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血栓回収療法の有効性を報道陣に啓発

「1人でも多くの患者を救いたい」と吉村紳一氏

 2017年03月02日 15:30
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 急性期脳梗塞に対する血栓回収療法のエビデンスが確立したものの、日本での実施はいまだ少ない現状にある。その理由の1つとして、同療法に関する情報が行き渡っていないことが挙げられる。昨年(2016年)開催された第32回日本脳神経血管内治療学会学術総会において「脳梗塞に対する血管内治療の普及に関する学会宣言(神戸宣言)」を発表した(既報)兵庫医科大学脳神経外科学主任教授の吉村紳一氏は、2月27日に東京で開かれたメディアセミナー(主催:日本メドトロニック)で同療法の有効性や治療の現状などを解説。「既に広く認知されている心筋梗塞=カテーテル治療のように、脳梗塞にもカテーテル治療があることを多くの人に知ってもらいたい」とメディアに対して情報伝達を促した。

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エビデンスは確立したが多数の未治療患者が

 脳梗塞はラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳梗塞の3つに大別されるが、血栓回収療法の主なターゲットは、その重症性から「ノックアウト型脳梗塞」とも呼ばれる心原性脳梗塞。従来のt-PA静注による血栓溶解療法(t-PA治療)では効果不十分なケースや発症後4.5時間を超過した不適応例、禁忌例に対し、発症後8時間以内において適応となるのが血栓回収療法だ。吉村氏は同療法の有効性を証明したエビデンスとしてMR CLEAN(N Engl J Med 2015; 372:11-20)、ESCAPE(N Engl J Med 2015; 372:1019-1030)、EXTEND-IA(N Engl J Med 2015; 372:1009-1018)、SWIFT PRIME(N Engl J Med 2015; 372:2285-2295)およびREVASCAT(N Engl J Med 2015; 372:2296-2306)を加えた5件のランダム化比較試験の統合解析HERMES(Lancet 2016; 387:1723-1731)を紹介、同療法によって臨床転帰の改善が図れる可能性があることを強調した。

 一方、日本では同療法を受けられない脳梗塞患者が多数存在する。同氏は、厚生労働省の2014年人口動態統計における脳梗塞による死亡数(年6万6,058人)とt-PA治療推計施行件数(同約1万件)、血管内治療推計施行件数(同約6,000〜7,000件)を比較して「死亡数だけを見ても実に5万人、救命しえても後遺症に悩まされる患者は多く、概算でも10万人あるいはそれ以上の脳梗塞患者が有効な治療を受けられていない」と現状を憂いた。

「1人でも多くの患者に1分でも早く」を追求

 同療法が普及しない要因には、血栓回収療法を施行できる専門医数の不足と連携不足も挙げられる。「専門医の養成には時間を要するが地道に積み上げていく必要がある」と述べる吉村氏の施設には、全国から研修に訪れた医師が研鑽を積んだ後、それぞれの地域に戻って治療に当たっているという。

 専門医が不足する中、より多くの患者を救う方法として同氏が掲げるのが"Drip、ship and retrieve"だ。急性期脳梗塞患者を受け入れた施設でt-PA治療を実施、重症例は血栓回収療法の施行可能な施設に速やかに搬送、専門医が同療法を施行するという連携システムを指す。

 「血栓回収療法の施行可能な施設に直接搬送した方が再開通までの時間は最も速やかだが、全ての脳卒中患者を特定の施設のみで受け入れるのは不可能。転送時間を取り返すには、受け入れ先からのCTやMRIの画像の転送や、血栓回収療法施行にかかる院内準備の時間をいかに短縮するかが鍵となる」と同氏は言う。同氏の施設では、救急搬送を受け入れると直ちに採血、検査項目をt-PA治療および血栓回収療法の適否に関わる腎機能と凝固能に絞る、並行して速やかに頭部CTで脳出血の有無を確認するなどの方法で、到着から治療開始までの時間を30分程度までに短縮している。同氏は"Drip, ship and retrieve"の有効性と安全性を直接搬送群と比較検討した成績を示し、転送群と直接搬送群の間に再開通までの時間に有意な差はなく、退院時の自立度にも差はなかったことも紹介した〔Neurol Med Chir (Tokyo) 2016; 56: 731-736〕

 治療までの時間と死亡率はトレードオフの関係にあり、治療が30分遅れると死亡率が20%増加する。「さらに欲をいえば、救急隊が血栓回収療法を要する患者を見抜いて施行可能な病院に直接搬送するのが最善。CT搭載型救急車があればそれが可能になるが、車体が巨大で高額なのが難点で、日本での導入までには当分時間がかかりそうだ」と同氏。そこで同氏らは救急隊用脳卒中病型予測スコアを開発、全国的に導入されつつあるという。

 同氏は「1人でも多くの脳梗塞患者を救うため、RESCUE-Japan Projectを進めている。調査と公表、啓発、実践の3つのアクションで展開していく」と述べた。

長谷川愛子

  

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