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毛布も枕もNG―乳児の突然死予防に新指針

米国小児科学会

ガイドライン・診断基準 | 2016.11.01 07:05

イメージ画像 (c)Getty Images ※画像はイメージです

 米国小児科学会(AAP)は10月24日、乳幼児突然死症候群(SIDS)などによる睡眠中の乳児死亡を予防するための安全な睡眠環境に関するガイドライン(GL)"SIDS and Other Sleep-Related Infant Deaths: Updated 2016 Recommendations for a Safe Infant Sleeping Environment"をPediatrics2016;138: e20162938)で公表した。2011年以来、5年ぶりの改訂。前GLから大幅な変更はないが、4カ月未満の乳児だけでなく4カ月以上の乳児でもベッドに毛布や枕などの柔らかい物があるとSIDSリスクが高まるとの新たなエビデンスに基づき、改訂が行われた。また、早期母子接触(skin-to-skin care)を勧める記述などが加えられた。

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1歳まで親と同じ寝室で寝かせることを推奨

 GLによると、米国では1990年代に展開された乳児の安全な重要性に関する啓発キャンペーンが奏効し、その後しばらくSIDSや窒息事故などによって睡眠中に死亡する乳児は減少傾向にあったが、近年は年間約3,500例前後で推移しているという。このうちSIDSについては明確な原因は不明だが、その危険因子の多くは他の睡眠に関連した乳児死亡と共通していることが指摘されている。

 今回のGLでは、SIDSや寝具などによる窒息事故などによる1歳未満の乳児の死亡を予防するために、育児中の親や専門家、政策立案者などに向けた19の推奨が示された。主な推奨項目は以下の通り。

  • 必ず仰向けで寝かせる
  • 固い表面の上に寝かせる
  • 母乳育児が推奨される
  • 少なくとも生後6カ月まで、できれば1歳を迎えるまでは親と同じ寝室に寝かせる。ただし、親と同じベッドを共有せず、ベビーベッドやバシネット(ゆりかご)などに寝かせる
  • 乳児が眠る場所に柔らかい物や寝具は置かない
  • 昼寝や夜の寝かしつけのときにはおしゃぶりを与える
  • ソファや椅子には決して寝かせてはならない
  • 乳児がたばこの煙やアルコール、違法薬物に曝露しないようにする
  • 推奨されている全てのワクチンを接種する

 このうち乳児を寝かせる場所に関しては、ぬいぐるみなどの柔らかいおもちゃを置いたままにすることだけでなく、ベビーガード(乳児がベッドの柵にぶつかったり手足を挟んだりしないようにするために柵の内側に取り付けるパッド)を使用したり、毛布や枕を使用することも否定。ベビーベッドを使用する場合には、固いマットレスにぴったりとシーツを敷いた上で乳児を寝かせ、それ以外には何も使用すべきではないとしている。

 また、「親と同じ寝室にベビーベッドなどを設置して乳児を寝かせることで、SIDSリスクを最大で50%低減させられるとのエビデンスがある」と説明。さらに、親と同じ寝室に寝かせることで万が一乳児が窒息したり、どこかに挟まって動けなくなったりした場合にもすぐに救助できるとしている。

 一方、「ソファや椅子などに寝かせることは極めて危険」と強調。クッションの間に挟まって動けなくなり、窒息する危険性もあるとしている。

添い寝するならベッド上の全ての寝具を取り除いて

 ただ、昼夜を問わず授乳しなければならない母親にとっては、ソファで授乳しているうちに自身も眠気に襲われ、毎回乳児をベビーベッドなどに運ぶことが難しい場合もある。GL作成委員会はそうした現実についても理解を示し、「乳児にとって最も安全な場所は親のベッドの近くに設置された乳児のための寝具だが、授乳中に自分が眠りに落ちそうだと感じたら短時間であれば親のベッドに移動して授乳しても良い。ただし、目覚めたらすぐに乳児をベビーベッドに移すべき」と記載。その理由としてソファや椅子に乳児を寝かせるよりも親のベッドで一緒に寝る方がリスクは低いことを挙げている。

 その一方で、SIDSによる死亡例の多くは親のベッドで寝具を頭までかけた状態で発見されていることに言及し、「親のベッドで一緒に寝る場合は枕やシーツ、毛布など乳児の窒息の原因となる可能性のある全ての物を取り除く」「4カ月未満の乳児や早産児は、どんな状況でもSIDSリスクが高まることが示されているため、同じベッドで寝てはならない」ことなどが注意事項として示されている。

 寝かしつけの際のおしゃぶり使用に関しては、「メカニズムは不明だが、おしゃぶりはSIDSの抑制に有効であることを示唆する2件の報告がある」と説明。ただし、「乳児がおしゃぶりに抵抗を示す場合には、無理に使用する必要はない」としている。

 この他、改訂に伴い今回のGLでは初めて早期母子接触について言及。母親の状態が安定しており、覚醒していて新生児への対応が可能であれば、産後すぐに母子接触を行うことが望ましいとの見解が示されている。

 今回のGLの根拠とされるエビデンス評価に関する報告書をまとめたRachel Moon氏は、GLの公表に際し、AAPのプレスリリースで「この情報は、乳児を持つ親を怖がらせるためではなく、安全性が確保されていない環境で乳児を寝かせることによる実際のリスクを伝えるために役立ててほしい。家庭用の呼吸監視装置などにお金をかけるのではなく、もっとシンプルな方法で乳児にとって安全な環境を整えることができるはずだ」とコメントしている。

 なお、わが国では昨年(2015年)にSIDSで亡くなった乳児は96例で、乳児期の死亡原因として第3位を占めている。その予防策として、厚生労働省では「1歳になるまでは仰向けに寝かせる」「できるだけ母乳で育てる」「禁煙する」ことなどを推奨している。

(岬りり子)

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