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「おねしょ」と「夜尿症」の違いをご存じ?

非専門医向け夜尿症GLが刊行

 2016年08月03日 06:00

イメージ画像 写真左から、中井秀郎氏、金子一成氏、大友義之氏

 「おねしょ」と「夜尿症」の違いをご存じだろうか。両者はしばしば混同されることがある上、疾患である「夜尿症」が「成長に従って自然治癒する」などと治療対象にされないことすらある。このたび12年ぶりに「夜尿症診療ガイドライン(GL)」が改訂、非専門医向けのポケット版も作成され、夜尿症を積極的に治療する機運が盛り上がってきた。最近開催されたメディアセミナー(主催:おねしょ卒業!プロジェクト委員会、フェリング・ファーマ、協和発酵キリン)から、夜尿症治療の必要性と非専門医が行う診療のポイントを紹介する。

続きを読む(読了時間:約 3 分) 

夜尿症の放置はいじめ、不登校、母子関係悪化などの原因に

 「おねしょ」と「夜尿症」の違いでポイントとなるのは年齢。「おねしょ」は幼児期の就眠中に尿失禁してしまうことであり、排尿に関するメカニズムが未発達であるために起きる生理的現象である。一方、「夜尿症」は5歳以上の小児が就眠中に尿失禁することであり、疾患と位置付けられている。具体的な定義としては、①5歳以上の就眠中の間欠的尿失禁②昼間の尿失禁の有無は問わない③1カ月に1回以上が3カ月以上続く-などとされている。

 わが国の夜尿症患児数は推計で78万人とかなりの数に及ぶが、実際に医療機関を受診している患児は16万人、治療を受けているのは4万人と、夜尿症のほとんどが受診にすら至っていない。

 しかし、「治療法が確立し『放っておく病気』から『治す病気』へと変わりつつある」と関西医科大学小児学講座主任教授の金子一成氏は指摘、その治療成績を示した。無治療の患児では1年後に約15%が自然治癒するが、治療すれば約50%が治癒できると報告されている(図1)。

図1. 夜尿症の自然治癒率と治療治癒率

(小児科臨床2012; 65: 931-939)

 「両者の差は大きい」と同氏は強調、夜尿症の治療意義を解説した。夜尿症の患児は自尊心が低下している傾向が見られ、それが内向的性格形成に影響することが分かっている。また、宿泊行事への参加を避けがちになるため、いじめや不登校に発展するきっかけになりかねない。さらに、夜尿症は両親にとってもストレスとなり、本人を叱るなど親子関係の悪化を招く原因ともなる。発達障害は夜尿症を合併することもあり、両親のストレスが増し障害の二次増悪の引き金にもなりうるという。

 夜尿症の治療が必要である一方で、診療の専門医とされる日本夜尿症学会会員は約450人と少なく、非専門医の小児科医やかかりつけ医(一般内科)が診療を行わらざるをえない現状にある。同氏は「改訂GLは最新のエビデンスを非専門医にも分かりやすく解説、具体的な対応法を記載しているため夜尿症診療に役立つと信じている」と述べた。

シンプルで分かりやすい診療アルゴリズム

 順天堂大学練馬病院小児科先任准教授の大友義之氏は、GLの内容を紹介、非専門医に夜尿症診療が定着していない理由についても触れた。日本夜尿症学会は夜尿症診療GLを2004年に作成していたが、「当時のGLに記載されていた、夜尿症の病型を分類することがかかりつけ医には煩雑であったため、経過を観察したり専門医に紹介したりすることが多かった」。

 その後、英国やニュージーランドなど海外でGLの改訂や推奨治療の作成が行われ、2010年には国際小児禁制学会が推奨治療を公表、わが国のGLの国際的な整合性が課題となってきた。こうした経緯から同学会は今回のGL改訂を行った。

 非専門医向けの夜尿症診療アルゴリズムの特徴はシンプルで分かりやすい点(図2)。昼間尿失禁を伴う場合(非単一性症候性)はまずその治療を行う。昼間失禁改善後および夜尿のみの場合(単一性症候群)は、抗利尿ホルモン製剤デスモプレシンかアラーム療法の一方もしくは併用を選択することが基本になっている。アラーム療法は、わずかな尿漏れを感知して警報で知らせるため、起きてトイレに行くか、がまんできるようにすることで夜尿をしないようにする訓練法である。

図2. 夜尿症の診療アルゴリズム

(夜尿症診療ガイドライン2016)

 同氏は「まず非専門医も夜尿症診療を試みて欲しい。改善しない場合には専門医がともに診療に当たることもできる」と非専門医の積極的な夜尿症診療を促した。

本人のやる気を引き出し、家族の心理的ケアを

 自治医科大学小児泌尿器科教授の中井秀郎氏は、夜尿症診療の実際的なポイントについて解説した。夜尿症の治療を受けている患児が全体のわずか約20分の1と推定されることについて、「家庭内でいろいろと悩みそれでも解決できないため、勇気を出して医療機関を受診する患児と家族がほとんど」と背景を説明。それにもかかわらず、医師からは「成長とともに自然に治る」などと積極的に治療をしてもらえず、落胆してしまう子供や家族が多いのが現状だとした。

 同氏は、今回のGL改訂で、非専門医でも治療することの期待が高まっているとした上で、診療の実際的なポイントとして①患児だけでなく家族の心理的負担のケアが必要②患児本人のやる気を引き出す③家族と協力し患児に合った方法を選ぶ-ことなどを挙げた。また、患児・家族に対して夜尿症がありふれた疾患であることを認識させ、「起こさない」「焦らない」「叱らない」「比べない」「夜尿のない日は褒める」という態度・習慣も重要である。

 同氏は、「夜尿症はアレルギー疾患に次いで小児にありふれた疾患であり、多くの小児科、かかりつけ小児科で診療されることが望ましい」と夜尿症診療の普及を訴えた。

(牧野勇紀)

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