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多発性骨髄腫治療に幹細胞移植は必要?

IFM2009試験

 2017年04月12日 13:55

イメージ画像 © Getty Images ※画像はイメージです

 多発性骨髄腫患者に対して導入療法後の地固め療法に自家幹細胞移植併用メルファラン療法を組み込む群と化学療法のみの群を比べると、前者は無増悪生存期間(PFS)が有意に長い一方で、全生存率は両群間で有意差は認められなかった。フランスを中心とした3カ国で多発性骨髄腫患者700例を対象に実施したIntergroupe Francophone du Myélome (IFM) 2009試験の結果を、フランス・Institut Universitaire du Cancer de Toulouse-OncopoleのMichel Attal氏らがN Engl J Med2017年4月6日オンライン版)で報告した。

続きを読む(読了時間:約 3 分) 

幹細胞移植群でもRVD療法は併用

 これまで、65歳以下で多発性骨髄腫と新規に診断された成人患者に対する標準治療は大量化学療法と自家幹細胞移植の併用とされてきた。しかし、レナリドミド、ボルテゾミブ、デキサメタゾンの3剤併用(RVD療法)が有効で、これを標準治療の前後に行えば完全寛解率の上昇が見込めると示されたため、自家幹細胞移植の必要性ならびに適切な実施時期が新たな論点として浮上していた(J Clin Oncol 2011; 29: 1898-1906

 IFM 2009はランダム化オープンラベル第Ⅲ相試験で、対象はフランス、ベルギー、スイスの計69施設で2010年11月~12年11月に新規に多発性骨髄腫と診断された65歳以下の患者700例。導入療法後の地固め療法として自家幹細胞移植併用メルファラン療法を組み込む群(移植群、350例)とRVD療法のみで行う群(RVD単独群、350例)にランダムに割り付けた。導入療法、末梢血幹細胞の動員・採取、維持療法は両群共通とした。

 導入療法では3クール(1クール21日)のRVD療法(レナリドミド25mg/日の経口投与、ボルテゾミブ1.3mg/m2/日の静注、デキサメタゾン20mg/日の経口投与)をあらかじめ定められたプロトコルで実施。その後、シクロホスファミドと顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)による幹細胞の末梢血への動員を行った。

 次に地固め療法として、RVD単独群には5クールのRVD療法(デキサメタゾン用量は導入療法時と異なり10mg/日)を行い、移植群には自家造血幹細胞移植に大量メルファラン(200mg/m2)投与後、2クールのRVD療法(デキサメタゾンは10mg/日)を行った。

 地固め療法終了後3週間以内に、全例にレナリドミドによる維持療法(10~15mg/日)を開始し、疾患進行や重度有害事象発生例を除き1年間継続した。なお、RVD単独群で増悪が見られた場合のサルベージ療法としては造血幹細胞移植を優先した。

 主要エンドポイントはPFS、副次エンドポイントは奏効率、疾患増悪までの期間、全生存、有害事象発生率とした。

PFSと奏効率では移植群に軍配

 PFSの中央値は移植群で50カ月であり、RVD単独群の36カ月より有意に長かった〔疾患増悪または死亡の補正ハザード比(HR)0.65、95%CI 0.53~0.80、P<0.001、〕。

図. 無増悪生存率(上)と全生存率(下)のKaplan-Meier曲線

1704013_fig1.jpg

N Engl J Med 2017年4月6日オンライン版)

 移植群におけるPFS上のベネフィットは年齢、性、モノクローナル抗体のアイソタイプ、病期および細胞遺伝学的リスクにより層別化した全てのサブグループで認められた。

 完全奏効率は移植群で59%とRVD単独群の48%より高かった(P=0.03)。また、地固め療法後における最良部分奏効(VGPR)以上の割合は移植群78%、RVD単独群69%(P=0.03)であった。研究期間を通してフローサイトメトリによる微小残存病変(MRD)が検出されなかった割合は移植群の79%(278例中220例)に対しRVD単独群では65%(265例中171例、P<0.001)であった。MRD検出の有無でPFSを比較したところ、MRD非検出群の方がMRD検出群よりPFDが有意に長かった疾患増悪または死亡の補正HR0.30、P<0.001

有害事象は移植群で多く全生存率に群間差なし

 4年時点の全生存率については移植群(81%)とRVD単独群(82%)の間に有意差は示されなかった(死亡の補正HR 1.16、95%CI 0.80~1.68、P=0.87、)。ただし、MRD非検出群ではMRD検出群より有意に全生存期間が長かった(死亡の補正HR 0.34、P<0.001)。

 RVD単独群で疾患増悪が認められたのは207例で、うち172例が症候性。その79%に相当する136例に対してサルベージ療法として自家幹細胞移植が実施された。移植群では疾患増悪は149例、うち症候性の123例中21例(17%)に対して2回目の自家幹細胞移植が実施された。

 有害事象については、grade 3 または 4 の好中球減少症の発生頻度は移植群でRVD単独群より有意に高く(92% vs. 47%)、grade 3 または 4 の消化器障害(28% vs. 7%)、感染症(20% vs. 9%)についても移植群で有意に高かった。

 治療関連の死亡、二次原発がん、血栓塞栓イベント、末梢神経障害の発生率に関しては有意な群間差は認められなかった。

 Attal氏は「多発性骨髄腫成人患者に対する地固め療法に自家幹細胞移植併用メルファラン療法を組み込む方が、RVD療法単独と比べて有意に長いPFSが得られた。その一方で、全生存率については治療群間で有意差が示されなかったことから、治療毒性を考慮しつつ、幹細胞移植を早期に実施するか、増悪が認められるまで先送りするかを慎重に判断すべきではないか」と締めくくっている。

(古川忠広)

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