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心不全発症・増悪リスク薬剤をリストアップ、AHA

包括的でアクセス容易なガイド

 2016年07月21日 07:05

 米国心臓協会(AHA)は心不全(HF)の発症・増悪を招く恐れのある主要薬剤をリストアップし、サイエンティフィックステートメントとしてまとめ公表した。同ステートメントは、HFの発症・増悪を招く恐れのある主要薬剤を網羅した包括的かつアクセスの容易な情報源として全ての医療提供者に活用してもらい、HF患者に対する医療の質の改善に貢献することを目指したAHAの初の試み。全文はCirculation2016年7月11日オンライン版)に掲載された。

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HF患者は処方薬6剤以上に加えてOTC薬も

 各種疾患で用いられる治療薬の多くにHFの誘発や増悪を招くリスク(心毒性、HF治療薬との薬剤間相互作用リスクなど)があることは知られている。加えて、処方薬やOTC薬にとどまらず、補完・代替療法(CAMs)で用いられるハーブなどの生薬や各種サプリメントにも同様のリスクは存在する。

 また、HF患者では5つ以上の慢性疾患に罹患しているケースも珍しくなく、毎日平均6.8種の処方薬を服用しており、その服用レジメンも複雑で、処方医療機関も複数にまたがっているケースが多い。加えて、高齢者はOTC薬を1日平均4剤服用しているとの報告もあり、他にもハーブやビタミン剤などのCAMsの利用頻度も高い。

 処方薬の数が増えるほど薬剤による有害事象や薬剤間相互作用のリスクは高まる。薬剤がHFの発症・増悪を招く経路としては①薬剤そのものの心毒性や陰性変力作用②薬剤間相互作用によるHF治療薬の効果減弱③製剤中のNa含有量が多いことによる悪影響―などが挙げられる。しかし、これらを全て把握することは医療提供者にとっても決して容易ではない。そこで、こうしたマイナス要因を回避するため、処方薬、OTC薬、CAMsに関する包括的でアクセスが容易なガイドが求められていた。

薬剤性QT延長リスクにも言及

 同ステートメントには、心不全の発症・増悪リスクのある処方薬だけで5ページを超えるリストが掲載されている。例えば、OTC薬としても使われている非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)は、シクロオキシゲナーゼ(COX)の阻害によるプロスタグランジン産生の阻害を介してNaおよび水分の貯留を促し、体血管抵抗(SVR)を上昇させ、利尿薬への応答を減弱させる恐れがある、と記載されている。

 他に、麻酔薬、糖尿病治療薬(ビグアナイド薬、チアゾリジン薬、DPP-4阻害薬)、抗不整脈薬、高血圧治療薬(α遮断薬、Ca拮抗薬など)、抗真菌薬、抗がん薬、血液疾患用薬、神経・精神疾患用薬、眼科用薬、呼吸器疾患用薬、リウマチ治療薬、泌尿器疾患用薬(α遮断薬)がリストアップされ、本文ではその機序および根拠となる研究について解説を加えている。

 また、薬剤性のQT延長については、torsades de pointes(TdP)につながる恐れがあり、かつ、HF自体がTdPのリスク因子でもあるとの判断から、QT延長リスクが存在する薬剤のリストも別途掲載している。

Na含有量はOTC薬にも共通する問題

 処方薬で問題となるのは、心毒性・陰性変力作用と薬剤間相互作用だけではない。同ステートメントでは、静注用剤をはじめとして入院患者に対して用いられる薬剤の多くに高レベルのNaが含まれている点を指摘。HF急性増悪のためにICUに入院した患者を対象とした単施設研究では入院期間の長期化につれて食事以外からの1日当たりNa摂取量が増えていたことを紹介し、1ユニット当たりのNa含有量の多い静注用剤/経口剤についてもリストアップしている。

 米国では成人の35%がOTC薬を定期的に服用しており、主に、頭痛、胸やけ、アレルギー、かぜへの対処がその目的である。しかし、ここで問題となるのは、約3分の1が定められた用量以上を服薬しており、初回服薬前に添付文書に目を通すのは約半数でしかないという事実。OTC薬には有効成分にNSAIDsを含むものも多いが、高用量摂取というOTC薬特有の問題が加わることでHFに対するリスクはさらに上昇する。また、製剤によってはNa含有量が多いことも問題であるという。

 同ステートメント作成委員会の委員長で米・University of Colorado教授のRobert L. Page氏は「患者は食品の内容表示ラベルを見てNa(あるいは食塩)含有量を確認するよう指導されているが、OTC薬やサプリメントのラベルにも目を通す必要がある」と指摘している。

全服用状況の把握担当者が必要

 CAMsで用いられる多くのサプリメントはHF患者にとって危険である恐れがある。例えばマオウはエフェドリン様の作用を有し、血圧および心拍数を上昇させることが知られている。また、西洋オトギリソウ、グレープフルーツジュース、チョウセンニンジン、サンザシ、タンジン、ブラック・コホッシュ、緑茶などの成分は、HFで一般的に用いられる心血管治療薬(ジゴキシン、ACE阻害薬/ARB、β遮断薬、Ca拮抗薬、アミオダロン、ワルファリン)の一部の作用を妨げる恐れがある。したがって、これらを心不全症状の管理や心血管イベントの二次予防に用いるべきではない。

 以上を踏まえ、同ステートメントでは、HF患者には医療機関受診の都度、処方薬、OTC薬、CAMsの使用状況を遺漏なく報告してもらい、それを基に"服薬フローシート"を作成しておき、必要に応じてデータを更新することが望ましいと推奨。また、使用薬の変更(新規使用開始、使用中止)時には事前に専門家に相談するよう指導すべき、としている。

 Page氏は「HF患者が使用している薬剤を誰かが全て把握していることが望ましく、その任に当たるのにふさわしいのは医師、高度実践看護師(APN)、患者のHF管理を担当している看護師・薬剤師などであろう」と提案している。

古川忠広

  

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