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アダリムマブ、非感染性ぶどう膜炎の適応追加

 2016年10月18日 07:15

後藤氏 ぶどう膜炎は眼球内の虹彩、毛様体、脈絡膜の総称であるぶどう膜に炎症を来す疾患であり、不可逆的な視力低下や失明の他、白内障や緑内障といった合併症を引き起こす可能性がある。10月4日に都内で開かれたプレスセミナー(主催:アッヴィ合同会社/エーザイ)において、東京医科大学臨床医学系眼科学分野主任教授の後藤浩氏は、TNF阻害薬アダリムマブが非感染性ぶどう膜炎の適応追加を取得したことで治療選択肢が広がったと評価する一方で、使用に当たっては全身管理の体制が整った施設で行うべきと強調した。

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非感染性ぶどう膜炎では局所療法に加えて全身療法が必要

 ぶどう膜炎は病原微生物の感染により発症する感染性ぶどう膜炎と、サルコイドーシスやフォークト・小柳・原田病、ベーチェット病といった全身性の自己免疫疾患が関与するとされている非感染性ぶどう膜炎に大別される。感染性ぶどう膜炎は全体の15%前後であり、ぶどう膜炎の多くは非感染性が占めている。

 治療法はそれぞれ異なり、感染性ぶどう膜炎は原因となる病原微生物に対する特異的薬物を投与し、並行して消炎療法を行う。非感染性ぶどう膜炎では局所療法としてステロイド薬の点眼や眼周囲・眼内への局所注射を行い、全身療法としてステロイド薬の経口投与や静脈内投与の他、免疫抑制薬、TNF阻害薬を投与する。緑内障、白内障などの合併症があれば外科的治療を行うこともある。

アダリムマブが非感染性ぶどう膜炎の新たな治療選択肢に

 非感染性ぶどう膜炎治療におけるTNF阻害薬については、これまではベーチェット病を原疾患とした難治性網膜ぶどう膜炎において、インフリキシマブの投与が認められていたが、今年(2016年)9月、原疾患を問わずに既存治療で効果不十分な非感染性の中間部、後部または汎ぶどう膜炎に対するアダリムマブの適応追加が認められ、治療の選択肢が広がった。

 その背景として、後藤氏は2つの第Ⅲ相臨床試験の成績を紹介した。VISUAL-Ⅰ試験はステロイド治療で効果不十分の活動性の非感染性ぶどう膜炎患者を対象とした試験、VISUAL-Ⅱ試験はステロイド依存性の非活動性の非感染性ぶどう膜炎患者を対象とした試験であり、いずれの試験においてもアダリムマブ投与によりステロイド漸減・中止後の再燃リスクが有意に低下したことが示されている。

日本眼炎症学会がTNF阻害薬に対する使用指針を作成

 ただし、TNF阻害薬の使用に際しては感染症をはじめとした有害事象に十分な注意が求められる。また、従来使用されてきたインフリキシマブは、ベーチェット病を原疾患とした難治性網膜ぶどう膜炎に限定され、かつ点滴静注製剤であるため使用する医師および医療施設は限られていたが、アダリムマブは原疾患を問わずに非感染性ぶどう膜炎全般に使用可能であり、かつ皮下注製剤であるため比較的安易に導入される懸念がある。そこで日本眼炎症学会では、TNF阻害薬使用検討委員会を設立し、「非感染性ぶどう膜炎に対するTNF阻害薬使用指針および安全対策マニュアル(2016年版)」を作成して同学会ホームページに掲載している。

 医師に関する基準としては①日本眼科学会の定める眼科専門医の資格を有し、かつ日本眼炎症学会の会員であること。ぶどう膜炎の診療に十分な経験のある眼科医であること②日本眼炎症学会の定めるeラーニングで講習を終了した者−という2項目を満たすことが求められる。

 施設に関する基準については、日本眼炎症学会に登録された施設であり、導入については①重篤な副作用の発現などに対する定期的な検査や、投与時に急速に発症する可能性のある副作用に迅速に対応できること②呼吸器内科、放射線科、感染症内科などと連携した対応が十分可能であること③TNF阻害薬の使用に精通した内科医との連携ができること−が求められる。

 また、導入後に良好なコントロールが得られ、副作用の発現がない場合は維持療法施設においてTNF阻害薬を使用してよいとし、その基準については、日本眼炎症学会に登録された施設であり、また、①日常診療において、導入施設との連携が的確に行われていること②緊急時には導入施設と連携し、迅速な対応が可能であること③維持療法後も導入施設において定期的な経過観察を並行して実施可能であること−が求められる。なお、導入施設として登録された施設ではその後の維持療法の施行も認められる。

 使用指針について、後藤氏は「眼科医が全身管理を行うことは困難であり、TNF阻害薬の導入や維持療法を行うのは副作用に対して適切に対応できる施設に限定すべきである」と解説した。

  

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