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ALS患者の自発的意思伝達を補助

視線入力装置の補助・代替システム

 2016年12月08日 07:10

イメージ画像 (c)Getty Images ※画像はイメージです

 閉じ込め状態の筋萎縮性側索硬化症(ALS)女性患者を対象に、完全埋め込み型ブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)を在宅で導入する臨床試験を、オランダ・University Medical Center UtrechtのMartin G. Bleichner氏らが実施した。皮質領域への電極埋め込み後28週間の訓練を経て、BCIシステムは視線入力装置を補助・代替する自発的コミュニケーションを可能にしたと、N Engl J Med2016年11月12日オンライン版)で発表した。

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皮質脳波を解読して意思表出

 BCIシステムでは、手足を動かそうとする試みのような精神活動が対応する皮質領域に生じた信号をコンピュータで解読して利用する。今回の試験では、末期ALS患者のコミュニケーション手段として、BCIシステム(体内埋め込み装置:運動皮質の硬膜下電極と左胸部皮下の送信機および両者を接続する配線。体外装置:受信アンテナ→受信機→タブレットを含む)の有用性を検討した。同システムは、EUではパーキンソン病などを対象に認可されている。

 対象は、意識はあるが意思疎通が不可能な「閉じ込め状態」のALS患者(58歳・女性)で、陽圧機械換気を要する。眼球運動や瞬目による意思表示が可能だが、その他は完全に麻痺していた(ALS機能評価スケール2点)。2015年10月に、硬膜外脊髄刺激用に設計された4つの硬膜下電極ストリップ(Medtronic社)が、フレームレス定位脳手術で埋め込まれ、左胸部皮下の増幅器と送信機に接続された。患者が、電極と反対側の右手を動かそうと試みることで、機能MRI(fMRI)で左感覚運動野が活性化され、手の運動領域に置かれた2つの電極ストリップ(以降使用)で安定した皮質脳波が記録された。

術後28週で毎分2文字入力可能に

  術後2~38週に、患者の自宅で週2回、67回の訓練セッション(2~5分のタスクを合計357回)を実施。スペリングタスクは、タブレット上に意図する文字が強調表示されるまでブレインクリック(手を約1秒間動かそうと試みる)を意識的に行う。当初、患者は過度の精神的努力を要求されていた。28週までに解読ソフトのアルゴリズムを改善し、患者は毎分2文字相当で(1文字当たりの所要時間:単語予測使用あり33秒、なし52秒)、独力で正確にコンピュータ入力プログラム(Communicator-5, tobii Dynavox)を制御できた。スペリングタスク(術後168~262日に計44回)正答率は89±6%。精神的努力の主観的評価尺度(0~5)は5から2.8に低下、精神的努力が少なくなった。

外出中常にBCIシステムを使用

 患者は術後197~266日で32日間(平均86分/日)スペリングを使用。外出時は常にBCIシステムを使用し、照明の具合で視線入力装置が使えない状況では唯一のコミュニケーション手段となり、ブレインクリックを使って介護者の注意を引くために発音ボタンを選択した。

 Bleichner氏らは「患者は手を動かそうと試みることで、また皮質脳波の特徴を自動的に抽出するソフトウェアを使うことで、ゆっくりしたペースではあるが、市販のコミュニケーションソフトを使いこなすことができた。BCIシステムは、視線入力装置が使えない患者のためのコミュニケーション手段となりうる。ただし、皮質障害や認知機能障害、介護者の不在によって使用が制限される場合がある」と述べている。

(坂田真子)

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