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多剤耐性菌に有効な抗菌薬を迅速検索

米研究者が新アッセイを開発

 2016年12月07日 10:30
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イメージ画像 (c)Getty Images ※画像はイメージです

 多剤耐性菌による感染症や新興感染症に有効と考えられる薬剤または薬剤の組み合わせを短時間で探索するための自動化検査法ultra-high-throughput bacterial growth assay (HIGA)を開発した。米・National Center for Advancing Translational Sciences (NCATS)のWei Sun氏らは、その概要および多剤耐性肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)の臨床分離株に対する検索結果をEmerg Microbes Infect 2016; 5: e116)で発表した。

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一度に数百種類の薬剤を検査可能

 多剤耐性菌による感染症は世界的な問題であり、米国だけで年間200万件が報告され2万3,000人が死亡している。有効な治療法を見極めるには病原菌の分離・同定および細菌感受性検査が必須であるが、それには数日を要し、それまでは広域スペクトラムの抗菌薬の使用でしのいでいるのが現状である。しかし、有効な抗菌薬の投与開始が1時間遅れるごとに患者の死亡率が9%上昇するとの報告もあり、一刻も早く有効な薬剤を同定することが喫緊の課題となっている。

 こうした課題に応えるためSun氏らは、シンプルな細菌増殖アッセイと定量化ハイスループットスクリーニング技術を組み合わせた検査法HIGAを開発した。従来の感受性検査(微量液体希釈法など)と比べて一度に検査できる薬剤数が飛躍的に増え、数百種類の薬剤を濃度別、または他薬と組み合わせて検査できる。薬剤感受性の判定結果は2日以内に得ることができ、低コストでの運用が可能としている。

組み合わせによるシナジー効果に期待

 Sun氏らは、HIGAを用いて3,890の米食品医薬品局(FDA)の承認薬を含む5,170の生物活性化合物をスクリーニング。その結果、多剤耐性K. pneumoniaeの臨床分離株の増殖を抑える25の化合物を同定した。これらの化合物には、抗菌薬の他、抗真菌薬、消毒薬、抗リウマチ薬、抗ウイルス薬、抗マラリア薬、抗がん薬、NADPH オキシダーゼ阻害薬が含まれていた。

 しかし、これらの化合物の最大ヒト血漿濃度(Cmax)は多剤耐性K. pneumoniaeに対する有効濃度(IC90)より低く、同菌感染症治療を目的とする臨床使用はできないことが明らかとなった。

 そこで、同氏らは、これら25化合物の効果を増強させると同時に有効薬剤濃度を下げる可能性を探るため、K. pneumoniaeに対して標準的に用いられている15種類の抗菌薬との組み合わせを検討。シナジー効果により、耐性菌に抗菌薬感受性を取り戻させることを狙いとした。

 薬剤の最適かつ臨床応用の可能性のある組み合わせを同定するため、抗菌薬感受性試験の臨床的ブレイクポイント、到達可能な血漿濃度、薬物毒性、作用機序を総合的に検討するtargeted drug combination(TDC)アプローチを取り入れた。その結果、375通りの組み合わせのうちコリスチン+ドキシサイクリンをはじめとする4通りの組み合わせでシナジー効果が得られることが判明した。しかし、依然として一方の薬剤の濃度が抗菌薬感受性試験の臨床的ブレイクポイントまたはCmaxを上回っている、あるいは毒性の問題から臨床使用ができないといった問題も生じることから、同氏らは次に3剤の組み合わせ(820種類)を検討した。その結果、多剤耐性K. pneumoniaeに有効な17通りの組み合わせが同定された。

10種類の臨床分離株に有効な組み合わせも

 次に広いスペクトラムを有する組み合わせがないかを探るため、15通りの組み合わせを用いて、臨床で問題となる多剤耐性グラム陰性菌10種類の臨床分離株に対する検証を行った。その結果、3通りの組み合わせが有用であることが明らかになった。コリスチン+オーラノフィン+セフタジジム、およびコリスチン+オーラノフィン+リファブチンは上記10種類の薬剤耐性株全てに対して80%超の増殖抑制効果を有すること、リファブチン+コリスチン+イミペネムはAcinetobacter baumannii の2種類の臨床分離株を除く8種類について75%超の増殖抑制効果を発揮することが明らかになった。

 Sun氏は「上記の3通りの3剤併用については臨床応用が可能かもしれない」とコメント。「われわれが開発した検査法HIGAは多剤耐性菌感染症や新興感染症に対する治療薬探索のための有力なツールとなりうるだけでなく、ドラッグリパーパスの有力なツールでもある」と締めくくった。

(古川忠広)

  

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