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心房細動合併PCI例へのDOACで出血減少

PIONEER AF-PCI

 2016年11月18日 18:55

米国心臓協会学術集会(AHA 2016)記事一覧

 心房細動(AF)を伴う経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行例を対象に、抗血小板薬と直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)併用の安全性と有効性を検証した初のオープンラベルランダム化比較試験(RCT)であるPIONEER AF-PCIの成績が明らかになった。①米国での低用量Xa阻害薬リバーロキサバンにチエノピリジン系薬(P2Y12阻害薬)単剤を併用する2剤併用療法②超低用量リバーロキサバンにP2Y12阻害薬+アスピリンの抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を併用する3剤併用療法はともに、標準療法であるワルファリン+DAPTの3剤併用療法に比べて「臨床的に問題となる出血」を有意に減少させた。一方、3群間の心血管イベント発生率に有意差はなかった。米・Beth Israel Deaconess Medical CenterのC. Michael Gibson氏が、米国心臓協会学術集会(AHA 2016、11月12~16日、ニューオリンズ)で発表した。詳細はN Engl J Med2016年11月14日オンライン版)にも掲載されている。

続きを読む(読了時間:約 3 分) 

ステント留置AF患者2,124例が対象に

 疫学研究などからPCI施行例の5〜8%はAFを合併し、逆にAF患者の20〜25%は血行再建術を要するとされる。AFを合併したステント留置例に対しては、P2Y12阻害薬+アスピリンによるDAPTとワルファリンとの3剤併用療法がしばしば実施され、ガイドラインでも支持されているが、最適な併用療法や至適投与期間については明らかではない。実際、3剤併用療法では1年以内に大出血が4〜12%と高率に発生すると報告されている。最適な抗凝固薬と抗血小板薬の組み合わせや至適投与期間については不明なままだ。そこでGibson氏らは、AF合併PCI施行例に対する至適抗血栓療法を探るべく、PIONEER AF-PCIを実施した。

 対象は18歳以上、発作性、持続性または永続性の非弁膜症性心房細動(NVAF)を伴い、経皮的冠動脈ステント留置術施行直後の2,124例。脳卒中、一過性脳虚血発作(TIA)の既往例、12カ月以内の臨床的に問題となる消化管出血、クレアチニンクリアランス(Ccr)30mL/分未満、ヘモグロビン(Hb)10g/dL未満など出血の高リスク例は除外した。

 対象者は以下の3群に1:1:1にランダムに割り付けられた。

  • Group 1:リバーロキサバン 15mg 1日1回+P2Y12阻害薬単剤(クロピドグレルで75mg1日1回、ticagrelorで90mg1日2回、プラスグレルで10mg1日1回)
  • Group 2:リバーロキサバン2.5mg 1日2回+P2Y12阻害薬(用量はGroup1と同じ)およびアスピリン(75〜100mg /日)によるDAPT(1、6、12カ月)
  • Group 3:ワルファリン(ターゲットINR2.0〜3.0)+P2Y12阻害薬とアスピリンによるDAPT(1、6、12カ月)

 Group2のDAPT 1、6カ月群ではDAPT終了後にリバーロキサバンを15mg 1日1回に変更し、アスピリンとの併用で12カ月後まで追跡、Group3では、DAPT終了後アスピリンとの2剤併用療法とし、12カ月後まで追跡した。DAPT施行期間とP2Y12阻害薬は、ランダム化前に主治医の裁量で決定した。

 患者の背景因子を見ると、平均年齢は70歳で女性がほぼ4分の1、ACS例が約半数を占めていた。薬剤溶出ステント使用は65〜67%、DAPT施行期間別の実施率は1カ月16%、6カ月35%、12カ月49%だった。P2Y12阻害薬の内訳はクロピドグレルが95%を占め、ticagrelolが4%、プラスグレルが1%だった。ワルファリン併用群の65%がINR2.0〜3.0を達成していた。

臨床的に問題となる出血が約40%減少

 追跡の結果、12カ月後における主要安全性評価項目の「臨床的に問題となる出血」(治療開始から中止後2日後までのTIMI出血基準による大出血または小出血、治療を要する出血)の発生率は、Group 3の26.7%に対してGroup 1で16.8%、Group 2では18.0%と、ワルファリン併用群に比べてリバーロキサバン併用の2群で発生率が有意に低かった(図1、ともにP<0.001)。Group 3に対するハザード比(HR)はGroup 1が0.59(95%CI 0.47〜0.76)、Group 2が0.63(同 0.50〜0.80)で、1件の臨床的に問題となる出血を防ぐための治療必要人数(NNT)は、それぞれ11人、12人だった。

図1. 主要安全性評価項目

N Engl J Med 2016年11月14日オンライン版)

 これに対して、副次評価項目の1つである主要有害心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、脳卒中)は、Group 1が6.5%、Group 2が5.6%、Group 3が6.0%と、3群間に有意差は認められなかった(図2)。ただし、ワルファリン併用のGroup 3に対するHRはGroup 1が1.08(95%CI 0.69〜1.68、P=0.750)、Group 2が0.93(同 0.59〜1.48、P=0.765)と信頼区間が広かった。このためGibson氏は、心血管イベント抑制効果については「結論の保証はない」とした。

図2. 副次有効性評価項目

N Engl J Med 2016年11月14日オンライン版)

総死亡または有害事象による入院も25〜29%減少:post-hoc解析

 さらにGibson氏は同試験のpost-hoc解析の結果も紹介した。それによると、「総死亡または有害事象による入院」の発生率は、Group 3の41.9%に対してGroup 1で34.9%(HR 0.79、95%CI 0.66〜0.94、P=0.008)、Group 2で31.9%(同0.75、0.62〜0.90、P=0.002)と、リバーロキサバン併用の2群でそれぞれ有意に減少し、1件のイベントを防ぐためのNNTはそれぞれ15人、10人だったという。なお、post-hoc解析の結果はCirculation2016年11月14日オンライン版)に掲載されている。

 以上から、Gibson氏は「リバーロキサバン15mg 1日1回とP2Y12阻害薬の併用、またはリバーロキサバン2.5mg 1日2回とDAPTの併用は、標準的なワルファリンとDAPTによる3剤併用療法に比べて臨床的に問題となる出血の減少に関連していた」と結論付けた。

評価分かれる

 今回の成績に関して、専門家の評価には温度差も見られるようだ。 指定討論者のフランス・Hôpitaux de ParisのPhilippe G. Steg氏は「PIONEER AF-PCIは、限定的だったAFとPCIに関するエビデンスの構築に重要かつ大きな貢献をした」と評価する一方で、今回の試験によって脳卒中予防におけるワルファリン+DAPTに対するリバーロキサバンをベースとした治療の非劣性が確立されたわけではない点や、リバーロキサバンの用量が減量されながらワルファリンのターゲットINRは従来通りで、公平性に欠ける可能性などを指摘。また、J-ROCKET AFをリバーロキサバン15mg 1日1回の根拠の1つに挙げた点については「日本では抗血栓薬の投与量が総じて低いという背景があることに留意すべき」との見解を示した。

 さらに、入院が減少したとの結果については「興味深く重要である可能性がある」とした上で、「post-hoc解析に基づくものであり、仮説を生み出すデータと捉えるべき」と強調。「今回の試験を基に診療を変えるべきなのか。ステントを留置するAF患者に対しリバーロキサバンをベースとした治療を採用すべきなのか」と問い掛けた。

 これに対して、post-hoc解析に関する付随論評(Circulation2016年11月14日オンライン版)を寄せた米・Brigham and Women's HospitalのDeepak L. Bhatt氏は、「主解析よりも副次的なpost-hoc解析の方が示唆に富むという、まれな例」と好意的な見方を示している。また、AFを伴うステント留置例やACS合併例を対象としたDOACのRCTが複数進行中であることに言及し、そうした患者に対して「当分の間はDAPTとfull-doseの抗凝固薬での3剤併用療法やfull-doseの抗凝固療法は、ルーチンの診療では避けた方がよいだろう」としている。

※Open-Label, Randomized, Controlled, Multicenter Study Exploring Two Treatment Strategies of Rivaroxaban and a Dose-Adjusted Oral Vitamin K Antagonist Treatment Strategy in Subjects with Atrial Fibrillation who Undergo Percutaneous Coronary Intervention

編集部注)リバーロキサバンのAFに対する承認用量は、米国では20mg/日(腎機能低下例で15mg/日)、日本では通常15mg/日、腎障害例で10mg/日と異なる。

(AHA 2016取材班)

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