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ストロングスタチンで低下しなければ...

動脈硬化学会理事長・FHの早期診断にこつ

 2016年09月27日 11:50

 日本動脈硬化学会は、欧州動脈硬化学会(EAS)が9月24日に設定した「FH(家族性高レステロール血症) Day」を軸に、FHのさらなる早期診断と治療の推進に向け、翌9月25日に東京都でプレスセミナーを開催した。日本動脈硬化学会理事長の山下静也氏(りんくう総合医療センター病院長)は、ストロングスタチンを投与してもLDLコレステロール(LDL-C)の十分なコントロールが得られなければ、FHの可能性を考慮してほしいと述べ、アキレス腱肥厚などの臨床所見が見られないといった紛らわしいケースでFHを診断する際のコツを紹介した。

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日本の診断率は1%未満と報告

 FHは、LDL受容体または関連遺伝子の遺伝的欠損によりLDL-Cが180mg/dL以上を呈する疾患で、若年早期に冠動脈疾患を来すという病態を引き起こす。LDL受容体変異に基づく日本人のヘテロ接合体FH患者は500人に1人と推定されるが、その他の遺伝子変異を含む遺伝子解析を行った一部の地域では200人に1人に上るとも報告されている。

 成人のヘテロ接合体FHの診断については、診断基準の2項目以上を満たした場合とされており、遺伝子検査を実施しなくても診断が簡便に行える()。

表. 成人(15歳以上)FHヘテロ接合型診断基準

(動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版)

 オランダではFHを疑った際は遺伝子解析を行うとともに、患者の家族についても介入する対策が取られている。同国のFH診断率は71%と極めて高い一方、わが国では1%未満であることが報告されている(Eur Heart J 2013; 34: 3478a-3490a)。

 FHの全国調査によると、ホモ接合体FH患者(641例、平均年齢51歳)の平均LDL-C値は248mg/dLであり、24%が冠動脈疾患の既往歴を有していたという。そのため早期に診断し、冠動脈疾患の一次・二次予防の実施が重要となる。

7~8歳児が受診したら血清脂質の測定を

 山下氏は、実臨床でFHを疑う1つの目安として「ストロングスタチンを投与してもLDL-C値が低下しない患者」を挙げた。そのような患者がいれば、椅子に膝をついてもらうか足を組んでもらうなどして、踵に力がかからない状態でアキレス腱を触診してほしいと述べた()。FHの身体所見の1つである硬く肥厚したアキレス腱(肥厚9mm以上)が触知できれば、LDL-Cコントロール不良例ではなくFHの可能性がある。

図. FHにおけるアキレス腱の触診例

(編集部作成)

 しかし身体所見には注意点もある。同氏によると、早期にストロングスタチンを投与されているFH患者などでは、アキレス腱が肥厚しない者がいるという。そのため身体所見の確認の他に、家族歴の詳細な聴取(高コレステロール血症の有無と発症年齢、冠動脈疾患の有無と発症年齢など)が必要だ。

 また小児のFHヘテロ接合体の場合、身体所見がまだ発現せず成人のように血清脂質を測定する機会も少ないため、早期診断に結び付けにくい。そこで小児科医に対しては、7~8歳児が受診した際の血清脂質の測定を呼びかけた。その結果を踏まえ、両親や血縁者のFHも拾い上げができる。逆に「両親の健診結果から子供のFHを拾い上げるという方法もある」と同氏は紹介した。

FHホモ接合体の治療薬の開発も

 FHに対する薬物療法はスタチン、エゼチミブ、陰イオン交換樹脂(レジン)、プロブコールがあり、今年(2016年)、新たにPCSK9阻害薬が日本でも使用できるようになった。LDL受容体は、LDL-Cを分解した後に再利用されるが、主に肝細胞から分泌される蛋白質PCSK9がLDL受容体に結合すると再利用する機能が抑制されてしまう。それを阻害するのがPCSK9阻害薬である。

 同薬はFHホモ接合体の他、FHホモ接合体の両親から生まれたFHヘテロ接合体でLDL受容体活性が残存する機能不全型(defective type)の患者にも有効である。しかし、機能完全欠損型(negative type)のFHホモ接合体患者では同薬の効果が得られない。現在、カイロミクロン合成とVLDL分泌に関与するミクロソームトリグリセライド転送蛋白(MTP)を阻害することで、VLDL分泌とコレステロール合成を抑制するMTP阻害薬の承認が待たれている(2016年9月25日現在)。

 山下氏らは、採取した健康人の同種脂肪組織由来多系統前駆細胞(ADMPC)を約1カ月培養し、それをFHホモ接合体患者の肝臓内にカテーテルを介して移植するという、新しい細胞移植療法を開発。現在、First in Human試験を実施している。同療法は、肝臓内のLDL受容体を有する細胞が分裂することで、肝臓での LDL処理機能を回復させる。

専門医への紹介を呼びかけ

 Nordestgaardらによると、FH患者では障害の累積LDL-C値が一定の値を超えると冠動脈疾患を発症すると考えられているという(Eur Heart J 2013; 34: 3478a-3490a)。そのため、治療開始が遅延した患者や冠動脈疾患の危険因子が重複した患者では、より強力な治療が求められている。

 山下氏は「身体所見などからFHが疑われる患者がいれば、積極的に専門医に紹介してほしい」と呼びかけた。

(田上玲子)

  

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