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PCSK9阻害薬はプラークを退縮させるか

GLAGOV試験

 2016年11月17日 17:20

米国心臓協会学術集会(AHA 2016)記事一覧

 これまで、スタチンによるLDLコレステロール(LDL-C)低下療法によって冠動脈疾患患者の動脈硬化を退縮させることが、血管内超音波(IVUS)による冠動脈プラークを評価した臨床試験で明らかにされている。また、これらの試験ではLDL-Cの低下度が大きいほどプラークの退縮量が多いことも示されている。一方、最近登場したPCSK9阻害薬はスタチンへの上乗せでさらなるLDL-C低下を達成することが示されているが、IVUSを用いた動脈硬化への影響については検討されていない。米・Cleveland ClinicのSteven E. Nissen氏は、スタチン治療中の冠動脈疾患患者を対象に、PCSK9阻害薬エボロクマブ上乗せによるプラークへの影響について検討するために実施されたGLAGOV試験の結果を米国心臓協会学術集会(AHA 2016、11月12~16日、ニューオーリンズ)で報告し、スタチンにエボロクマブを上乗せすることで、血管内にプラークが占める割合であるプラーク容積率(PAV)が有意に低下したことを明らかにした。詳細はJAMA2016年11月15日オンライン版)にも掲載されている。

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4大陸197施設で冠動脈疾患患者968例を登録

 GLAGOV試験は、北米、欧州、アジア、オーストラリア、南アフリカの197施設において、主要な危険因子(非冠動脈アテローム性疾患、心筋梗塞、直近2年間に不安定性狭心症で入院、2型糖尿病)のいずれか1つ、もしくは他の危険因子(喫煙、高血圧、低HDL-C、冠動脈疾患の家族歴、hsCRP 2mg/L以上、50歳以上の男性、55歳以上の女性)のいずれか3つを有し、冠動脈血管造影で標的血管に20~50%の狭窄が認められた冠動脈疾患患者968例を対象に実施された。LDL-C 80 mg/dL以上またはLDL-C 60~80 mg/dLで追加の危険因子がある患者に最適用量のスタチンを4週間投与し、IVUSによる評価を行った。

 その後、76週間の治療を完遂したスタチン+月1回のプラセボ皮下注(スタチン単独)群423例、スタチン+月1回のエボロクマブ420mg皮下注(エボロクマブ)群423例を対象に、78週時に標的血管におけるプラークをIVUSで再測定した。

 主要評価項目はベースライン時(76週間の治療開始前)から78週目までのPAVの変化率。また、副次的評価項目にはベースライン時から78週目までの総プラーク容積量(TAV)の変化率などが含まれた。

 患者の平均年齢は両群とも59.8歳、BMIはスタチン単独群29.5、エボロクマブ併用群29.4、糖尿病合併例はそれぞれ21.5%、20.2%、ベースライン時のスタチン治療例は98.3%、98.8%だった。また、スタチン治療の強度別に見ると、高強度例はそれぞれ59.9%、57.9%、中強度例は38.2%、40.5%、低強度例は0.2%、0.4%で、試験開始時の平均LDL-Cは92.4mg/dL、92.6mg/dLだった。

エボロクマブ併用群では6割超の患者でプラークが退縮

 その結果、78週間の追跡期間中の平均LDL-Cはスタチン単独群で93.0mg/dL、エボロクマブ併用群で36.6mg/dLで、ベースライン時から78週目までにスタチン単独群では3.9%増加したのに対し、エボロクマブ併用群では59.8%低下した。また、主要評価項目のベースライン時から78週目までのPAVの変化率については、スタチン単独群で0.05%増加したのに対し、エボロクマブ併用群では0.95%減少し、両群間に1ポイントの有意差が認められた(P<0.0001)。

 さらに、TAVについてもスタチン単独群では0.9mm3の減少にとどまったのに対し、エボロクマブ併用群では5.8 mm3減少し、両群間に有意差が認められた(P0.0001)。この他、PAVの退縮が認められた割合はスタチン単独群の47.3%に対してエボロクマブ併用群では64.3%と有意に高く(P0.001)、TAVの退縮が認められた割合もスタチン単独群の48.9%に対してエボロクマブ併用群では61.5%と有意に高かった(P0.001)。

LDL-C20mg/dL達成例でも退縮

 一方、LDL-C 70 mg/dL未満を達成した患者144例を対象とした探索的な事後解析では、ベースライン時から78週目までにPAVがスタチン単独群で0.35%減少したのに対し、エボロクマブ併用群では1.97%減少し、両群間に1.62ポイントの有意差が認められた(P<0.001)。また、PAVの退縮が認められた割合も、スタチン単独群の48.0%に対してエボロクマブ併用群では81.2%と有意に高かった(P<0.001)。さらに、達成したLDL-Cが低ければ低いほどPAVの退縮度も大きく、LDL-Cが20mg/dLと極めて低値でもエボロクマブによるPAVの退縮効果が得られることが示された。

 なお安全性に関しては、有害事象の発現率はスタチン単独群で79.8%、エボロクマブ併用群で67.9%と同等だった。また、臨床的に重要な有害事象は筋肉痛(スタチン単独群5.8%、エボロクマブ併用群7.0%)、糖尿病の新規発症(それぞれ3.7%、3.6%)、神経認知機能イベント(それぞれ1.2%、1.4%)などであった。

 以上を報告した上で、Nissen氏は、ガイドラインの推奨値よりも低いLDL-C70mg/dL未満の患者でもスタチンとエボロクマブの併用治療によるベネフィットが認められたとする探索的解析の結果についてあらためて言及し、さらに「LDL-Cが20mg/dLと極めて低値の患者でもエボロクマブの上乗せによりベネフィットが得られる可能性を示す興味深いエビデンスが得られた」と説明。ただし、「疾患の進行を評価する上でIVUSは有用だが、治療によるベネフィットとリスクについて判定するには現在進行中の大規模試験の結果を待つ必要がある」との見解を示した。

※The GLobal Assessment of plaque reGression with a PCSK9 antibOdy as measured by intraVascular ultrasound

(AHA 2016取材班)



  

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