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遺伝子変異がアトピー治療薬に影響

2~17歳の患児800例を検討

薬剤情報 | 2016.12.12 07:10

イメージ画像 (c)Getty Images ※画像はイメージです

 米・University of PennsylvaniaのJoshua Chang氏らは「フィラグリン遺伝子(FLG)の機能喪失型(LOF)変異およびインターロイキン(IL)-7様サイトカインとして知られるthymic stromal lymphopoietin(TSLP)の特定の一塩基多型(SNP)が、アトピー性皮膚炎(AD)患児における治療薬の使用状況の違いにつながっているようだ」とJAMA Dermatology2016年11月30日オンライン版)で報告した。

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FLG LOF変異とTSLP SNPで影響を検討

 フィラグリンは皮膚バリア機能の維持に重要な蛋白質であり、FLGのLOF変異やコピー数多型(CNV)とADリスクとの関連が指摘されてきた。TSLPについてもADの重症度などとの関連が指摘され、ヒトではTSLP がCD11c+樹状細胞の活性化を通じてTh2介在のアレルギー炎症反応を誘発すること、AD患者の皮膚病変部でTSLPが高レベルで発現していることなどが報告されている。加えて、TSLPの変異がADの皮膚炎症に何らかの影響を与えること、TSLPのSNPの1つであるrs1898671がAD罹病期間の短縮およびヘルペス性湿疹発症リスクの減少と関連することなども示されている。

 こうした研究状況を踏まえてChang氏らは、米食品医薬品局(FDA)が局所カルシニューリン阻害薬(TCI)pimecrolimus 1%クリームの市販後調査で用いている縦断的患者データベースPediatric Eczema Elective Registry(PEER)を利用し、FLGおよびTSLPの変異が治療薬使用状況(患児および家族の自己申告に基づく)にどのような影響を与えるのかを検討した。

 対象は、ADと診断され、pimeclolimusクリーム使用歴のある2~17歳の患児842例(平均AD発症齢1.9±2.7歳、PEER登録時の平均年齢7.2±3.8歳、女児438例)で、がん患者は除外した。遺伝子タイピングでは、FLG についてはLOS変異として発現頻度の高いR501X、2282del4、 R2447X、S3247Xの4つを調べ、変異アレル数に従って野生型(変異アレル0)、ヘテロ接合体(変異アレル1)、ホモ接合体または複合ヘテロ接合体(変異アレル2)の3群に分類。TSLP rs1898671 SNPについても同様に野生型、ヘテロ接合体、ホモ接合体の3群で検討した(TSLPのタイピングは770例で実施した)。

 アウトカムは、自己申告に基づく症状および薬剤使用状況とし、具体的には半年間隔で実施した調査時に、6カ月以内に皮膚症状が完全消退(skin clearance)した時期があったかどうか、TCI(pimecrolimusクリーム、タクロリムス軟膏)の使用の有無および使用期間(頻度)、局所ステロイド薬の使用の有無および使用期間(頻度)について回答してもらった。

 平均追跡期間は7.6年(6,396患者・年)で、138例(16.4%)からは10年間(追跡全期間)の完全なデータが取得できた。

今後は変異アレル数の検討が必要

 FLG LOF変異アレル数0の群と同アレル数1の群、TSLP rs1898671の野生型群とヘテロ結合体群では統計学的差異が認められなかったことから、これらの群を合わせてFLG LOF変異アレル数2の群、あるいはTSLP rs1898671のホモ接合体群との比較を行った。

 混合効果モデルによる解析の結果、FLG LOF変異アレル数2の患者では皮膚症状消失期間ありとの報告が少なく〔オッズ比(OR)0.20、95%CI 0.07~0.55〕、ステロイド使用の割合が高かった(同 5.04、1.91~13.31)。ステロイドを高頻度に使用していた割合もFLG LOF変異アレル数2の群で高かった(同 3.18、95%CI 1.22~8.30)

 TSLP rs1898671のホモ接合体群ではTCI使用の報告が少なく(OR 0.16、95%CI 0.06~0.42)、TCI高頻度使用の割合も低かった(同0.40、0.19~0.84)。

 次にTCIの使用を休止した全患者を対象としてサブ解析を行ったところ、ヘテロ接合体、ホモ接合体を問わずTSLP rs1898671の変異が認められる群では、TSLP野生型群と比べ、TCI以外の治療薬を使用している患者の割合が低く(OR 0.45、 95%CI 0.26~0.76)、TCIだけでなく他の治療薬も使用していない患者が多いことが明らかになった。

 これについてChang氏は、治療介入の必要性が低下したのではないかと推測。「TSLP rs1898671の変異は皮膚症状の完全消退に影響していないものの、疾患重症度の低下にはつながっている可能性がある」と解釈している。

 今回の検討により、治療薬の使用と推定される治療効果は遺伝子変異と関連しており、FLG LOF変異アレル数が2の場合とTSLP rs1898671がホモ接合体である場合に限り関連が認められることが示された。同氏は「今後の遺伝子研究では、変異の有無だけでなく、変異が認められるアレル数も検討対象とすべきではないか」と提案している。

(古川忠広)

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