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認知症の人の事故、賠償は「民間保険で」〔CBnews〕

関係省庁会議、公的救済の導入は見送り

CBnews | 2016.12.16 15:38

 各省庁が認知症の人に関する施策の情報を共有し、連携を強化することを目的とした関係省庁連絡会議は、認知症の人が起こした事故の損害賠償に関する対応などについて考え方を示した。損害賠償については民間保険の紹介・普及を進めることで対応するとし、関係団体などが求めていた公的な救済制度の導入は難しいと結論付けた。

 2007年、認知症で徘徊中に列車にはねられて死亡した男性の遺族に対し、JR東海は約720万円の損害賠償を求めた。この訴訟については今年3月1日に最高裁が、死亡した男性の家族に賠償を命じた2審判決を破棄し、JR東海側の請求を棄却する判決を下した。

 この裁判を機に、関係団体などの間で、認知症の人がかかわった事故などを対象とした公的な救済制度の導入を求める機運が高まった。最高裁の判決が下された後の3月14日には、安倍晋三首相が参院予算委員会で、認知症の人がかかわった事件や事故に社会としてどのように備えていくのかなどを、関係省庁連絡会議に検討させる方針であることを答弁した。

 これを受け、関係省庁連絡会議ではワーキンググループ(WG)を設置した。WGでは、認知症の人による事件・事故に関する実態把握を進めつつ、社会としてどのように備えていくかについても検討。その結果をこのほど公表した。

14年度、認知症の人関与の鉄道事故29件

 WGによると、14年度中に認知症の人がかかわった鉄道事故は29件発生していた。このうち、損害額が最も大きかった事例は約120万円だった。また、15年に認知症の人が交通事故を起こし、免許取り消しとなった件数は78件。このうち人身事故は27件、物損事故は51件だった。

 こうした状況を踏まえ、WGは事故などに伴う損害賠償への対応について、具体的な方向性を示した。

 関係団体などが求める公的な救済制度については、モラルハザードへの対応も含めた幅広い議論が必要である上、最高裁で判決が下された事案のように損害が高額になる事故やトラブルが頻発しているという事実は確認されなかったことから、直ちに対応するのは難しいとした。その一方で、民間保険でさまざまな商品が開発されていることに着目。特に個人の賠償責任を補償する民間保険について、「市町村や認知症の人と家族の会などの関係団体と連携しつつ、必要に応じて紹介・普及などを行う」とした。

免許センターに医療系専門職配置など推進

 また、事故などを未然に防ぐための取り組みとしては、▽運転免許センターに医療系専門職員を配置して運転適性相談に当たらせる▽踏切における検知能力の高い障害物検知装置や非常押しボタンの設置の推進―などを挙げた。

(2016年12月15日 ただ正芳・CBnews)

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