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高齢者の歯科領域で新疾患概念

日本老年歯科医学会が『口腔機能低下症』の確立にむけ見解

 2016年11月29日 07:05

イメージ画像 (c)Thinkstock/Getty Images

 日本老年歯科医学会は、歯科領域における高齢期の疾患として『口腔機能低下症』の概念と診断基準をまとめ、11月22日に公表した。新たな病名を用いることで、う蝕や歯の欠損に対する治療だけでなく、咀嚼や嚥下を含めた口腔機能の低下に対して早期に介入し、治療できるようにするのが目的。同学会学術委員会委員長で東京医科歯科大学大学院高齢者歯科学教授の水口俊介氏は「まだ診断基準の確立に向けてスタート地点に立った段階。最終的には口腔機能低下症で保険収載ができるよう介入効果のエビデンスを収集していきたい」との見解を示した。

続きを読む(読了時間:約 1.5 分) 

診断基準に7つの症状

 口腔機能低下症とは、健康な状態から口腔機能障害に至るまでの間に位置づけられ、滑舌の低下や食べこぼし、噛めない食品が増えた状態のオーラルフレイルよりもさらに機能低下が進行した状態を指す(1)。

図1.「口腔機能低下症」概念図

(老年歯学2016: 31; 81-99)

 オーラルフレイルに対しては地域保健事業や介護予防事業を通して高齢者を啓発し、口腔機能低下症の可能性がある場合には歯科医院の受診を勧め、より専門的な対応が必要な口腔機能障害への進展を予防するという流れである。

 口腔機能低下症の診断基準は①口腔不潔②口腔乾燥③咬合力低下④舌口唇運動機能低下⑤低舌圧⑥咀嚼機能低下⑦嚥下機能低下―の7つの症状のうち3つ以上を満たした場合とする。それぞれの概念は以下の通り。

 ①口腔不潔:高齢者の口腔内で微生物が異常に増加し、誤嚥性肺炎、術後肺炎、術後感染、口腔内感染症などを引き起こす可能性がある状態。②口腔乾燥:口腔内の異常な乾燥状態あるいは乾燥感を伴った自覚症状を指す。③咬合力低下:天然歯あるいは義歯による咬合力の低下した状態。④舌口唇運動機能低下:加齢や脳血管障害、パーキンソン病などの全身疾患によって、脳・神経の機能低下や口腔周囲筋の機能低下が生じ、舌口唇の運動速度・巧緻性が低下し、摂食行動、栄養、生活機能などに影響を及ぼす可能性がある状態。⑤低舌圧:舌を動かす筋群の慢性的な機能低下によって舌と口蓋や食物との間に発生する圧力が低下した状態で、進行すると咀嚼や嚥下に支障を来し、必要栄養量に見合う食物摂取ができない状態になる可能性がある。⑥咀嚼機能低下:加齢や健康状態、口腔内環境の悪化によって、咬合力や舌の運動能力が低下し、結果的に低栄養、代謝量低下を起こすことが危惧される状態。⑦嚥下機能低下:加齢による摂食嚥下機能の低下が始まり、明らかな障害に至る前段階の機能不全を有する状態。

 各検査項目の評価基準は2の通り。

図2 .「口腔機能低下症」の診断(2016年度版、一般社団法人日本老年歯科医学会学術委員会)

       「はい」が3個以上あれば、「口腔機能低下症」と診断する

                                            (日本老年歯科医学会提供)

 さらに検査機器がない場合でも検査が可能になるよう、それぞれの検査項目に代替検査方法を提示している。

 これらの診断基準は、急性期病院である藤田保健衛生大学病院の入院患者を対象とした調査結果を基に検討された。今後の課題について、水口委員長は「今回の診断基準は現状のエビデンスから検討した2016年度版であり、これが完成版ではない。診断基準を確立するためには、老人介護施設や在宅での調査や、老化だけでなく疾患の結果生じる口腔機能低下など、さまざまな角度でより多くの研究を行い、修正していく必要がある」との見解を示した。

(中山あゆみ)

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