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AAAスクリーニングに長期効果なし

オーストラリア・高齢男性のランダム化試験結果

 2016年11月09日 07:15

イメージ画像 (c)Getty Images ※画像はイメージです

 高齢男性への国家的な腹部大動脈瘤(AAA)スクリーニングはオーストラリアの医療環境では効果的でないことが示唆された。64~83歳の男性を対象とする腹部大動脈超音波検査によるスクリーニング勧奨の効果を検討するランダム化試験の結果を、Western Australian Institute for Medical ResearchのKieran A. McCaul氏らが、JAMA Intern Med2016年10月30日オンライン版)に発表した。スクリーニング勧奨は、その後13年間のAAAの待機手術を増やしたが、死亡率を有意に減少させることはできなかった。

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64~83歳の男性を13年間追跡

 AAA破裂による死亡率は依然高い。

 英国やデンマークのランダム化試験*では、高齢男性へのスクリーニングによる長期的なAAA死亡の有意な相対リスク減少効果が示された。オーストラリアでも同様の試験を実施、2004年に報告された追跡43カ月後の解析では、有意な効果が示されず、長期の追跡結果が待たれていた。

 このランダム化試験は、1996年4月1日~99年3月31日に実施、平均追跡期間は12.8年(11.6~14.2年)。選挙人名簿を用いて、西オーストラリア州の単独の大都市圏人口に基づく64~83歳の男性を同定し、腹部大動脈超音波検査を勧める勧奨群と、非勧奨の対照群にランダムに割り付けた。主要評価項目は、AAA手術および死亡とした。データ解析期間は、2015年6月~16年6月。

 解析対象は、64~83歳の男性4万9,801人から、スクリーニング施設から遠方に住む8,671例、検査勧奨前に死亡した2,650例が除外された結果、勧奨群1万9,249例、対照群1万9,231例(年齢72.5±4.6歳、白人95%)となった。勧奨群のうち1万2,203例(63.4%)がスクリーニングを受けた。瘤径30mm以上、55mm以上のAAA検出率は、全体でそれぞれ7.2%、0.5%、65~74歳で6.6%、0.4%。

待機手術は増加、破裂は減少

 勧奨群では、対照群に比べてスクリーニングの翌年を中心にAAAの待機手術が多く(536対414、P<0.001)、破裂が少なかった(72対99、P = 0.04)。全体のAAA死亡は、勧奨群が90例(10万人・年当たり47.86人、95%CI 38.93~58.84)、対照群が98例(同52.53人、43.09~64.03)で、死亡相対リスクは9%減少したが、有意差はなかった(率比0.91、95%CI 0.68~1.21)。英国やデンマークの研究対象と同じ65~74歳の男性でも同様に減少傾向はあったが有意差はなく、AAA死亡率は、勧奨群では10万人・年当たり34.52人(95%CI 26.02~45.81)で、対照群の同37.67人(同28.71~49.44)に比べて8%減少したが、有意差はなかった(率比0.92、95%CI 0.62~1.36)。

 AAA死亡を5年間に1例予防するための必要勧奨数は、64~83歳の男性で4,784人、65~74歳の男性で3,290人となる。全死亡、心血管死亡およびその他の原因による死亡率は両群間で有意差がなかった。なお、ベースライン時に3cm未満のAAAが検出された場合は約8年後からAAA死亡・破裂・待機手術が増加した。

国によってAAA頻度・破裂率異なる

 今回の試験で、スクリーニング勧奨の便益が得られなかった背景について、McCaul氏らは「比較的低いAAA破裂および死亡率、そして対照群でのAAA待機手術率の高さに主に起因している」と分析。この理由として、オーストラリアでは画像検査で偶然発見されるAAAが多いことや、喫煙率が8%(2011年)と欧米よりも10%以上低いことなどを挙げている。また、勧奨群のスクリーニング率が68%と低率で、英国の試験と同じ80%が受けた場合、相対リスク29%減と推定されるという(AAA死亡:勧奨群37例、対照群48例)。

 同氏は「実際にスクリーニングを受けた男性のAAA死亡は、早期発見と治療成功によって半減する。したがって、人口に基づくスクリーニングの有益性が小さいことは、高齢男性の適切な対象者のAAAを検出することの価値を否定しない」と述べている。

英国のMASS(Multicentre Aneurysm Screening Study)試験は、対象年齢が65~75歳、AAA死亡の相対リスク減少は13年間で42%(95%CI 31~51%)。デンマークの試験は、それぞれ65~73歳、14年間で66%(95%CI 43~80%)と有意なリスク減少効果が認められた

(坂田真子)

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