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熊本地震、5月15日以降のDVT患者発生なし

熊本地震後DVT検診結果

 2016年06月23日 16:00

 熊本地震発生後に開始された深部静脈血栓症(DVT)検診KEEP Projectの結果が熊本県からこのたび発表された。4月14日の前震から5日後の4月19日に予防活動を開始した結果、患者発生が減少し、5月15日以降は患者の発生は認められておらず、予防に関する啓発が有効であった可能性があるという。

写真1. 検診結果発表記者会見とVTE予防啓発ポスター

6月14日に熊本県庁で行われた検診結果発表記者会見の様子。VTE予防啓発ポスターを手に持って示す熊本市民病院神経内科の橋本洋一郎氏(右)と同循環器内科の坂本憲治氏(左)

地震発生直後からVTEが発生

 熊本地震発生直後から入院を要する静脈血栓塞栓症〔VTE: DVT/肺血栓塞栓症(PE)〕が発生し、それに対応する必要性が指摘された(図1、2)。

図1. 入院を必要としたVTE発生数(2016年4月14日~6月13日熊本県まとめ)

図2. 入院を必要としたVTEの累積発生数(2016年4月14日~6月13日熊本県まとめ)

 そこで、前震から5日後の4月19日から新潟大学の榛沢和彦氏の来熊に合わせて益城町、御船町、西原村、熊本市、八代市などで DVT検診・予防プロジェクトである熊本地震血栓塞栓症予防プロジェクト〔Kumamoto Earthquakes thrombosis and Embolism Protection(KEEP)Project〕が行われた。同プロジェクトのメンバーは、熊本大学循環器内科の掃本誠治氏(代表)、熊本市民病院神経内科の橋本洋一郎氏(副代表)、同院循環器内科の坂本憲治氏、熊本大学消化器外科の長井洋平氏、熊本県臨床検査技師会の増永純夫氏など。

 第1次スクリーニングは4月19日〜5月5日の17日間に延べ65カ所で2,023人を対象に、第2次スクリーニングは5月9〜31日の23日間に延べ38カ所で372人を対象に行われた。

 DVT検診の方法は、①広範な検査の呼びかけ②DVTの注意喚起③チェックリスト記入④下腿に限定した静脈エコー⑤運動、飲水、トイレ我慢の回避の指導⑥弾性ストッキングの配布と着用指導―である。

 広範な検査の呼びかけでは、車中泊、VTEの既往、妊娠・出産後・ピルの服用、がんの既往、活動の低下した高齢者、肥満かどうかを調べ、さらに18項目のチェックリストを用いてDVTのリスク因子の有無を詳しく調べた。

DVT が受診者の9.1%に

 第1次スクリーニングを受けた2,023人では、DVTが189人(9.1%)に認められた。DVTを有した群では、DVTを有さない群と比べ年齢(74.9歳 vs. 67.4歳)、地震後眠剤使用率(32.4% vs. 20.3%)が有意に高かった。また、DVT群の方が高血圧(56.8% vs. 46.6%)、心疾患(21.6% vs. 15.2%)、不整脈(11.9% vs. 7.6%)、下腿腫脹(14.1% vs. 8.4%)、静脈瘤(26.5% vs. 16.2%)の割合が有意に多く、ヒラメ静脈径(右:7.07mm vs. 6.08mm、左7.07mm vs. 6.20mm)が有意に太かった。

 受診者の年齢は60歳代が27.1%、70歳代が27.2%、80歳代が21.2%と高齢者が中心であった。

地震発生5~6日後の発生率高い

 前震発生からのDVT陽性率を見ると、5~6日後が最も高く16.7%で経過とともに陽性率は低下する傾向にあった(図3)。

図3. 前震発生後のDVT陽性率の推移

 統計学的分析の結果、DVT発症のリスク因子は①年齢(70歳以上)②眠剤使用③下腿腫脹―の3つであったことから、各因子を1点として合計点を見ると、満点の3点ではDVT陽性率が38.3%であった(図4)。

図4.  DVT発症のリスク因子の点数別DVT陽性率

(図1~4とも掃本誠治氏、橋本洋一郎氏、坂本憲治氏、長井洋平氏、増永純夫氏提供)

 今回、震災後第1次スクリーニングとして4月19日〜5月5日に2,023人を対象にDVT検診を行った結果をまとめると、189人(9.1%)にDVTが認められ、40歳代のDVTはまれであった。DVTの有無で、年齢、眠剤使用、高血圧、心疾患、不整脈、下腿腫脹、静脈瘤、ヒラメ静脈径に有意差が認められた。地震発生から時間の経過とともにDVT陽性率は低下する傾向が認められた。統計学的分析の結果、①年齢(70歳以上)②眠剤使用③下腿腫脹が独立して有意なDVTのリスク因子として抽出され、3項目を有する受診者のDVT陽性率は38%と高かった。

 KEEP Project副代表の橋本氏は「巡回予防活動を開始して以来、入院を要するVTEの発生が減少傾向になり、DVT陽性率が低下傾向になったことから、予防に関する啓発が有効であった可能性がある。震災後のDVT陽性率は高く、他の震災では4~5カ月後にVTEの発症が増加したとの報告があるため、予防活動の継続した実施が必要である。今後は脳卒中や心不全などが増加する可能性があるため、VTEと併せてこれらの疾患発症予防を行っていく必要がある」と指摘した。

写真2.記者会見で示された脳卒中予防啓発ポスター

大江 円

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