マーストリヒトⅤコンセンサスを読む
慶應義塾大学医学教育統轄センター 鈴木秀和
2016年12月05日 07:15
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Helicobacter pylori(H. pylori )感染のマネジメントにおける重要な進歩がなされ、マーストリヒト・コンセンサスの5回目の改訂では、H. pyloriの臨床的役割に関連した主たる項目が2015年に再評価された(Gut 2016年10月5日オンライン版)。つまり、世界24カ国43人の専門家が、第5回マーストリヒト・フローレンスコンセンサス会議に参加し、臨床的に H. pylori に関連した、新規の重要な問題について以下の5つのワーキンググループで検討したことになる。つまり、①適応疾患と関連疾患②診断③治療④予防と公衆衛生⑤胃のフローラとの関連-の5つの分科会である。個々のワークショップの結論を最終会議に提出し参加者全員による投票を実施している。推奨度は、さまざまな臨床状況での、H. pylori 感染症の管理に関連して、最善かつ最新のエビデンスを基に行われたわけである。
本稿では、このマーストリヒト・コンセンサスレポートの中から、わが国の臨床現場でも重要性が高いと考えられるもの、あるいは大幅に変更になったものを中心に抜粋し考察したい(表)。
表. 今回解説するマーストリヒトⅤコンセンサスでわが国の診療現場でも重要と思われるステートメント