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遺伝子解析で早期乳がん過剰治療を回避

MammaPrintで低リスクは術後化学療法不要の可能性

 2016年08月31日 07:15

 近年、遺伝子の網羅的解析によりがん患者の予後予測・治療効果予測を行う多遺伝子アッセイ(多重遺伝子診断)の研究が進められ、実用化されつつある。早期乳がん患者の再発リスクについて、多遺伝子アッセイの1つであるMammaPrintを用いて評価し、予後を解析した国際ランダム化比較第Ⅲ相臨床試験であるMINDACTの結果から、従来の臨床学的および生物学的基準に基づく乳がん再発リスクが高くても、MammaPrintの判定で遺伝学的に再発リスクが低い患者では、術後補助化学療法(以下、術後療法)を行わなくても遠隔転移なしの5年生存率は95%程度と高いことが分かった。N Engl J Med(Cardoso F, et al. N Engl J Med 2016; 375: 717-729)で報告された。

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臨床学的に高リスクでも46%は化学療法不要か

 MammaPrintは、細胞周期、増殖、浸潤、転移、血管新生、シグナル伝達に関連する70遺伝子を用いたマイクロアレイ解析で、対象を予後不良群と予後良好群とに分類する。

 MINDACT(Microarray in Node-Negative and 1 to 3 Positive Lymph Node Disease May Avoid Chemotherapy)試験では、2007~11年にスクリーニングを受けた1万1,288例のうち登録された早期乳がん6,693例を対象に、MammaPrintによる遺伝学的な再発リスク(genomic risk;G)と従来の臨床学的および生物学的基準に基づく乳がん再発リスク計算ツール「Adjuvant! Online」による再発リスク(clinical risk;C)の判定を実施。2つの方法による評価判定から、再発リスクに関して①臨床学的にも遺伝学的にも低い(C-low/G-low)②臨床学的には低いが遺伝学的には高い(C-low/G-high)③臨床学的には高いが遺伝学的には低い(C-high/G-low)④臨床学的にも遺伝学的にも高い(C-high/G-high)‐の4つのグループに分類した。

 C-low/G-low群には術後療法を行わず、C-high/G-high群は術後療法を行うものとし、C-high/G-low群とC-low/G-high群については術後療法ありとなしにランダムに割り付けた。主要評価項目は遠隔転移を認めない生存率(5年時のイベントフリー率)として、予後を解析した。

 全体の患者背景は、年齢中央値が55歳(範囲23~71歳)、リンパ節転移陰性例が79.0%を占め、1~3個のリンパ節転移を認める患者は20.9%であった。88.4%の患者にエストロゲン受容体(ER)とプロゲステロン受容体(PgR)のいずれか、あるいは両方の発現を認め、HER2陽性例は9.5%であった。

 解析の結果、C-low/G-low群は2,745例(41.0%)、C-low/G-high群は592例(8.8%)、C-high/G-low群は1,550例(23.2%)、C-high/G-high群は1,806例(27.0%)となった。

 C-high/G-low群で術後療法を行った場合の遠隔転移なし5年生存率は95.9%(95%CI 94.0 ~97.2%)であったのに対し、同群で術後療法を行わなかった場合の同率は94.4%(95%CI 92.3 ~95.9%)であり、その差は絶対値でわずか1.5%であった(術後療法施行vs.術後療法非施行の遠隔転移または死亡の調整ハザード比は0.78、95%CI 0.50~1.21、P=0.27)。

 またC-high/G-low群での無病生存期間、全生存期間についても、術後療法施行の有無による有意差は認められなかった。

 この遠隔転移なしの5年生存率の結果は、ER陽性/HER2陰性のサブグループ群、およびリンパ節転移の有無で分けたサブグループ群でも同様であったという。

 研究者らは、同試験の結果から「臨床学的に再発リスクが高いとされる乳がん患者の46.2%(3,356例中1,550例)は、化学療法が不要の可能性がある」と結論付けている。

(髙田あや)

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