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術前の剃毛、非実施を「強く推奨」―WHO

手術部位感染予防に初の国際ガイドライン

 2016年11月08日 07:15

イメージ画像 (c)Getty Images ※画像はイメージです

 世界保健機関(WHO)は11月3日、手術部位感染(SSI)予防ガイドライン(GL)を公式サイトで公表した。各国GLはエビデンスの解釈や推奨内容が一致していない中、全世界で活用できる初の国際GLとして策定されたとしている。GLでは、SSIリスクを低減する一方で抗菌薬耐性菌の拡大を防ぐための適切な予防的抗菌薬投与の在り方など、周術期における29の推奨項目が示された。手術部位の剃毛に関しては皮膚の損傷により逆に感染リスクを高める可能性があるとして、「実施しないことを強く推奨する」と明記された。

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予防的抗菌薬投与にも詳細な指針

 GLは主に外科医、看護師、技術スタッフ、麻酔科医などの手術チームによる活用を想定して策定された。最新エビデンスに基づきSSI予防を目的とした術前、術中、術後の管理について計29の推奨項目が提示され、各項目の推奨の強度とエビデンスの質が併記された。

 術前管理では「入浴あるいはシャワーで身体を清潔にすること」が推奨される一方、手術部位の除毛に関しては「実施しないか、必要な場合にはクリッパーで除毛すべき」とし、剃毛は「どんな場合も実施しないことを強く推奨する」と記されている。

 なお、「基本的に除毛は不要」とした根拠については、実施の有無によってSSI発生率に差はないとのメタ解析を紹介。米国感染症学会(IDSA)や英国立臨床評価機構(NICE)など欧米の4つのGLでも、既に除毛の実施を否定する推奨が示されていると説明している。

 また予防的抗菌薬投与については術後に行っても感染リスクは低下しないとのエビデンスがあるだけでなく、抗菌薬耐性化の原因となる可能性もあるとして、術前および術中の使用に限定することを推奨。耐性菌の拡大を防ぐための適正使用の重要性が強調された。

 主な推奨項目は以下の通り(一部抜粋)。

  • 術前に入浴やシャワーで身体を清潔にする。その際、通常のせっけんまたは抗菌せっけんを使用する
  • 鼻腔に黄色ブドウ球菌〔Staphylococcus aureus S. aureus)〕を保菌している心臓外科手術または整形外科手術を受ける患者には、周術期にムピロシン2%軟膏(±クロルヘキシジン全身清拭)を使用すべき
  • 上記以外の手術患者にも、ムピロシン2%軟膏(±クロルヘキシジン全身清拭)の使用を考慮することを勧める
  • 予防的抗菌薬投与の適応例では、手術開始時間の120分以内(ただし半減期を考慮)に使用する
  • 選択的消化器外科手術を施行する患者に対しては、SSIリスクを低減させるために機械的腸管処置を併用した術前の経口抗菌薬投与を行うべき。機械的処置のみを行うことは推奨しない
  • 手術部位を問わず、手術患者に対する除毛の処置は行わないか、行う場合にはクリッパーを用いた除毛を行う。カミソリによる剃毛は術前、手術室入室後など状況を問わず、どんな場合でも実施しないことを強く推奨する
  • 手術野の消毒はクロルヘキシジンを基本としたアルコールベースの消毒液を推奨する
  • 手術用手袋を装着する前に、手指を適切な抗菌せっけんと流水で洗うか、擦式アルコール製剤で消毒する
  • 全身麻酔で気管挿管を行う成人手術患者には、SSIリスク低減のため術中に80%濃度の酸素を投与する。もし忍容性があれば、術後2~6時間にわたって同濃度の酸素を投与する
  • SSIリスクを低減させるため、術中に患者の体温が下がらないよう手術室では加温装置を使用する
  • 手袋の二重装着や手術中の交換によるSSI予防効果についてはエビデンスが不十分
  • スクラブの上に着用するガウンは、ディスポーザブルとリユーザブルのどちらでもよい
  • 術後にSSI予防を目的とした抗菌薬の使用を延長すべきではない
  • SSI予防のため、通常の創傷被覆材の代わりに高機能の創傷被覆材を使用する必要はない

 WHOによると、SSIは低・中所得国では手術患者10例中1例に、アフリカ地域では帝王切開で出産した母親5例中1例に発生。また欧州でもSSI例は年間50万例超に上っている他、米国ではSSIによって追加で年間9億ドルの医療費が必要になるなど、先進国でも人々の健康や医療システムへの負担は大きいという。WHOは「アフリカ地域で実施されたパイロット試験では、今回のGLで示された推奨に従えば手術部位感染リスクが39%低下することが示されている」としている。

(岬りり子)

  

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