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先天性心疾患、手術進歩で新たな課題

急増する成人患者の受け入れに向けて

 2017年07月19日 06:10

 これまで不良であった先天性心疾患患者の予後は、外科手術の進歩により大きく改善しつつある。その一方で、成人後の患者をどの診療科で受け入れるかという問題が出ている。7月4日に東京都で開催された日本循環器学会のプレスセミナーでは、自身も先天性心疾患患者で、全国心臓病の子どもを守る会の静岡県支部の石川綾氏がこれまでの経験を紹介。また、この分野に詳しい聖路加国際病院心血管センター特別顧問の丹羽公一郎氏が、これら患者の診療科移行における現状と専門医制度創設に向けた展望を紹介した。

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3歳までに4回の手術を経験

 現在30歳代の石川氏は、生まれつき両大血管右室起始症、動脈管開存症、洞不全症候群を有していた。そこで、長期生存のために複数回の手術が必要であり、生後5カ月で肺動脈に流れる血流量を調節する肺動脈絞扼術を皮切りに、9カ月、1歳、3歳と幼少期に4回もの手術を経験した。学生時代以降も人工弁置換術などを行い、現在ではペースメーカーを装着、定期的な電池交換のために今後も手術と向き合っていかなければない、と言う。

わが国のACHD患者数は50万人に

 以前は長期生存が期待できなかった先天性心疾患患者の予後は、外科手術の進歩とともに大きく改善し、石川氏のような成人に達する患者が増えている。このような患者を成人先天性心疾患(ACHD)患者と呼び、わが国ではおよそ50万人が存在、毎年1万人ずつ増加している。

 丹羽氏によると、そこで問題となるのがACHD患者をどの施設や診療科で受け入れるかだという。ACHD患者の多くは、小児期以降に生じる合併症の管理など、生涯にわたる経過観察が必要とされる。しかし、小児循環器医はACHDの解剖や血行動態を熟知しているものの、小児期以降の加齢に伴う心臓の変化や、成人期に来しやすい合併症および女性患者の妊娠・出産におけるリスクなどは熟知しておらず、成人となった患者を継続して診察することは難しい。一方、通常の循環器内科医は、成人期の疾患には慣れているものの、ACHD患者の診察経験は少なく、ACHD患者に対して、どのように対処してよいか分からない医師も多いという。 

 そのため、ACHD患者を診療可能な医師や施設は限られており、石川氏も「ACHDであっても、夜間救急受診などの場合は、翌日子ども病院に連絡して対応することもあるようだ」と指摘する。

「成人先天性心疾患専門医」制度の設立へ

 もともと小児科医であった丹羽氏は、この状況を危惧して、ACHD患者を専門で診るようになったという。幼少期から心疾患と向き合ってきたACHD患者はさまざまな問題を抱えている。したがって、ACHDに詳しい医師が診察に当たるとともに、循環器内科医や精神科医、女性患者であれば産婦人科医といった複数の診療科によるチーム医療でのサポートが欠かせない。同氏らは2012年からACHDの診療を専門に行う循環器内科施設グループ「循環器内科ACHDネットワーク」を設立し、大学病院を中心とした参加施設がACHD診療を開始している()。ただし、中国・四国地方など参加施設が少ない地域もあるため、まだ全国的に十分なレベルにない。この状況を打開すべく、日本成人先天性心疾患学会では「成人先天性心疾患専門医」制度の設立を目指している。2020年に第1回試験の実施を予定し、まずは200~250人の専門医を育てることが目標だ。

図 ACHD診療が可能な施設の地域分布

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〔成人先天性心疾患対策委員会(循環器内科ネットワーク) 公式サイト〕

 最後に同氏は「ACHD患者の中には、小児期の治療で根治したと思い込み、合併症を抱えているにもかかわらず、悪化してから受診する患者が多い。小児期には元気でも、成人後に合併症を来しやすいのが先天性心疾患の特徴で、成人期の診療体制の確立だけではなく、まずは、小児循環器医が患者自身に病気への理解を深めてもらうための教育を行うことも重要」と締めくくった。

伊達俊介

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