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脳卒中上肢麻痺に有効な新規刺激法

対側制御機能的電気刺激法で手指の巧緻性を改善

 2016年09月23日 07:15

 新規の電気刺激療法で脳卒中後の上肢麻痺が有意に改善した。米・Case Western Reserve UniversityのJayme S. Knutson氏らは、中等度以上の上肢不完全麻痺が認められる脳卒中後患者を対象に、新規の対側制御機能的電気刺激法(CCFES)と従来のサイクリック神経筋電気刺激法(cNMES)の効果を比較した結果、「手指巧緻性の改善効果はCCFESの方がcNMESを上回っていた」とStroke2016年9月8日オンライン版)に報告した。

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健側から随意に麻痺側を刺激

 米国心臓協会(AHA)によると、米国では毎年約80万人が脳卒中を発症している。脳卒中サバイバーでは不全麻痺あるいは片側不全麻痺により手指を伸ばす動作など上肢機能が障害されることが多い。

 従来のcNMESなどによる脳卒中リハビリテーションでは弱い電流を麻痺側の筋肉に流して手指の伸展、筋力の向上、手の機能の温存を図っていた。刺激強度、on-offのタイミングや頻度が事前に設定されており、患者が自由に調整できなかった。

 これに対し、MetroHealth System、 Case Western Reserve University 、Cleveland Functional Electrical Stimulation Centerは共同で健側手に装着したグローブを用いて患側手の神経に電気刺激を与えるシステムCCFESを開発した。グローブの人差し指、中指、薬指部分にはベンド・センサーを取り付け、携帯型の刺激発生装置を介して、患側手に貼付した表面電極とつながっている。健側の3本の指の曲げに応じて電気刺激が患側手にリアルタイムで伝えられる仕組みで、患者自身が刺激およびその強度を随意に制御、左右の手の動きの同調を図ることが可能である(図1)。

図1.対側制御機能的電気刺激(CCFES)システム

(©2011 Cleveland FES Center)

 Knutson氏は「これまでのパイロット研究から既にポジティブな知見は得られていたが、今回の研究の狙いはCCFESによる手の巧緻性改善効果を一般的に普及しているタイプのcNMESとの比較で検証すること」と説明している。

発症2年以内の中等度例で効果最大

 発症から6カ月超経過した脳卒中で上肢に中等度あるいは重度の片側不全麻痺が認められる80例を対象に、ランダムにCCFES群またはcNMES群に割り付け、これらの電気刺激療法を用いた手指伸展の自己訓練を自宅で週当たり10セッション(1セッション=50~60分)、12週継続した。加えて、同期間中に作業療法士による機能的タスク訓練を計20回行った。

 治療前と治療終了6カ月後におけるBox and Block Test (BBT)スコア(被験者が60秒間に仕切りの反対側の区画に手で移すことができたブロック数)の変化を一次アウトカムとし、Fugl-Meyer法の上肢機能項目(UEFM)および腕運動機能検査(AMAT)による評価も行った。

 その結果、BBTスコアの改善はCCFES群で4.6(95%CI 2.2~7.0)、cNMES群で1.8(同0.6~3.0)、群間差は2.8(同0.1~5.5)で、CCFES群の改善が有意に大きかった(P=0.045)。これに対し、UEFM(P=0.888)、AMAT(P=0.096)では有意差は示されなかった(図2)。

図2. 治療前後における各評価スコアの変化(平均、標準偏差)


Stroke 2016年9月8日オンライン版)

 BBTスコアで示される手の巧緻性が最も大きく改善したのは、脳卒中発症後2年未満かつ研究開始時点における手の機能障害が中等度のグループ。CCFES群で9.6(95%CI 5.6~13.6)、cNMES群で4.1(同1.7~6.5)改善しており、群間差は5.5(同0.8~10.2)であった(P=0.023)。 

 研究開始時点で手指をほとんど動かすことができなかった重度患者(手首の伸展、拇指の外転/伸展、指間の伸展の可動角が10°未満)でもCCFES群でUEFMスコアの改善が認められた。

在宅療法推進が患者に恩恵

 治療終了時点で「研究開始前より手が使えるようになった」と回答した患者の割合は、CCFES群で97%、cNMES群で88%であった。研究関連の重篤な有害事象はなかったが、電極による皮膚刺激を3例が、治療セッション後の頻回な頭痛および一過性の不快な刺激をそれぞれ1例が報告していた。

 今回、CCFES単施設で実施されたが、今後は多施設試験を実施するとともに、患者のQOL改善の評価も行う予定であるという。

 Knutson氏らは、CCFESにより手の巧緻性をつかさどる脳領域の神経結合に変化が生じるのではないかと推測しているが、CCFESが中枢神経系に及ぼす影響の解明は今後の研究を待つ必要がある。

 今回の研究は、脳卒中サバイバーがCCFESを有効に活用して自宅で自己治療を行うことができることを示している。同氏は「在宅中心の治療は、増加の一途をたどる医療費を削減し、最善のアウトカム達成に不可欠な治療回数増加のニーズに応える意味で重要である。治療回数が増えるほど、アウトカム改善につながる可能性がある」と指摘した。

(古川忠広)

  

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