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アジア系2型糖尿病でもがん死リスク増に関連

7カ国77万例の統合解析

 2017年03月09日 07:05

イメージ画像 © Getty Images ※画像はイメージです

 日本や中国、インドを含むアジア7カ国で実施された前向きコホート研究19件の参加者約77万例の統合解析から、2型糖尿病患者では非罹患者に比べて全てのがんによる死亡リスクが26%高いことが示された。米・New York University School of MedicineのYu Chen氏らがDiabetologia2017年3月7日オンライン版)で報告した。これまで、複数の研究で2型糖尿病ががんの発症あるいは死亡のリスク上昇と関連することが示されているが、そのほとんどは欧米人を対象としたものだった。今回、アジア系人種でも同様の関連が認められたとして、同氏らは「2型糖尿病をがんの危険因子として考慮すべき」との見解を示している。

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日本からはJPHCやJACCなど8件の研究データが対象に

 これまで、2型糖尿病ががん発症リスクの17%上昇、がん死亡リスクの21%上昇に関連するとのメタ解析をはじめ、2型糖尿病とがんとの関連について複数の報告がある。しかし、多くの研究は欧米人を対象としたものだった。また、白人に比べてアジア系ではBMIにかかわらずインスリン抵抗性を生じやすいなどの人種差があるため、このことが2型糖尿病の合併症にも影響している可能性がある。さらに、2型糖尿病とがんとの関連をがんの部位別に検討した研究も少なかった。

 そこでChen氏らは今回、アジア各国で遺伝的および環境的な因子と疾患との関連を検討するために実施されているコホート研究のデータが統合された、アジア・コホート・コンソーシアム(ACC)から19件の前向きコホート研究のデータを抽出し、2型糖尿病とがんによる死亡リスクとの関連について検討した。解析対象は日本、中国、韓国、台湾など東アジアの65万8,611例、インドを含む南アジアの11万2,686例。日本からは、JPHC研究やJACC研究など8件のコホート研究のデータが用いられている。対象者の研究開始時の平均年齢は53.9歳で、平均12.7年の追跡期間中のがんによる死亡者数は3万7,343例だった。

肝,子宮内膜,甲状腺のがんによる死亡が特に強く関連

 BMIやアルコール摂取、喫煙などの因子で調整して解析した結果、ベースライン時に2型糖尿病があった人では、なかった人と比べたがん死亡のハザード比(HR)が1.26(95%CI1.21~1.31)で、2型糖尿病はがん死亡リスクの有意な上昇に関連していた。部位別の解析では、2型糖尿病との有意な関連が認められたのは大腸がん(HR 1.41、95 CI 1.26~1.57)、肝がん(同2.05、1.77~2.38)、胆管がん(同1.41、1.04~1.92)、胆囊がん(同1.33、 1.10~1.61)、膵がん(同1.53、1.32~1.77)、乳がん(同1.72、1.34~2.19)、子宮内膜がん(同2.73、1.534.85)、卵巣がん(同1.60、1.06~2.42)、前立腺がん(同1.41、1.09~1.82)、腎がん(同1.84、1.28~2.64)、甲状腺がん(同1.99、1.033.86)、悪性リンパ腫(同1.39、1.04~1.86)による死亡だった。特に肝がん、子宮内膜がん、甲状腺がんによる死亡リスクとの関連が強かった。一方、白血病、膀胱がん、子宮頸がん、食道がん、胃がん、肺がんによる死亡リスクについては有意な上昇は認められなかった。男女別の解析では、男性における2型糖尿病と部位別のがん死亡リスクとの関連は全体集団の解析結果と同様のパターンが示された()。

図. ベースライン時の糖尿病の有無とがん死亡リスクの関連

1703023_fig.jpg

Diabetologia 2017年3月7日オンライン版)

「糖尿病患者へのがんスクリーニングの必要性示す」

 Chen氏らは「今回示された2型糖尿病とがんによる死亡リスクとの関連は、欧米人を対象とした研究結果とほぼ一致した」と指摘。一方、部位別では消化器がんや乳がんによる死亡リスクについては欧米人のデータと一致していたが、「腎がん、甲状腺がん、前立腺がんなど一部のがんによる死亡リスクについては、欧米人に比べてアジア系人種でより関連が強かった」と説明している。

 また、同氏らは「2型糖尿病とがんとの関連の強さ、また複数の集団を対象とした研究から得られたデータが一貫していることを踏まえると、2型糖尿病はアジア系人種においてもがんの危険因子として考慮すべき」と強調。特にアジア系で有病率が高い肝がんの危険因子として捉えるべきとの見解を示している。さらに「今回の研究結果から、2型糖尿病患者を対象とした適切ながんのスクリーニングの必要性が示された」と結論付けている。

(岬りり子)

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