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覚醒剤の使用で血管が老化

 2017年02月14日 07:10

イメージ画像 © Getty Images ※画像はイメージです

 覚醒剤アンフェタミンの娯楽目的での使用が、心血管系の生物学的加齢・経年的変化を促進する可能性がある。このほどオーストラリア・University of Western AustraliaのAlbert Stuart Reece氏らが、Heart Asia2017; 9: 30-38)に発表した。

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慢性的な加齢変化の末に心イベント発生の可能性

 日本では覚醒剤取締法で規制されているアンフェタミンは、交感神経系に作用して"闘争・逃走のホルモン"であるアドレナリンを過剰産生の状態にする興奮薬で、心拍数の上昇や急激な血圧上昇、脳卒中や心臓発作、動脈瘤破裂のリスク上昇などの心血管系作用を有し、興奮薬の乱用者は見た目が急速に老けていくことが知られている。また、アンフェタミンは急性心血管イベントを引き起こすとよくいわれるが、交感神経系過剰亢進とアドレナリン過剰産生によるストレスを受け、皮膚と同様に老化が進んでしまった心血管系に重篤なイベントが発生している可能性があるとReece氏らは考えた。

 そこで同氏らは、上腕動脈および橈骨動脈の血流測定から血管年齢を算出し、アンフェタミン使用が皮膚と同様に心血管系の老化を促進するかどうかを検討した。

 対象は2006~11年に物質乱用でクリニックを受診した30歳代(平均30.03±0.51歳)および40歳代(平均40.45±1.15歳)の患者713例。薬物使用に関する問診結果から、非喫煙群(483例)、喫煙群(107例)、アンフェタミン使用群(55例)、オピオイド系鎮痛薬のメサドン使用群(68例)の4群に分類した。

既知の心血管危険因子とは無関係

 上腕動脈の測定には通常の血圧計を使用した。橈骨動脈にはAtCor Medical社の非侵襲的モニタリングシステムSphygmoCorを使用し、橈骨動脈圧波形による動脈硬化測定Radial Arterial Pulse Wave Tonometry(RAPWT)を実施した。SphygmoCorのソフトウエアによる暦年齢、性、身長と動脈硬化とのマッチングから生物学的な血管年齢を算出した。

 アンフェタミン使用群における66件の評価ではRAPWT実施とともにアンフェタミン使用の有意な反応が得られ、その使用タイミングは大部分(94%)が直近1週間以内、約半数(47%)が前日であることが判明した。

 重回帰モデルによる解析の結果、アンフェタミン使用群の心血管系は喫煙群およびメサドン使用群に比べ、暦年齢・経年的変化の両方の点ではるかに急速に老化が進行していることが示された。さらに、体重、コレステロール値、C反応性蛋白などの既知の心血管危険因子で調整後も結果は不変であった(P<0.0001)。

幹細胞機能・分裂の阻害作用も

 Reece氏らは今回の結果について、「心臓自体が予想より急速に老化していく可能性が高いことを示唆している」と述べ、「アンフェタミン使用は長期にわたり繰り返されることが多く、心血管年齢に関して急性作用だけでなく慢性作用もあることになる」と説明。さらに、「生理学的プロセスの多くは正常な老化現象の一環として年齢とともに衰える。つまり、興奮薬の乱用による影響は時間・年齢とともに複雑化・重症化する可能性があり、生理学的プロセスの正常な経年的変化を悪化・加速させる可能性があることを意味する」としている。

 また、組織の修復・新生に関与する幹細胞の機能や正常な細胞分裂をアンフェタミンが阻害することが示されており、アンフェタミンには組織修復の阻害と組織損傷の増加の両方の作用があると指摘している。

世界的蔓延への対策が急務

 Reece氏らは、①観察研究なので因果関係について確固たる結論を導くことができない②アンフェタミン使用群のサンプルサイズが小さい③使用量に関する情報がなく用量反応関係を検討できない―などの限界を指摘した上で「今回の研究結果は、アンフェタミンを繰り返し乱用すると心血管系が老化すること、おそらく全身の臓器がそうなることを示唆している。したがって、興奮薬の乱用は生理学的プロセスおよび心血管系に損傷をもたらすと考えられる。ただし、可逆的な損傷かどうかは不明だ」と結論。今回の結果を受けて、興奮薬の世界的な蔓延への対策が急がれると付け加えている。

(太田敦子)

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