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脳卒中は晩発性ADリスクを上昇

 2016年08月23日 07:15

 脳卒中の既往は晩発性アルツハイマー病(LOAD)のリスクを有意に上昇させるだけでなく、心血管疾患(CVD)リスク因子の媒介因子としてもLOADリスクを上昇させる。米・Columbia UniversityのGiuseppe Tosto氏らは、LOADに関する長期研究NIA-LOAD/NCRAD※1およびWHICAP※2を解析した結果を、JAMA Neurol2016年8月15日オンライン版)に発表した。LOADのリスクには複数の因子が複雑に関連していることが明らかになった。

続きを読む(読了時間:約 2 分) 

高血圧はリスクを低下

 2003~15年にNIA-LOAD/NCRAD研究の6,553例(女性61.7%、男性38.3%、平均年齢77.0歳、LOAD患者52.9%)およびWHICAP研究の5,972例(女性68.2%、男性31.8%、平均年齢76.5歳、LOAD患者45.2%)を対象に解析を行った。WHICAP研究の対象は解析結果を追試するために用いた。対象は①60歳以上で、②LOADの疑いまたは可能性③CVDリスク因子(高血圧、2型糖尿病、心疾患)の評価④家族歴の情報―がある者とした。

 一般化混合ロジスティック回帰モデルを用いて、CVDリスク因子(2型糖尿病、高血圧、心疾患)および脳卒中の既往歴とLOADとの関連を検討した。NIA-LOAD/NCRADの対象では、高血圧はLOADリスクを有意に低下させた〔オッズ比(OR)0.63、95%CI 0.55~0.72、P<0.001〕が、2型糖尿病および心疾患にLOADとの関連は認められなかった。一方、脳卒中の既往歴はLOADリスクを2倍以上上昇させた(同2.23、1.75~2.83、P<0.001)。これらの結果は、ADとの関連が指摘されているアポリポ蛋白E(APOE)ε4アレルで調整後も同様であった。

 WHICAPの対象では、CVDリスク因子とLOADとの関連は認められなかったが、NIA-LOAD/NCRADの対象と同様に脳卒中の既往歴はLOADリスクを約2倍上昇させた(OR1.96、95%CI 1.56~2.46)。

遺伝的背景とは無関係にリスク上昇

 NIA-LOAD/NCRADの対象において、LOAD関連の一塩基多型(SNP)に基づく遺伝的リスクスコア(GRS)を検討した結果、LOADとGRS(OR 2.85、95%CI 2.05~3.97)およびAPOEε4アレル(同4.47、3.86~5.17)との間に強い関連が認められた。

 一方、高血圧とGRS(同0.75、0.57~0.98)およびAPOEε4アレル(同0.76、0.64~0.90)との逆相関が認められたが、その他のCVDリスク因子および脳卒中既往歴とGRSとの関連は認められなかった。この結果はGRSで調整したモデルによる解析でも同様だった。Tosto氏らは「脳卒中の既往歴は、LOAD関連の遺伝的背景とは独立してLOADリスクを上昇させることが示唆された」としている。

 Sobel testによる媒介効果の分析では、脳卒中の既往歴がLOADリスクと高血圧(P=6.7×10-6)、2型糖尿病(P=2.5×10-5)、心疾患(P=4.0×10-5)との関連をそれぞれ有意に媒介することが示された。WHICAPの対象でも結果は同様であった。

 今回の結果から高血圧、脳卒中、LOADの複雑な関係が示された。同氏らは「高齢者では高血圧がLOADの予防になる可能性があることや、降圧薬が認知症・認知機能障害の発症を抑制することが示されており、これによって高血圧によるLOADリスクの低下について説明できる可能性がある」と述べている。さらに「高血圧による脳卒中を介したLOADリスク上昇への間接的影響(高血圧が脳卒中リスクを上昇させ、それがLOADリスク上昇につながる)と同時に、これとは逆の直接的影響(高血圧によるLOADリスク低下)が生じる。間接的影響を打ち消すほど逆向きの直接的影響が大きくなれば、高血圧の全体的な影響としてLOADリスクが低下する(図)。CVDリスクはLOADと関連するが、LOADのリスクを上昇させるか低下させるかは条件によって異なるため、さらなる研究が必要だ。一方、脳卒中はCVDリスク因子の媒介因子としてLOADリスクを上昇させるが、CVDリスク因子とは関係なくLOADリスクを上昇させる」と説明している。

図. 脳卒中を介したCVDリスク因子とLOADの関係

JAMA Neurol 2016年8月15日オンライン版)

※1NIA-LOAD/NCRAD;National Institute on Aging Late-Onset Alzheimer Disease/National Cell Repository for Alzheimer Disease family study.2003年から米国内23施設の家族性LOAD患者を対象にデータの収集を継続中

※2WHICAP;Washington Heights-Inwood Columbia Aging Project.1992年からニューヨーク市マンハッタン北部のメディケア受給者を対象にデータの収集を継続中

太田敦子

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