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葉酸強化食で先天性心疾患が11%減

カナダで22年間590万人のコホートを解析

 2016年09月06日 07:25
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イメージ画像 (c)Thinkstock/Getty Images ※画像はイメージです

 妊娠前後の葉酸強化食が複数のサブタイプの先天性心疾患(CHD)発生リスク低減につながり、全体では染色体異常を除くCHDが11%低下することが示された。カナダ国内で1990〜2011年に出生した590万人以上のコホートで検討した結果を、カナダ公衆衛生局のShiliang Liu氏らがCirculation2016; 134: 647-655.)で報告した。

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心房中隔欠損を除き発生率は低下

 妊娠前後に摂取する葉酸を含むマルチビタミンや葉酸強化食が先天性心疾患に及ぼす影響について従来の見解は分かれていた。Liu氏らは、カナダ健康情報研究所(CIHI)のDischarge Abstract Database(DAD)を用い、1990〜2011年のカナダ国内(ケベック州、マニトバ州を除く14地域)における生産児と20週以降の死産児(妊娠後期の中絶も含む)、全出生590万1,701例を対象としたコホート研究を実施。カナダでは1998年11月に精白小麦粉、栄養強化パスタ、コーンミールなどへの葉酸強化が義務付けられたことから、1998年までと1999年以降とで先天性心疾患の6つのサブタイプについて有病率を比較した。

 従来のカナダの研究では葉酸強化が先天性神経管欠損の発生率低減につながることが示されていた。また、円錐動脈幹に関連する重度の先天性異常の発症率が低下するとの報告もあったが、同氏らは他のリスク因子の検討が十分ではなかったと判断し、今回の研究に踏み切った。

 590万1,701例中7万2,591例が先天性心疾患と診断され、1,000例当たりのCHD発症率は12.3例であった。心室中隔欠損と心房中隔欠損の両者で約半数(47.5%)を占めていた。

 全CHD発症率は全研究期間を通して低下傾向にあり、多くのサブタイプでは有意な低下傾向を示したが、心房中隔欠損については増加していた(全出生1万例当たりの発症率は1990年の18.7から2011年には33.2に増加、)。

図. CHDのサブタイプ別発症率の推移

Circulation 2016; 134: 647-655)

重度の先天異常が大幅に減少

 主解析では染色体異常を伴うCHDを除いた6万6,980例に対する葉酸強化食の影響を、CHDサブタイプ別にポアソン回帰分析により定量化。母体年齢、妊娠前の糖尿病、妊娠中の子癎前症、多胎出産、妊娠中絶による調整を行った。

 その結果、葉酸強化食のCHD発症への影響を示す調整後率比(aRR)は、全体(染色体異常を除く)では0.89(95%CI 0.82〜0.98、P=0.031)で、染色体異常を除くCHD発症を11%低下させることが示された。サブタイプ別にaRRを見ると、円錐動脈幹異常(総動脈幹症、大動脈肺動脈中隔欠損、大血管転位、ファロー四徴)で0.73(95%CI 0.62〜0.85、P=0.0002)、大動脈縮窄症0.77(同0.61〜0.96、P=0.022)、心室中隔欠損0.85(同0.75〜0.96、P=0.013)、心房中隔欠損 0.82(同0.69〜0.95、P=0.012)、円錐動脈幹異常以外の重度の房室・中隔異常(房室中隔欠損、両心室結合、左心低形成症候群) 0.81(同0.65〜1.03、P=0.086) 、他のCHDでは 0.98(同0.89〜1.11P=0.97)であった。

 葉酸強化後にCHD発症率が上昇していた心房中隔欠損についても調整RRで見ると葉酸強化の効果が確認されており、特に母体の年齢の上昇が未調整RRの上昇の要因であったことが示されたという。

葉酸補充の効果は今後解明

 二次解析では孤発性CHD(心臓以外に先天異常が認められない)に限って解析を行ったが、主解析と同様の結果が得られている。

 また、今回の解析の結果、葉酸強化食以外にも、妊娠前の糖尿病、妊娠中の子癎前症がCHDと関連していることが示された。

 葉酸強化食がCHD予防につながる機序としては、母子双方のMTHFR C677Tの多型がCHDリスクに関与しており、妊娠前後の葉酸補充がこの多型になんらかの影響を及ぼすとの指摘があったが、近年の研究からエピジェネティックな機序による次世代への影響(transgenerational effect)の可能性も示唆されている。今後、葉酸強化食の効果は数世代先に明らかになると考えられる。

(古川忠広)

  

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