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診療連携で関節症性乾癬を診断、そのこつは?

日本乾癬学会が共催セミナー開催

 2016年10月19日 07:20

 近年、関節症性乾癬(PsA)の適応を有する生物学的製剤(Bio)が相次いで登場し、治療の選択肢が広がった。しかし、PsAは一般に広く知られる疾患とは言い難く、治療されずに見過ごされる患者も多い。10月5日に東京都で開かれた日本乾癬学会と日本乾癬患者連合会、製薬企業7社が共催するメディアセミナーでは、皮膚科医とリウマチ医が連携してPsA診断を行い、治療に結び付けるこつが紹介された。

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皮膚科医の立場から―PsAは皮膚症状が先行することが多い

 乾癬は皮疹を伴う慢性の皮膚疾患であり、紅斑や鱗屑を生じるため身体的にも精神的にもQOLが著しく障害される。PsAは皮膚症状に加えて関節の炎症を来す病態であり、過去には乾癬患者に併発した関節リウマチ(RA)と考えられていた時期もあったが、現在ではRAとは異なる疾患であることが明らかにされている。RAは滑膜に炎症を来す疾患だが、PsAは腱や靱帯の付着部に炎症が生じる。

 PsAは皮膚症状が先行することが多く、関節症状が現れるまでに10年以上の期間を要することも少なくない。そのため診断が難しく、かつては乾癬全体の1〜2%を占めるにすぎないと考えられていた。診断が難しい理由として信州大学皮膚科学教授の奥山隆平氏は「乾癬患者は関節症状を来しても皮膚科医に訴えず、関節症状で整形外科やリウマチ科を受診しても乾癬の皮膚症状があることを説明しないため、別々の疾患として治療を行い、PsAと診断できないことが多かった」と指摘した。しかし、PsAの認知度が高まるにつれて見過ごされていた患者が診断されるようになり、現在では乾癬の5〜15%をPsAが占めるとされている。

 ただし、現時点において確立したPsAのバイオマーカーが存在しないため、同氏は「現状においては、患者にPsAの特徴を説明し、PsAの症状がないか注意して経過観察をしていくことで診断を進めるしかない」と述べた。関節炎の好発部位は指趾であり、腫脹や変形が見られる。しかし、脊柱や四肢に関節炎が生じることも少なくないため、このことが変形性関節症(OA)やRA、強直性脊椎炎との鑑別を難しくしている。同氏は「乾癬に併発する関節症状を安易にPsAと診断してしまうと不適切な治療を行うことになるため鑑別診断が重要である」と注意を促した。

 なお、PsAの皮膚症状は悪化と寛解を繰り返しながら可逆的に進行するが、関節症状は不可逆的に関節破壊が進行して機能障害が生じるため、同氏は「関節症状に注意し、関節の変形を来す前に治療を開始するのが理想的である」と述べ、「X線画像では異常が見られない初期の時点であっても、骨シンチグラフィにより炎症を捉えることができる」と解説した。

リウマチ医の立場から―乾癬に疼痛を併発ならリウマチ医へ

 聖路加国際病院リウマチ膠原病センター医長の岸本暢将氏は、自身の経験を踏まえて「PsAの診断は皮膚科医とリウマチ医の連携が非常に重要である」と強調した。その理由の一例として、PsAの分類基準であるCASPARにおいて、「皮膚科医でなければ判断できない項目、リウマチ医でなければ判断できない項目があるため、両科の連携が不可欠である」と説明した。

 PsAの診断の問題点について同氏は、奥山氏が指摘した鑑別診断の重要性に触れ「乾癬に疼痛を併発する場合、リウマチ医を受診して関節症状を診断することが重要である」と述べた。

 なお、PsAの関節症状はRAと比較して進行が緩やかであるため、気付かないうちに関節の強直が進むことがあるため注意が必要である。また逆に、外傷を起因としたディープケブネル現象により急激に関節炎が悪化することもある。岸本氏は「診断の遅れは予後の悪化につながる。早期に診断して治療を開始することでより良い予後が期待できる」と解説した。

 治療目標については「現在、PsAには確立した寛解基準は存在しない」としながらも、「圧痛関節数、腫脹関節数、Visual Analogue Scale(VAS)、Psoriasis Area and Severity Index(PASI)、体表面積(BSA)、健康評価質問票(HAQ)、圧痛付着部数から判断するminimal disease activity(MDA)基準が、乾癬およびPsAの研究と評価のためのグループ(GRAPPA)において推奨されている」と紹介した。

 治療薬については、次の6製剤が日本で承認されている。

  • 腫瘍壊死因子(TNF)α阻害薬:アダリムマブ、インフリキシマブ
  • 抗インターロイキン(IL)-12/23p40抗体:ウステキヌマブ
  • 抗IL-17A抗体:セクキヌマブ、イキセキズマブ
  • 抗IL-17受容体抗体:ブロダルマブ

  薬剤の選択について同氏は、今年(2016年)改訂されたGRAPPAのPsA治療リコメンデーションを紹介し、「過去の治療、患者の意思および合併症を考慮した上で、できる限り多くの治療選択肢を提示する」「定期的に再評価を行い、必要に応じて治療法を修正・変更する」ことが重視されていると解説した。

 また、PsAの治療においては減量、運動、禁煙や、併発症の治療を行うことも重要であり、10%超の減量を行った場合、5%未満の減量と比べて、MDA達成率が6倍以上となることを紹介した。

患者の立場から―認知度のさらなる向上を

 日本乾癬患者連合会の木戸薫氏は、30年以上にも及ぶ自身の闘病生活を振り返り、「認知度が低い疾患であったPsAがこのようなセミナーが開催できるようになり、ようやくここまでたどり着いた」と喜びを語った。

 発症当初は脂漏性湿疹と診断され、すぐに治る疾患と考えていたが、治癒しないことから大学病院を受診。尋常性乾癬と診断され、長く付き合っていかなければならない疾患であることを告げられたという。皮疹を隠すために夏でも長袖を着用していたが、当時は夏に長袖を着ている人は皆無であり、「奇異の目で見られたり、暑くないのかと聞かれることが非常にストレスであった」と当時を振り返った。

 また、医療者側からも「死なない病気だから」「齢を取れば治る」「一生治らない」といった言葉を投げかけられることで精神的に傷つき、また、「カンセン」という響きから感染症であると誤解され、「他科を診療する際に理不尽な扱いを受けることも少なくなかった」と述べた。その後、PsAを発症し、ぶどう膜炎も併発したが、Bio以前の治療薬の副作用への不安や医師への不信感により、東洋医学や民間療法に傾倒するように。しかし、皮膚症状、関節症状ともに悪化し、関節破壊も徐々に進行してしまったという。

 そんな中、乾癬治療が進歩しているという新聞記事をきっかけに治療を再開し、Bioの投与を開始したところ、皮膚症状、関節症状ともに劇的に改善した。当時の心境について同氏は「皮疹と鱗屑が消失した感動は今でも忘れられない」と述べ、「患者が正しい治療情報を知ることが重要であると痛感した」と語った。

 しかし、Bioは高額な薬剤であり、患者の経済的な負担が少なくない。同氏は、日本乾癬患者連合会によりPsAの指定難病認定を目指す活動を行っていることを紹介し、また「毎年10月29日は世界乾癬デーであり、このイベントを通じて乾癬の認知度をさらに向上させていきたい」と述べた。

(安部 重範)

  • 乾癬重症度評価の国際基準。頭部,上肢,体幹,下肢の4カ所の皮膚症状を0~72点で評価する。高スコアほど重症
  

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