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高齢運転者の事故に潜む緑内障

 2016年11月22日 07:05
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 最近、高齢運転者による交通死亡事故が相次いでおり、その原因として認知症がクローズアップされている。このほど東京都内で開かれた日本眼科医会の記者懇談会で京都府眼科医会会長の千原悦夫氏は「事故の中には、緑内障などの視野欠損によるケースも少なくないのではないか」と述べ、運転免許証更新の際、視野を検査するプロセスの必要性を強調した。

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80歳以上の有病率は約10%

 警察庁によると、全国の自動車やバイクが起こした死亡事故に75歳以上の運転者が占める割合は年々高まり、昨年(2015年)は12.9%に上った。最近でも、87歳の男性が運転する軽トラックが集団登校中の小学生の列に突っ込み男児1人が死亡した事故や、83歳の女性が運転する乗用車が病院の敷地内で歩道に突っ込み30歳代の男女2人が死亡した事故が報道されるなど、認知症が疑われるドライバーによる交通事故が注目を集めている。

 しかし、千原氏は「緑内障などで視野狭窄がある状態で運転中に、危険を察知できず交通事故を起こしてしまうケースも少なくないのではないか」と推察する。80歳以上の緑内障の有病率は約10%で、高齢者の代表的な眼疾患といえる。

 実際、2011年には、奈良市で緑内障と同じく視野が欠ける網膜色素変性症の患者で、本人がその疾患に気付かずに軽貨物車を運転し、横断中の歩行者をはねて死亡させる事故を起こしたケースが報告されている。運転手は現行犯逮捕され、いったんは容疑を認めたが、起訴後に「横断してきた男性が見えなかった」と訴え、三重県の病院で網膜色素変性症と診断された。公判では否認に転じ、過失責任が否定され、判決は無罪(求刑禁固1年8月)となった。

 また、自治医科大学眼科学教室(川島秀俊教授)が緑内障患者の自動車運転事故率について、年齢をマッチングした病期ごとに調べた結果、過去5年間に事故歴があったのは各群29人中、初期群2人(6.9%)、中期群0人(0%)、後期群10人(34.5%)で、後期群で有意に事故歴が多かった(P=0.0003)ことが明らかとなっている。

 さらに、東北大学病院眼科講師の国松志保氏は本田技研工業の協力で視野狭窄患者用ドライビングシミュレータを開発し、重度の緑内障患者を対象に検査を行った結果、視野障害度が高いほど事故リスクは高いことを突き止めた。事故シーンと視野検査結果を重ね合わせたところ、視野感度低下部分と対象物の先端とその近傍とが重なり、視野障害と事故との関連性が実証できた。

免許更新には視野検査も

 千原氏は「視野の下方が欠けていれば左右からの飛び出し、上方が欠けていれば信号を見落としやすくなる」と言う。

 その上で、問題は緑内障を罹患している人の多くが、自身の視野の異常に気付いていないことだという。疫学研究では、緑内障患者の90%は自分が緑内障であることに気付いておらず無治療だという。

 現状では、緑内障が進行して視野の多くが欠けていても矯正視力が両目で0.7以上、かつ一眼の視力が0.3以上あれば運転免許証を取得できる。このため、同氏は「運転免許証を更新する際に、視野を検査するプロセスが必要かもしれない。現在の視野検査では時間がかかるため、簡略化した検査法が望ましい」と強調した。

(伊藤 茂)

  

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