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60歳以上の降圧、「SBP 150mmHg未満」を推奨

米国内科学会など

 2017年01月26日 07:15

イメージ画像 (c)Getty Images ※画像はイメージです

 米国内科学会(ACP)と米国家庭医学会(AAFP)は1月17日、両学会が合同で策定した60歳以上の成人の降圧目標値に関するガイドライン(GL)をAnn Intern Med2017年1月17日オンライン版)で発表した。同GLでは、一部の高リスク例を除き、心血管イベントや死亡のリスク低減を目的とした収縮期血圧(SBP)の目標値として150mmHg未満を推奨。60歳以上のSBPと拡張期血圧(DBP)の目標値を150/90mmHg未満としたJNC 8(JAMA 2014; 311: 507-520)との足並みをそろえる形となった。一方、今回の発表を受け、米国心臓協会(AHA)会長は公式サイトで「より緩やかな降圧療法を行えば、国民に健康上の問題をもたらす可能性がある」と懸念を表明。AHAが米国心臓病学会(ACC)や米疾病対策センター(CDC)とともに推奨する140/90mmHg未満を目標値とすべきとの見解を示している。

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「脳卒中の既往歴あり」「心血管リスク高」では140mmHg未満に

 今回発表されたGLは、60歳以上の成人で降圧目標値を高く設定した場合と低く設定した場合の降圧療法による利益と害について検討したランダム化比較試験(RCT)や観察研究のシステマチックレビューとメタ解析(Ann Intern Med 2017年1月17日オンライン版)に基づき策定された。 GLの主な推奨項目は以下の通り。

推奨1:SBP 150mmHg以上の状態が続いている60歳以上の成人に対して、死亡、脳卒中、心イベントのリスクを低下させるために、同150mmHg未満を目標値として治療を開始することを推奨する(推奨度:強、エビデンスの質:高)

推奨2:60歳以上で脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)の既往歴を有する成人に対しては、脳卒中の再発リスクを低下させるため、SBP 140mmHg未満を目標値として薬物療法を開始または強化することを推奨する(推奨度:弱、エビデンスの質:中等度)

推奨3:60歳以上で心血管リスクが高い成人に対しては、脳卒中および心イベントのリスクを低下させるため、SBP 140mmHg未満を目標値として薬物療法を開始または強化することを推奨する(推奨度:弱、エビデンスの質:低)

 なお、いずれの場合も「目標値を目指した治療を行うことによる利益と害について、患者と定期的に話し合った上で、治療目標を定めるべき」とする推奨が付記されている。また、DBPについては「エビデンスが不十分」だとして明確な目標値は示されていない。

 この他、GLでは「臨床で考慮すべき点」として、①治療を開始する前に正確な血圧値を把握するため、一定期間にわたって複数回、血圧測定を行う②減量や食事、運動の指導など非薬物療法も考慮する③ブランド薬ではなくジェネリック薬を選択する④多剤使用者では治療による負担や薬物相互作用についても考慮する―ことなどが挙げられている。

「SPRINT試験とACCORD試験で結果が不一致」を指摘

 今回のGLの根拠とされているRCT21件と観察研究3件のデータを用いたメタ解析では、降圧目標値を150/90mmHg未満とすることによって死亡リスク〔相対リスク(RR)0.90、95%CI 0.83~0.98〕、心血管イベント(同0.77、0.68~0.89)、脳卒中(同0.74、0.65~0.84)のリスクが低下することが示されたという。

 では、SBP 120mmHg未満という現行GLと比べて大幅に低い降圧目標値を目指した降圧療法による心血管イベントのリスク低下を示したSPRINT試験(関連記事)は、今回のGLでどのように位置付けられているのだろうか。 システマチックレビューとメタ解析を実施した米・Oregon Health & Science UniversityのJessica Weiss氏らは「より低い降圧目標値を目指した降圧療法の利益を支持する知見のほとんどが、SPRINT試験のみから得られている」と指摘。今回、同試験のデータを除外してメタ解析を実施したところ、除外する前の解析結果に比べ、目標値を低く設定することによる死亡リスクの低減効果は減弱し(RR 0.96、95%CI 0.80~1.15、 I 2=0%)、心血管イベントリスクの有意な低下は認められなかった(同0.88、0.74~1.04、I 2=4.0)と説明している。ただ、より低い降圧目標値とすることによる脳卒中リスクの有意な低下は引き続き認められたとしている(同0.74、0.56~0.99、I 2=25.8)。

 さらに同氏らは、ACCORD試験(関連記事)では厳格な降圧による利益が示されなかったことにも言及。同試験は糖尿病患者を対象としたものである他、試験規模や対象者の平均年齢などSPRINT試験との相違点があることを認めた上で「両試験の結果が一致しない中では、より低い目標値を目指した降圧療法の真の効果は不明なままだ」との見解を示している。

 この他、同氏らによるメタ解析からは、より低い降圧目標値を目指した治療は認知機能の低下や骨折、QOL低下のリスク上昇には関連していなかった一方で、低血圧や失神、使用薬剤増加のリスク上昇に関連することが示されたとしている。

AHA会長「年内発表のAHA/ACCガイドラインで議論に決着」

 一方、今回のACPなどによるGLの降圧目標値について、AHA会長のSteven Houser氏は公式サイトで懸念を表明。「2014年にAHAがACC、CDCと合同で発表した勧告(Hypertension 2014; 63: 878-885など)で示したように、80歳以上の高齢者に対しては目標値を150/90mmHg未満とすることも考慮してよいが、基本的に心血管イベントのリスクを低下させるためには140/90mmHg 未満を目指すべき」としている。

 また同氏は、「降圧目標値を緩和することによって、医学的なリスクだけでなく、高血圧の危険性に関する国民の意識の低下を招く可能性がある」と指摘した上で、「今後も60歳以上における降圧目標値をめぐる議論は続くだろう」と予測。さらに、AHAとACCの諮問委員会による包括的高血圧GLが現在、作成作業の最終段階に入っており、年内に公表予定であることを明らかにし、同GLの発表によって議論に終止符を打つことになるとの見方を示している。

※血管疾患や糖尿病、メタボリックシンドローム、慢性腎臓病(CKD)、高齢などの因子を有する成人

(岬りり子)

  

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