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非スタチン薬使用のポイントを提案、ACC

ASCVD管理におけるLDL-C降下療法

 2016年07月20日 07:00

 米国心臓病学会(ACC)は、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)管理のコンセンサスペーパーを発表し、LDL-C降下療法における非スタチン療法の使用法に関して指針を示した。スタチン療法による便益が期待できる4グループについて、エゼチミブ、PCSK9阻害薬などをどのように使用すべきかを提案している。全文はJ Am Coll Cardiol2016; 68: 92-125)で公表された。

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GL2013では非スタチン薬使用に消極的

 ACC/米国心臓協会(AHA)は2013年にコレステロールガイドライン(GL2013)を更新した。

 GL2013ではASCVDリスク低減の純便益を主題の1つとして掲げ、スタチンによる便益が明確なグループとして①臨床的にASCVDが認められる21歳以上の患者 ② LDL-C 190mg/dL以上(二次性の修正可能な原因によるものを除く)の21歳以上の患者③ASCVDは認められないが糖尿病に罹患しておりLDL-C 70〜189mg/dLの40〜75歳の患者④ASCVDにも糖尿病にも罹患していないがLDL-C 70 〜189mg/dLで10年以内にASCVDを発症する推定リスク(Pooled Cohort Equationsによる)が7.5%以上の40〜75歳の群―の4群を同定している。

 さらに、GL2013はスタチン以外の薬剤によるASCVDリスク低減の純便益はスタチンを超えるものではないとし、前記4グループにおけるASCVDの初発予防ないしは再発予防として、高強度あるいは中強度のスタチン療法を推奨。スタチンに対する応答が期待以下、あるいはスタチン不耐性を示す高リスク群(ASCVD患者、LDL-C 190mg/dL以上の患者、40〜75歳の糖尿病患者)に対して非スタチン薬の追加を考慮するとしている。

非スタチン薬に複数のエビデンス

 しかしその後、2014年にはHPS2-THRIVE(Heart Protection Study 2-Treatment of HDL to Reduce the Incidence of Vascular Events)、2015年にはIMPROVE-IT (IMProved Reduction of Outcomes:Vytorin Efficacy International Trial)の試験結果が公開された。HPS2-THRIVE試験では、ASCVD患者に対してナイアシン+laropiprantの合剤(徐放剤)を中強度のスタチン療法(シンバスタチンを使用)に上乗せした場合の効果がスタチン単剤投与の場合と比較されたが、合剤の上乗せによる便益(主要血管イベント低減効果)は示されず、深刻な有害事象の増加が確認された(N Engl J Med 2014; 371: 203-212)。一方、IMPROVE-IT試験では高リスクの急性冠症候群(ACS)患者を対象に中強度のスタチン(シンバスタチンを使用)に加えて小腸コレステロールトランスポーター阻害薬エゼチミブを上乗せ投与したところ、スタチン単剤投与群と比べてLDL-Cがさらに低下し、7年間の追跡期間中のイベントリスクは有意に低下、安全性の面でも問題は見られなかった(N Engl J Med 2015; 372: 2387-2397

 また、PCSK9阻害薬については、特定の高リスク患者を対象とした短期アウトカムのデータを踏まえ、アリロクマブとエボロクマブの2剤が米食品医薬品局(FDA)により承認された。

 こうした臨床試験結果やFDAによるPCSK9阻害薬の承認状況を踏まえ、ACCは今回、スタチン療法による便益が期待できる前記4グループに対する介入の選択肢を提示した()。

図. スタチン療法の便益が期待できる4グループにおいて考慮すべき因子ならびに介入の選択肢

J Am Coll Cardiol 2016; 68: 92-125)

LDL-C低下率50%未満で非スタチン薬を検討

 で示されているように、介入はASCVDの初発または再発予防を目的としたスタチン療法(中強度/高強度)および生活習慣の改善が治療の基本となる。スタチン不耐容が疑われる場合は、まずスタチン投与の一時的中断、用量の低減、再チャレンジ(代謝経路が異なるスタチン薬2〜3剤を用いるのが望ましい)、半減期の長いスタチンの間欠的投与(週1〜3回投与)などの検討が先決であるとしている。

 ASCVD既往やLDL-C 190mg/dL以上などの高リスク群で、生活習慣の改善に加えて最大耐用量のスタチンを投与してもLDL-Cがベースラインから50%以上減少しない場合は非スタチン薬を考慮してよい。

 非スタチン薬追加の検討時には、安全性・忍容性に関するエビデンス、薬剤間相互作用、LDL-Cのさらなる低下がASCVDイベントの低減に及ぼす効果、コスト、投与経路、アドヒアランス、患者自身の希望などを総合的に評価する。また、LDL-Cのレベル(絶対値)は薬剤追加の決定的な因子ではないが考慮可能な1つの因子となる。

PCSK9阻害薬は特定の高リスク群に

 新規クラスの薬剤に対するACCの見解は、まずエゼチミブは安全性、忍容性、有効性(IMPROVE-ITでは臨床的には控えめだが統計学的には有意な効果が示されている)を考慮した場合、多くの患者に対して考慮されるべき初の非スタチン薬としている。エゼチミブ不耐容の患者に対するセカンドライン薬の候補は胆汁酸吸着薬(BAS)だが、中性脂肪300mg/dL以上の患者への投与は控えるべきとしている。

 アリロクマブとエボロクマブは、ASCVD既往または家族性高コレステロール血症(FH)の高リスク患者で最大耐用量のスタチンおよびエゼチミブでも治療目標が達成されない場合など、特定の高リスク患者に限定して検討すべきである。ただし、長期的な安全性・有効性に関するデータがないことから、FH以外に対する初発予防目的での使用は推奨されないとしている。

 ホモ接合体FHの患者では、脂質の専門家への照会が強く勧められており、スタチン、非スタチン薬(エゼチミブ、BAS)に加えてMTP阻害薬lomitapide、アポリポ蛋白B合成阻害薬mipomersen、LDLアフェレーシスも検討項目になるとしている。

 同コンセンサス作成委員会委員長で米・Northwestern University Clinical and Translational Sciences InstituteのDonald M. Lloyd-Jones氏は「コレステロールGLの次回改訂は今後数年間に公開が予定されている臨床試験データを踏まえたものとなる予定で、PCSK9阻害薬の長期成績やコレステリルエステル転送蛋白(CETP)阻害薬のanacetrapibが盛り込まれる見込みだ」と展望している。

(古川 忠広)

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