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反復配列RNAの異常発現が膵がん発生を促進

 2016年09月27日 07:15
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 膵がんではがん化の前段階から蛋白質情報を持たない反復配列RNAの1種であるサテライトRNAが異常発現し、がん化を促進している。東京大学病院消化器内科の岸川孝弘氏、大塚基之氏らは、同科教授の小池和彦氏の指導の下、マウスの細胞を用いて膵がんの発がん機序について検討し、その結果をNature Communications2016年9月26日オンライン版)で発表した。

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軽微なDNA損傷の修復を遅延

 膵がんは予後不良であるが、その発がん機序は明らかになっていない。膵がんの発がん機序を明らかにするため、岸川氏らは遺伝子改変により膵がん特異的なKras遺伝子に変異を有するマウスを用い、膵臓に形成された良性腫瘍から細胞株を樹立。その細胞に、マウスの前がん段階に発現するサテライトRNA(染色体の中心部分セントロメアに高度に反復して集中的に存在する反復配列RNA)の1種major satellite RNA(MajSAT RNA)を強制的に発現させた系を樹立した。

 この系を用いて検討した結果、MajSAT RNA発現細胞は足場のない場所での増殖や、細胞密度に依存しない無秩序な増殖など、がん細胞に見られる表現型を獲得した。1カ月間培養した細胞に蓄積したDNA突然変異数は、ゲノムDNA と比較するとMajSAT RNAを発現していない細胞で多く、ミトコンドリアDNAと比較するとMajSAT RNA発現細胞で多かった。

 次にMajSAT RNA発現細胞でDNA変異が蓄積する機序を調べるため、MajSAT RNAと結合する蛋白質を質量分析法によって検索した結果、多機能蛋白質YBX1が同定された。YBX1は通常時は細胞質に存在するが、酸化ストレスなどで核内に移動し、DNA修復や転写調整などの役割を果たす。今回、MajSAT RNAは細胞質でYBX1と結合することでストレス刺激後のYBX1の核内移行を阻害し、酸化ストレスによって生じるDNAの軽微な損傷を修復する塩基除去修復の遅延が起こることが分かった。

 一方、MajSAT RNA発現細胞にYBX1を過剰発現させて核内移行機能を回復させる、またはMajSAT RNAと結合しない変異型YBX1を発現させることで、これらの変化は生じなくなったことから、YBX1の機能阻害はMajSAT RNAによって生じることが示された。

 以上から、がん化の初期段階に発現するMajSAT RNAが、酸化ストレスなどにより生じるDNA損傷の回復を遅延させ、結果的にゲノムやミトコンドリアDNAの突然変異が蓄積し、細胞のがん化を促進していることが示唆された。

 今回の研究結果から大塚氏は「がん化の早期から発現する反復配列RNAが、がん化を促進させる機構として重要な働きをしていることが示唆された。膵がんはKras遺伝子が変異した後、さまざまな遺伝子変異が蓄積して発がんすると考えられている。Kras遺伝子変異後の反復配列RNA発現により、その後のDNA変異の確率が上昇するならば、反復配列RNAの機能解明、反復配列RNAの測定による早期診断が重要である」と述べている。

(大江 円)

  

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