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高齢者の心不全治療に指針

日本心不全学会からステートメント

 2016年10月14日 17:40
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 日本心不全学会は10月7日、同学会のガイドライン委員会がまとめた「高齢心不全患者の治療に関するステートメント」を公式サイトで公表した。現行ガイドラインでは高齢患者への対応に関する記載が不十分だとして、約2年の議論を経て策定されたという。高齢者の心不全の診断や治療、リハビリテーション、終末期医療などに関する計7章で構成された全56ページに及ぶ文書で、最新知見の概要とともにそれぞれの領域における同学会による指針が示されている。

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高齢者の心不全は「がんと同様に死に至る悪性病態」と宣言

 公表された文書は「ステートメント」とされているが、高齢者心不全の「疫学と特徴」「診断と臨床的・社会的評価」「急性期・救急対応」「薬物治療と服薬管理」「外科治療・デバイス治療」「心大血管リハビリテーション」「終末期医療の指針」に関する計7章で構成され、ボリュームは56ページに及ぶ。同ステートメントの策定委員長である木原康樹氏は、これについて序文で「エビデンスへの準拠度が必ずしも高いとはいえない意見も盛り込み、問題の把握と対応の方向性を示すことに力点を置いたため、ガイドラインと称することを控え、ステートメントとして世に問うこととした」と説明している。

 ステートメントでは「高齢者」を75歳以上の後期高齢者と定義。高齢者の慢性心不全の特徴として①コモンディジーズであり、その絶対数はさらに増加していく②根治が望めない進行性かつ致死性の悪性疾患である③その大半が心疾患以外の併存症を有する―の3つを挙げ、「高齢者の慢性心不全はありふれた疾患であると同時に、がんと同様に(その過程はさまざまではあるが)死に至る悪性病態であることを本ステートメントは宣言する」としている。

 また、高齢者の心不全の管理では「かかりつけ実地医家等による地域での診療体制が主体的な役割を果たし、それを基幹病院が的確な診断と非代償期の入院治療あるいはリハビリテーション等において連携、支援する必要がある」と強調。今回のステートメントの位置付けについて「従来のガイドラインとは異なり、来るべき高齢化社会の中で爆発的に増加する慢性かつ悪性疾患としての心不全を、発想の転換とシステムの再構築で対応するように促すもの」としている。

複数の併存症への個別治療でQOL損なう可能性も

 各章では、高齢心不全に関する国内外の最新知見の概要とともに、その特徴を踏まえた診断や治療の方向性が示されている。例えば、疫学と特徴に関する第1章では高齢心不全患者の特徴として「併存疾患が多く、しばしば心不全そのものよりも生命予後の一次的決定因子となる」と説明。ただ、「併存症の個別治療が高齢心不全患者の生命予後をどれほど改善するかは証明されておらず、複数の併存症について個別にそれぞれのガイドラインに沿った検査や治療を並行して行うと、かえって合併症や副作用などが増え、QOLを損なうことも想像される」として、「進行した認知症を合併したり、著しく身体機能が低下したりした心不全患者などで、どの程度まで併存症を精査し、治療するかは個々の症例に応じて全体像から臨床判断をするべきである」との見解が示されている。

ジギタリスなどの強心薬も「期待に応える手段になり得る」

 また、薬物治療に関する第4章では「高齢心不全患者に対して慢性多剤薬物療法を維持するためには、患者自身の管理能力に限界があることを前提として、多職種から成るチームによる介入が重要となる」と指摘。「かかりつけ医のみならず地域かかりつけ薬局の薬剤師のポテンシャルを動員し、心不全専門医・看護師・理学療法士・栄養士・ケースワーカーなどの綿密な連携の構築が今後必要」としている。

 具体的な薬剤の選択に関しては、収縮不全に対してはACE阻害薬、ARB、β遮断薬、抗アルドステロン薬などが標準的治療薬とされているが、「高齢者では収縮機能の保たれた心不全(HFpEF)が半数を占めることに留意すべき」と指摘。なお、HFpEFに対する薬物治療法は確立されていないとしている。

 さらに、高齢者では「生命予後延長を目的とした薬物治療よりQOLの改善を優先するべき場合が少なくない」として、「超高齢者ではジギタリスやピモベンダンといった経口強心薬も慎重に使用することで患者の期待に応える手段になり得る」との見解が示されている。

外科治療やデバイス治療の適応についても詳述

 この他、外科治療や近年革新的な進歩が見られたデバイス治療に関する第5章では、急性冠症候群に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、重症三枝病変に対する冠動脈バイパス術(CABG)、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)や植え込み型除細動器(ICD)、心臓再同期療法(CRT)などの適応について、最新知見の概要とともに患者のQOLへの影響や医療コストなどを踏まえた同学会の見解が示されている。

 また、終末期医療に関する第7章では「終末期を迎える前の段階から患者本人や家族を含めたアドバンスケアプランニング(ACP)を開始することが望ましい」「個人の人生観や希望を取り入れた緩和医療を循環器領域でも推進しなくてはいけない」などの指針が示されている。

(岬りり子)

  

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