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疑義照会は医療費を年間236億円を節減か

 2016年09月07日 07:15
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 医薬分業体制の下で患者の安全性を確保するため、薬剤師は処方箋の内容に疑義が生じた場合には医師に疑義照会を行わなければならない。一方、疑義照会の有用性を含めた医薬分業の意義や薬局薬剤師の職能に対する認識には、医師の間でもばらつきが見られるようだ。東京理科大学薬学部教授の鹿村恵明氏らは、薬局薬剤師が行う疑義照会の実態把握とともに、疑義照会による薬剤費の節減効果と重篤な副作用回避による医療費削減効果、そして医薬分業率との関連性を全国規模の調査で検証した。その結果、薬学的疑義照会により年間約103億円、重篤な副作用回避により年間約133億円の医療費削減効果が得られると推計した(YAKUGAKU ZASSHI 2016; 136: 1263-1273)。

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全国の保険薬局をランダム抽出してアンケートを実施

 調査はアンケート法で実施。全国の地方厚生局ホームページ掲載の保険医療機関・保険薬局の指定一覧から都道府県ごとに保険薬局数の1割をランダム抽出し、5,630軒に調査依頼状を送付、このうち未達の55軒を除く5,575軒に調査依頼し、WEB上で回答を集め、最終的に818軒(14.7%)が回答した。調査対象薬局818軒の形態は、個人経営87軒と法人経営731軒だった。平均備蓄医薬品数は1,053.9品目で、このうち後発医薬品数は278.9品目、麻薬は5.8品目。処方箋応需枚数は平均1,425.8/月、処方箋応需医療機関数は46.2機関であった。

 調査対象期間(2015年7月21〜27日の7日間)に応需した処方箋の総枚数は29万7,086枚で、このうち疑義照会を行ったのは7,607枚8,136件。疑義照会率は処方箋枚数ベースで2.6%、件数ベースで2.7%であった。疑義照会総件数中、記載事項の不備である「形式的疑義照会」は1,782件(21.9%)、薬学的知識による判断を要する「薬学的疑義照会」は6,354件(78.1%)であった。なお、調査期間内に全く疑義照会を行わなかった薬局が62軒存在したという。

用法・用量に関する疑義が31.2%と最多

 薬学的疑義照会の内容は「用法・用量に関する疑義」が31.2%と最も多く、「安全性上の疑義」が25.9%、「日数・回数・総数に関する疑義」が25.7%、「服薬コンプライアンス・QOL改善に伴う疑義」が9.1%、「調剤方法の疑義」が0.5%、「その他」が7.6%であった。細項目分類では「内服薬の用法」に関する疑義照会が15.0%と最も多く、「残薬に伴う日数・投与回数の調整」が12.5%、「処方意図の確認(保険適応上の疑義を含む)」が9.5%などであった。

医薬分業率が高いと疑義照会後の処方変更率も高い

 続いて鹿村氏らは、薬学的疑義照会6,354件のうち、薬剤数量の変化が著しく多い4事例は外れ値として除外し、薬剤費の算出が可能な6,350件を解析対象として薬剤費の変化を算出した。すると、計320万1,519円の減額となった。この結果と2014年度の全国処方箋枚数8億831万枚などの解析によって、全国の薬局薬剤師が行う疑義照会による年間薬剤費節減額は、102億8,990万3,927円(95%CI 72億4,068万7,993円〜133億3,911万9,860円)と推計されたという。

 一方、薬学的疑義照会により重篤な副作用の回避につながったと考えられる事例は6,354件中327件で、回避しえたと考えられる副作用は、消化性潰瘍が44例と最も多く、薬物性肝障害41件、重度の下痢28件などであった。起こりうる副作用をDPC/PDPS(診断時分類による1日当たり包括支払い方式)に当てはめ、副作用が生じた場合にかかる治療費を算出した結果、計7,391万7,510円となった。そして、全国の薬局薬剤師の疑義照会に伴う重篤な副作用回避による年間医療費節減額は133億326万8,949円と推計されたという。

 さらに同氏らは、2014年度の全国医薬分業率平均値である68.7%を境界として、各都道府県を「高分業率群(平均分業率74.4%)」と「低分業率群(同59.1%)」の2群に分け、薬学的疑義照会による処方変更率を比較した。その結果、高分業率群の処方変更率は78.2%、低分業率群は69.9%であり、高分業率群の処方変更率が有意に高いことが明らかになった(χ2 test、P<0.001)。

 以上の結果について鹿村氏らは「疑義照会は薬物療法による有害事象を回避し患者の安全を確保するだけでなく、医療費抑制効果ももたらされる有益な薬剤師業務である」とし、「医薬分業の進展が、疑義照会による医薬品適正使用につながっていることを示す初のエビデンスだ」と考察している。

長谷川愛子

  

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