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肺がん臨床試験の読み解き方:LUX-Lung7

 2016年10月06日 14:30
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 日本人の肺がん患者の約85%を占める非小細胞肺がん(NSCLC)のうち、60~70%は非扁平上皮がんだが、そのうち半数以上は上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性例である。そのため、これまでに多数のEGFR阻害薬(EGFR-TKI)が開発されており、国内では、第一世代のEGFR-TKIであるゲフィチニブとエルロチニブ、第二世代のアファチニブ、第三世代のオシメルチニブが承認されている。9月26日に開かれたプレスセミナー(主催=日本ベーリンガーインゲルハイム)では、第一世代のゲフィチニブと第二世代のアファチニブの効果を比較した初の国際ランダム化比較第Ⅱ相試験LUX-Lung7の結果について、和歌山県立医科大学呼吸器内科・腫瘍内科教授の山本信之氏と横浜市立大学臨床統計学教授の山中竹春氏により解説が行われた。同試験の全生存期間(OS)の結果については、間もなく開催される欧州臨床腫瘍学会(ESMO2016)で発表予定であるという。

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対象は未治療EGFR変異陽性NSCLCCommon mutation

 山本氏によると、これまで第一世代のEGFR-TKIであるゲフィチニブとエルロチニブについては複数の比較試験が行われているが、それらの結果から、両薬の無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)の差はないだろうと現時点では考えられている。

 一方、第一世代と第二世代の比較については、これまで十分な検討が行われていない。LUX-Lung7試験は、ゲフィチニブとアファチニブ、すなわち第一世代と第二世代のEGFR-TKIの効果を比較した初めての国際ランダム化比較第Ⅱb相試験である。

 同試験では、13カ国64施設において、EGFR-TKIを含む化学療法未治療かつEGFR遺伝子変異陽性のNSCLC で①肺腺がん②病期ⅢB/Ⅳ③Common mutation(Del19/L858R)④ECOG PS 0~1―の条件を満たす319例が登録。アファチニブ群(160例)とゲフィチニブ群(159例)に1:1にランダムに割り付けられた。主要評価項目はPFS、治療成功期間(TTF)、OSの3つとされた。

 Common mutationとは、EGFR遺伝子変異の約90%を占める2つの遺伝子変異で、エクソン19の欠失変異(Del19、48.2%)とエクソン21の点突然変異(L858R、42.7%)を指す。アファチニブやゲフィチニブ、エルロチニブは、特にDel19とL858Rの遺伝子変異に高い効果を示すことが分かっている。

 患者背景は両群同様で、年齢中央値は両群ともに63歳であり、アファチニブ群、ゲフィチニブ群でそれぞれ男性が43.1%、33.3%、アジア人(日本人は含まれず)が58.8%、55.3%、喫煙歴なしの症例が66.3%、66.7%であった。

3つの主要評価項目のうち2つで有効性を示唆

 その結果、独立判定委員会判定によるPFS中央値は、ゲフィチニブ群の10.9カ月(95%CI 9.1~11.5)に対し、アファチニブ群では11.0カ月(同10.6~12.9)であった〔ハザード比(HR)0.73、95%CI 0.57~0.95、P=0.017、図1〕。

図1.無増悪生存期間(PFS)〔主要評価項目:独立判定委員会判定〕

 またPFSを遺伝子変異のタイプ別に見た場合にについて、山本氏は「Del19変異例、L858R変異例のいずれでも、アファチニブ群の有効性が示唆された」と報告した(図2)。

図2.無増悪生存期間(PFS) EGFR遺伝子変異タイプ別

Park K. et al. Lancet Oncol(Epub ahead of print)

(プレス発表資料より)

 さらに、もう1つの主要評価項目であるTTFや奏効率などの評価項目においても、アファチニブ群の有効性が確認された。

 グレード3以上の有害事象の発現率はアファチニブ群56.9%、ゲフィチニブ群52.2%であり、治療中止に至った副作用の発現率は両群ともに6.3%であった。

 QOLについては、ED-5DおよびED-VASスコアの変化による評価が行われたが、同スコアの変化に両群で差は認められなかった。

 これらから、同氏は「第一世代と第二世代のEGFR-TKIの差が明らかになってきた。今後、どの集団に第一世代、第二世代のEGFR-TKIを使うべきかが明らかにされれば、適切な治療を行えるようになるのではないかと考えている」と述べた。

PFS 0.1カ月の差、およびハザード比をどう解釈するか

 なお同試験での主要評価項目の1つであるPFS中央値については、両群の差は0.1カ月であったが、HRは0.73、P=0.017となり、アファチニブ群のゲフィチニブ群に対する有意差が認められた。この結果の解釈について、山本氏に続いて講演した山中氏は「HR=0.73は曲線全体の差を表すため、腫瘍増大のリスクをアファチニブの方が27%低減したことになる。また"P<0.05"は、2つの曲線が重なっていないことを示している」と説明した。

 また同試験に引き続き第Ⅲ相試験を実施した場合、最終結果が出るまでに5年ほどかかると見込まれるが、同氏は「私見であるが、今後アファチニブとゲフィチニブを比較した第Ⅲ相試験が行われる可能性は低い。もしそうであれば、第Ⅲ相よりエビデンスレベルが劣る第Ⅱ相の結果であっても、リスク・ベネフィットの観点から、どういう条件下なら日々の治療選択にそのデータを活用しうるか、その条件を整理することが重要」と指摘。LUX-Lung7試験の結果については「EGFR遺伝子変異のエクソン19(Del 19)とエクソン21(L858R)を分けて考える必要がある」と述べた。

 同氏によると、アファチニブ、ゲフィチニブの肺がんに対する効果をそれぞれ化学療法との比較により検証した過去の5件の臨床試験(LUX-Lung3、LUX-Lung6、WJTOG3405、NEJ002、IPASS)のデータをLUX-Lung7試験の結果と比較して検討してみると、Del 19変異例については、PFSでは再現性が認められており、かつ5試験のOSデータではアファチニブ群の方が延長傾向にあるため、間もなく開催されるESMO2016で発表予定のLUX-Lung7試験のOSの結果でもその傾向が再現されるのかが注目される。両薬のQOLについては同様であることも今年(2016年)の臨床腫瘍学会(ASCO2016)で報告されている。

 一方、L858R変異例については、過去の5試験では両薬のPFSおよびOSは差がないことが示唆されていたが、LUX-Lung7試験のPFS評価ではアファチニブ群の方がゲフィチニブ群に比べて延長傾向が認められた。

 これらから同氏は、同試験のOSの結果でアファチニブ群のゲフィチニブ群に対する延長効果が認められた場合には、「第Ⅲ相の結果よりもエビデンスレベルは劣るが、Del 19変異例ではアファチニブが有力な治療選択肢であることは言及できるだろう」と述べ、L858R変異例については、アファチニブは治療選択肢の1つだが、1試験のみのデータであることを踏まえて患者に説明すべきであるとの見解を示した。

(髙田あや)

  

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