メニューを開く 検索を開く ログイン

ホーム »  ニュース »  2016年 »  臨床医学 »  スタチンと心疾患治療薬併用で指針

スタチンと心疾患治療薬併用で指針

AHA 薬剤相互作用の管理で筋毒性を回避

 2016年10月21日 07:10

 心疾患患者におけるスタチンと心疾患治療薬との相互作用リスクがしばしば議論の対象となるが、同リスクを管理し低減させることは可能である。米国心臓協会(AHA)はこうした相互作用管理のための指針をScientific StatementとしてCirculation2016年10月17日オンライン版)に発表した。

続きを読む(読了時間:約 2 分) 

薬物動態を理解して相互作用を管理

 同指針の執筆委員長で米・Medical University of South CarolinaのBarbara S. Wiggins 氏は「医療提供者およびスタチン使用中の患者は、これらの薬剤が心疾患治療薬との間で相互作用を生じる可能性があることを十分に認識しておくべき。これらの薬剤の組み合わせの多くは安全であるが、忍容性は患者ごとに異なるため、医療提供者は患者が現在服用中の全薬剤をチェックし、患者は全ての副作用について医療提供者に打ち明けることが重要だ」と述べている。

 スタチンはアテローム硬化性心血管疾患(ASCVD)患者やASCVDリスクの高い患者に用いられることから、しばしば他の心疾患治療薬との併用が必要となるが、薬剤相互作用が生じると薬物動態(PK)的にはシトクロームP450(CYP2C9、CYP3A4など)、P糖蛋白質(P-gp)、有機アニオントランスポーター(OATP)1B1(OATP1B1)、1B3(OATP1B3)の阻害により吸収・分布・代謝・排泄(ADME)が変化し、血中スタチン濃度の上昇により筋毒性リスクが高まる。

 しかし、臨床的に重大な相互作用はかなりの程度予防でき、薬剤相互作用の機序、程度、想定される帰結を正確に理解しておくことが患者の安全性を高める鍵となる。

 そこで、同指針ではスタチンと心疾患治療薬との相互作用を管理し患者の安全性を確保するための方法を提示している。

Lovstatin、シンバスタチンは投与量に注意

 フィブラート系薬(gemfibrozil、フェノフィブラート)については、特にgemfibrozilとスタチンとの併用は基本的に回避し、フェノフィブラートを選択すべき。ただし、フルバスタチンに限ってはgemfibrozilを含むフィブラート系薬との相互作用は見られておらず併用は妥当といえる()。

表. 心疾患治療薬とスタチンの相互作用の管理における臨床的推奨

Circulation 2016年10月17日オンライン版)

 次に、Ca拮抗薬では、アムロジピンについては、lovastatinまたはシンバスタチンとの併用でスタチン血中濃度は若干上昇するが併用を考慮してよい。ただし、lovastatinまたはシンバスタチンの用量は20mg/日を超えないようにすべきである。

 ジルチアゼムとアトルバスタチンとの併用ではスタチン血中濃度は若干上昇するが併用は妥当である。

 ジルチアゼムとlovastatinまたはシンバスタチンとの併用、ベラパミルとlovastatinまたはシンバスタチンとの併用では、血中スタチン濃度は中等度に上昇することからベネフィットがリスクを上回ると考えられる場合は併用を考慮してよい。この場合、シンバスタチンは10mg/日、lovastatinは20mg/日を超えないようにする。

 抗不整脈薬では、ジゴキシンとスタチンとの併用は妥当であるが、唯一の例外として、高用量アトルバスタチンとの併用でジゴキシンの毒性作用が増強すると報告されており、これについては十分なモニタリングが必要である。

 アミオダロンについては、ロスバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチンとの併用は妥当。Lovastatinまたはシンバスタチンとの併用も考慮してよいが前者は40mg/日以下、後者は20mg/日以下とすることが推奨される。

 ドロネダロンはシンバスタチンの血中濃度を有意に上昇させるため、併用時のシンバスタチン用量は10mg/日以下とすべき。ドロネダロンとlovastatinとの併用に関するデータは得られていないが、シンバスタチンと同様の作用が発現すると想定される。上記2剤以外のスタチンについてはドロネダロンとの臨床的に重要な相互作用は報告されておらず、併用は妥当だと考えられる。

代謝機序を踏まえてスタチンを選択

 ワルファリンについては併用による血中スタチン濃度の上昇は報告されておらず、併用は妥当であるが、スタチン投与開始時ならびに用量変更時にはINRをこまめにモニターする必要がある。INRへの影響が最も小さいと見られているのはピタバスタチンとアトルバスタチンである。

 バソプレシン受容体拮抗薬コニバプタンはCYP3A4の基質であると同時にCYP3A4の強力な阻害物質でもある。このため、lovastatinやシンバスタチンとの併用は有害と考えられ、併用は回避すべきである。スタチンとの併用が必要な場合には、CYP3Aにより代謝されないアトルバスタチンなどを考慮する。

 免疫抑制薬のうちカルシニューリン阻害薬であるシクロスポリンおよびタクロリムスは、大部分がCYP3A4で代謝される上、P-gpの基質であると同時に阻害物質でもあり、OATP1B1の阻害物質でもある。また、マクロライド系のシロリムス、エベロリムスの代謝にもCYP3A4とP-gpが関与している。こうした代謝機序を考慮すると、これらの免疫抑制薬とlovastatin、シンバスタチン、ピタバスタチンとの併用は有害と考えられ、併用は避けるべきである。これに対して、代謝機序の異なるアトルバスタチン(<10mg/日)、フルバスタチン(<40mg/日)、プラバスタチン(<20mg/日)、ロスバスタチン(<5mg/日)との併用は考慮してよい。

 心不全治療薬としては、洞房結節If電流阻害薬ivabradineおよび、ネプリライシン阻害薬とARBの合剤であるsacubitril/バルサルタンが取り上げられている。ivabradineとスタチンの併用に関するデータは少ないが、シンバスタチンへの影響は見られなかったとの報告が寄せられており、AHAは現時点では併用は妥当との見方を示している。sacubitril/バルサルタンについては臨床データが得られておらず、OATP1B1、OATP1B3の基質となるスタチンとの相互作用がin vitroで確認されていることから、低用量のスタチンとの併用が望ましいとしている。

 上記以外の薬剤で、同指針で言及されているのはコルヒチン、新規抗血小板薬ticagrelor、慢性狭心症治療薬ranolazineなどである。

 Wiggins 氏は「医療提供者はこれらの薬剤相互作用関連の有害事象ならびに用量の上限を熟知して有害事象リスクを最小限にとどめる必要がある」と強調。「一部のスタチンの添付文書については薬剤相互作用に関する記述を見直す必要もありそうだ」と指摘した。

(古川忠広)

  

ピックアップコンテンツ

コメント機能は会員限定サービスです。

MedicalTribuneLuxe秋号

ホーム »  ニュース »  2016年 »  臨床医学 »  スタチンと心疾患治療薬併用で指針

医療・医学ニュースサイト
MedicalTribuneウェブへようこそ
ご利用は完全無料です

今、会員登録いただくと
もれなく1,000ポイント進呈!※医師会員限定(既に登録済みの会員は対象外)
※ポイントはAmazonギフト券等に交換が可能です

本キャンペーンを適用するには
下記よりご登録くださいもしくは登録時に下記キャンペーンコードをご入力

P10505034 有効期限:10月末まで