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胆石症の既往で冠動脈疾患リスク23%上昇

84万人を対象とした大規模解析

 2016年08月24日 07:05

 胆石症の既往は冠動脈疾患(CHD)リスクを23%上昇させることが明らかになった。米国の大規模前向きコホートを含むメタ解析の結果を、米・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのYan Zheng氏らがArterioscler Thromb Vasc Biol2016年8月18日オンライン版)で発表した。この結果を踏まえ、心疾患予防の観点からも胆石症の予防は有益と考えられると述べている。

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男女差は認められず

 胆石症と心血管疾患には複数の共通するリスク因子(肥満、糖尿病、メタボリックシンドロームなど)がある。また、胆石症では胆汁酸の分泌に異常を来すが、胆汁酸は腸内細菌叢の構成と活動の制御に重要な役割を果たしていること、トリメチルアミン-N-オキシドやL-カルニチンといった腸内細菌叢による代謝産物が心血管リスクに直接関連していることなどが明らかにされつつある。

 これまで、胆石症と心血管リスクとの関連を生活習慣や食生活を視野に入れて前向きに検討した米国内の長期データは極めて少ないことから、Zheng氏らは胆石症の既往とCHD発症リスクとの関連を、米国の医療関係者を登録した3件の大規模前向きコホートで検討した。対象はNurses' Health Study(NHS、1980~2010年)、NHSⅡ(1989~2011年)、Health Professionals Follow-up Study(HPFS、1986~2010年)の登録者で、ベースライン時にがんや心血管疾患が認められなかった26万9,142人(NHS女性11万2,520人、NHSⅡ女性11万2,919人、HPFS男性4万3,703人)。

 ベースライン時に胆石症の既往を報告したのはNHSとNHSⅡの女性1万4,023例(6.2%)、HPFSの男性1,449例(3.3%)であった。

 約30年の追跡期間中に全体で2万1,265例がCHDを発症した。胆石症既往あり群は既往なし群に比べてCHDの発症率が約2倍だった。年齢調整後の解析で、各コホートにおいて胆石症既往はCHD リスクと有意な関連が認められた。Cox比例ハザードモデルによる多変量解析の結果、胆石症既往あり群の既往なし群に対する調整後ハザード比(HR)は、NHS1.15(95%CI 1.10~1.21)、NHSⅡ1.33 (同1.17~1.51)、HPFS1.11(同1.04~1.20)で、胆石症の既往とCHDの発症に有意な関連が認められた。これに対し、性差は示されなかった(異質性のP=0.23)。

 肥満や糖尿病、高血圧を有する胆石症既往群よりも、非肥満、非糖尿病、非高血圧の胆石症既往群でCHDの発症リスクが高かった。これについて同氏らは「肥満や糖尿病、高血圧と診断された患者では生活習慣を改善することが、こうした結果につながった可能性がある」と述べている。

代謝と腸内細菌叢の両経路が関与

 次にZheng氏らは2015年10月までにPubMedおよびEmbaseに収載された4件の前向きコホート研究を抽出し、前述の3コホートと併せてメタ解析を実施した。7コホート全体の解析対象は84万2,553人、CHD発症例は5万1,123例であった。

 その結果、胆石症の既往はCHD発症リスクの23%の上昇と関連していることが示された(感度解析結果;プールしたリスク比1.23、95%CI 1.15~1.33)。

 今回の研究では、胆石症とCHDとの関連を裏付ける機序を特定できていないが、同氏らは少なくとも代謝と腸内細菌叢の2つの経路が関与していると見ている。例えば、代謝経路としては、胆石症(特にコレステロール胆石症)患者では胆汁酸とレシチンの分泌抑制、コレステロールの分泌亢進によって心血管疾患リスクが上昇することが考えられるという。

 同氏らは「今回の研究結果を実臨床に応用するには、胆石症およびCHDと関連する因子を理解し、それらの因子が心血管の健康に及ぼす影響を臨床試験により評価する必要がある。しかし、少なくとも消化器疾患が心血管疾患の予防に重要な役割を果たしているといえる」とコメントしている。

古川忠広

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