白(apo)A1、apoB、リポ蛋白(LP)(a)は、空腹時と非空腹時で変化がなかった。経時的な変化()と心血管疾患の予測に関しても、空腹時と非空腹時で同等であった。

図. 食後の脂質値の推移(カナダ一般住民のデータ)

図

Eur Heart J 2016年4月27日オンライン版,元データはArch Intern Med 2012; 172: 1707-1710)

 これらの結果を基に、今回の声明では、脂質検査の受検率を高めるため、非空腹時の脂質プロファイルをルーチンで用いることを推奨している。一方で、非空腹時のTGが440mg/dLを超える場合には、空腹時の採血を考慮してもよいと付け加えている。

高リスク群含めた具体的な基準値にも言及

 今回の声明は、脂質検査前の絶食が不要であることを初めて国際的に推奨するものである。同声明の筆頭著者でデンマーク・Uni­versity of CopenhagenのBørge Nordestgaard氏は「心筋梗塞と脳卒中は世界的に死因の上位を占めているが、今回の変更により、これらの疾患の抑制を目的とした予防治療に対する患者のコンプライアンスは改善するだろう」と述べている。

 今回の声明によると、非空腹時試料に基づく検査における脂質異常の基準は、TGで175mg/dL以上、TCで190mg/dL以上、LDL-Cで115mg/dL以上、RLP-Cの計算値で35mg/dL以上、非HDL-Cの計算値で150mg/dL以上、HDL-Cで40mg/dL以下、apoA1で125mg/dL以下、apoBで100mg/dL以上、LP(a)で50mg/dL(80パーセンタイル)以上−としている。

 空腹時と非空腹時で最も差があったTGに関して、上記の非空腹時基準値に対応する空腹時試料での基準値は150mg/dL以上となる。

 また、今回の声明は、死亡リスクの上昇につながるような異常値に対しては、別途精密検査を行うべきとしている。具体的には、TG 880mg/dL超で膵炎リスク、LDL-C 500mg/dL超でホモ接合性の家族性高コレステロール血症(FH)、LDL-C 190mg/dL超でヘテロ接合性のFH、LP(a)150mg/dL(99パーセンタイル)超で心血管の超高リスクが考えられる。

(小路浩史)

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