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ホーム »  ニュース »  2016年 »  臨床医学 »  統合失調症の前駆段階で「前糖尿病」リスク増

統合失調症の前駆段階で「前糖尿病」リスク増

炎症が関係か―メタ解析

 2016年10月24日 07:10

イメージ画像 (c)Getty Images ※画像はイメージです

 未治療の初回エピソード精神病患者では、健康な人に比べ耐糖能異常やインスリン抵抗性といった、いわゆる前糖尿病のリスクが上昇するとのメタ解析の結果がLancet Psychiatry2016年10月5日オンライン版)で報告された。解析を実施した英・Coventry and Warwickshire Partnership NHS TrustのBenjamin Ian Perry氏らは「初回エピソード精神病と糖代謝異常との関連には両疾患における炎症などの内的要因が関係している可能性がある。この結果は統合失調症患者における2型糖尿病の有病率の高さを一部説明しうるのではないか」との見方を示している。

両疾患の患者でCRPやTNF-α、IL-1βなどの血中濃度が上昇

 統合失調症患者の死亡率は健康な人の約2倍と報告されている。その主要な要因は自殺や事故、危険を伴う行動が多いことではなく、心血管疾患や2型糖尿病などの身体疾患の合併であることが疫学研究で明らかにされている。

 このうち2型糖尿病については一般人口に比べ統合失調症患者では有病率が約30%高いとの報告がある。抗精神病薬による血糖などの代謝マーカーへの影響がその要因として注目されてきたが、Perry氏らによると、抗精神病薬のクロルプロマジンが開発された1950年代よりも前から糖尿病は精神障害に関連することが示されており、最近再びこの関連性がクローズアップされつつあるという。

 特に解明が進みつつあるのが炎症の役割だ。2型糖尿病の血糖コントロール不良例とともに、うつ病や双極性障害、統合失調症などの精神障害がある患者では、健康な人に比べてC反応性蛋白(CRP)やTNF-α、IL-1βなどの炎症性サイトカインの血中濃度が高いことが報告されているという。

糖尿病リスク増の要因は治療薬や生活習慣だけではない

 そこでPerry氏らは今回、抗精神病薬の使用が限定的で併存疾患も少ない段階である初回エピソー精神病ドの基準を満たした患者を対象に、耐糖能異常やインスリン抵抗性などを指標とした前糖尿病の評価が行われた研究12件(計1,137例、平均年齢28.8歳、男性64%)のメタ解析を実施した。なお、このうち11件は症例対照研究だった。

 その結果、空腹時血糖値に関しては健康な人と比べた初回エピソード精神病患者における有意な上昇は認められなかったが、HOMA-Rの測定値が含まれる9件の研究のプール解析から、初回エピソード精神病はインスリン抵抗性の上昇と有意に関連することが示された(健康な人との差:0.3 units、95%CI 0.18~0.42、P<0.0001)。

 また、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)のデータが含まれる7件の研究の解析から、初回エピソード精神病と耐糖能異常リスク(OGTT2時間値)が有意に関連することも示された(同23.58mg/dL、95%CI 0.37~2.25、P<0.0001)。さらに、初回エピソード精神病患者では、耐糖能異常の基準を満たすオッズ比が5.44(95%CI 2.64~11.27、P<0.0001)だった。

 同氏らは、この解析結果について「統合失調症患者の2型糖尿病リスクを押し上げる要因は治療薬や生活習慣、医療へのアクセスだけではない可能性が示唆された」と説明。また、「統合失調症では抗精神病薬を使用していなくても糖代謝異常リスクが高いのであれば、身体疾患による影響を最小限に抑えるために統合失調症患者では代謝マーカーをより厳格に管理することが必須といえる」との見解を示している。

(岬りり子)

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