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広がる進行・再発大腸がんの治療選択

ラムシルマブが二次治療薬に

 2016年09月07日 07:15

 今年(2016年)5月、治癒切除不能な進行・再発大腸がんに対して、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)受容体2に対するヒト型モノクローナル抗体ラムシルマブの適応追加が承認された。国立がん研究センター東病院消化管内科科長の吉野孝之氏は、8月30日に東京都で開かれたLilly Oncology「大腸がん」メディアセミナーで、今年11月に発刊予定の「大腸がん治療ガイドライン医師用2016年改訂版」の最終案を示し、同薬が切除不能進行・再発大腸がんに対する二次治療において使用される薬剤として、現行のガイドラインのベバシズマブと基本的に同じ位置付けになることを報告した。

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ガイドライン改訂版が間もなく刊行

 吉野氏によると、今年11月に大腸がん治療ガイドライン医師用2016年改訂版が刊行される予定である。今年7月に開催された大腸癌研究会では、その改訂案の要旨が報告されたが、切除不能・進行再発大腸がんで化学療法による「強力な治療が適応となる患者」に対して、一次治療でオキサリプラチンを含むレジメンに不応・不耐となった場合の二次治療の選択肢として、「FOLFIRI〔フルオロウラシル(5-FU)+イリノテカン+ロイコボリン〕+ラムシルマブ」が加わった()。

図.切除不能進行・再発大腸がんに対する化学療法

〔大腸がん治療ガイドライン医師用2016年改訂版(案)〕

 ラムシルマブが切除不能進行・再発大腸がんの二次治療に加わったエビデンスとして、同氏はRAISE試験を報告。日本も参加した国際共同第Ⅲ相ランダム化比較試験である同試験では、FOLFOX(5-FU+オキサリプラチン+ロイコボリン)/XELOX(オキサリプラチン+カペシタビン)+ベバシズマブによる一次治療施行中または施行後に増悪が認められた転移性大腸がんを対象に、主要評価項目を全生存期間(OS)として、ラムシルマブ+FOLFIRI群とプラセボ+FOLFIRI群が比較された。その結果、OS中央値は、プラセボ+FOLFIRI群の11.7カ月に対し、ラムシルマブ+FOLFIRI群では13.3カ月と有意な延長を示した(ハザード比0.84、P=0.0219)。またラムシルマブ+FOLFIRI群の20%以上の患者に認められたグレード3以上の有害事象として好中球減少症があったが、同氏は「時に致死的となる発熱性好中球減少症については両群に差はなく、安全性においてはこれまでの治療と同様であると思われる」とコメントした。

 同氏によると、現行のガイドラインで推奨されているレジメンの中で、日本では、一次治療では5-FUとオキサリプラチンの併用による化学療法+ベバシズマブという治療法が選択される場合が多く、二次治療ではFOLFIRI+ベバシズマブ併用療法が選択される場合が最も多い。しかし、一次治療で効かなかったのに二次治療でまた同じ薬剤を使うことに疑問を持つ患者はいるという。同氏は、「これまでは二次治療で他の選択肢がない状況であり、二次治療でベバシズマブが効かなければ三次治療に移行していたが、二次治療でラムシルマブに切り替えるという選択肢が生まれた。今後の二次治療のFOLFIRI投与時には、ラムシルマブは1つの治療選択肢として患者に説明すべき薬剤である」と述べた。

国家財産としてのビッグデータ形成へ

 なお吉野氏は現在、日本初の産官学連携全国がんゲノムスクリーニング「SCRUM-Japan」における大腸がんの遺伝子スクリーニングネットワーク「GI-SCREEN」の研究代表者でもある。SCRUM-Japanは、GI-SCREENと希少肺がんの遺伝子スクリーニングネットワーク「LC-SCRUM-Japan」が統合してできたものだが、現在は全国213医療機関と15社の製薬会社が参画し、日本人の遺伝子異常に合った治療薬や診断薬の開発を目指しているという。

 同氏は、SCRUM-Japanの第Ⅰ期(2015年2月~17年3月)における産官学合同の国家プロジェクトが順調に進んでいると報告。現時点で、希少がんの遺伝子スクリーニングや遺伝子解析の結果に基づいた治療開発、コンパニオン診断薬の開発のサポートは達成できており、今後はマルチプレックス診断薬の性能評価・IVD申請などを行っていくとした。

 最後に同氏は、わが国における個別化医療(Precision Medicine)実装に必要なこととして、①希少フラクションの治療開発およびリキッドバイオプシーの臨床開発の促進②がんゲノムと免疫関連遺伝子異常との相関の解明③患者レジストリ公的データベースの整備④現場レベルでの医療関係者の教育および人材育成⑤国際協調の強化-を挙げ、SCRUM-Japanで得られた貴重な遺伝子情報および臨床情報については、「いずれは公的なデータベースに投入し、日本の国家財産としてのビッグデータをつくり上げていきたい」と抱負を語った。

  • 重篤な併存疾患がなく、一次治療のオキサリプラチンやイリノテカン、分子標的治療薬の併用療法に耐容性があると判断される患者。強力な治療が適応となる患者であっても、腫瘍進行が緩徐と判断される症例または重篤な有害事象の発生を好まない患者などに対しては、一次治療として単剤療法(フッ化ピリミジン単独など)や二剤併用療法(フッ化ピリミジン+ベバシズマブなど)も選択肢となりうる。

(髙田あや)

  

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